2/2
第3話 白髪の少年
白髪の少年が口を開く。
「痛いだろう?」
「今のうちに噛みしめておくと良い」
僕は拳を強く握る。
そして痛みをこらえながら立ち上がった。
「お前は誰だ?」
その言葉を気にすることなく、白髪の少年は続ける。
「へぇ、立つんだ」
「珍し」
「まぁ、珍しいだけだけどね」
僕の足元が崩れる。
まるで、ゲームの中のように。
僕は落ちていく。
頭が痛いとかそれ所じゃなかった。
白髪の少年は僕の落ち際に再度口を開く。
「まぁ、またいずれ会おう」
「この先の未来で」
「あ、お前は誰だって言ってたね」
「その答えは、また今度かな」
「君にはまだ早い」
「まぁ、もう聞こえてないか」
目が覚めると、そこには涙の滲んだ瞳で僕の顔を覗き込む沙良の姿があった。
その後ろには、急いで救急箱を用意している母の姿が見える。
きっと飛び出して来たのだろう。
いつも朝食が並ぶ、机には中途半端に料理が並べられていた。
僕が目を開いたのを見た沙良は飛び跳ねた。
「お母さん!」
「漣兄ぃが目覚ました!」
母が救急箱をその場にほっぽりなげ僕の方に駆け寄ってくる。
「大丈夫?」
僕は笑う。
「だ、大丈夫だよ」
その言葉は確かに震えていた。
母の瞳から涙がこぼれる。
母の表情が緩む。
「よかった…」
たった一言の言葉は、僕の胸の奥に深く深く響き渡った。




