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幸せになるために私ができること  作者: gacchi(がっち)


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7.お兄様との再会

それから肩の怪我が原因で熱を出した私は、

夢なのか現実なのかわからない状態で三日を過ごしていた。


熱くて苦しんでいると、レオンの手が冷やしてくれる。

ほっとして眠って起きると、まだレオンがそばにいる。


「……ずっとここにいて……大丈夫なの?」


「問題ない」


国王になったはずなのに、大丈夫なわけがない。

仕事はどうしているの?側近たちに叱られないの?


聞きたいことはあるけれど、熱にうかされた状態では思うように話せない。


早く仕事に戻って、私は大丈夫だから。

そう言わなくてはいけないのに。


それでも再会したばかりで、高熱を出している状態の私では、

レオンの手を離すことができなかった。




四日目、ようやく熱も下がり、意識もはっきりしてきた。


「粥を用意させた。少し動かすぞ」


「ん……」


寝ていた私をレオンが抱き上げて起こしてくれる。

ここはレオンの部屋だと言っていたけれど、王太子の時の部屋とは違う。


では、この部屋は国王の部屋?

今さらどうすることもできないけれど、国王の部屋に四日も滞在している。

そのことを考えるとめまいがしそう。


私をソファに座らせてくれるのかと思ったら、

レオンは子どもを支えるように膝の上に乗せて、

粥をさじですくって食べさせようとする。


「自分で食べられるわ」


「まだかなりだるいはずだ。無理はするな。

 動けばまた熱があがるかもしれない」


そう言われてしまえば、自分で食べるとは言いにくい。


たしかに身体はだるく、動くのがつらい。

肩だけでなく、身体のあちこちがぎしぎしと痛んでいる。


あきらめて口を開けると粥が差し込まれた。

口の中に貝の出汁の風味が広がっていく。


「……美味しい」


「そうか」


久しぶりに食事が美味しいと感じた。

安心して食べられるからか、それだけ身体が栄養を求めていたからか。


時間はかかったけれど、用意された粥は全部食べることができた。

お腹がいっぱいになって、レオンの身体にもたれかかる。


「あと三日くらいは自分で動かないほうがいい。

 多分、俺の魔力がなじんでないせいもあると思う」


「龍人の血が入ると属性が変わることもあるのよね?」


「おそらく変わっている。かなり血を入れたから」


「なるほど……」


自分の身体なのに思うように動けないのはそれも原因らしい。


「しばらくは湯あみも無理そうね」


「……俺と一緒でいいなら入るか?」


「……まだ子どもの身体だとしても嫌よ」


部屋に閉じ込められて育ったからか、普通の十歳の子どもよりも小さいし、

成長も遅れているのはわかっている。


だからといって、レオンに洗ってもらうのは抵抗がある。

レオンはこんな子どもの身体には興味ないだろうけど。


「だがな、この王宮で信用できる侍女がいない。

 俺の妃になるかもしれない令嬢なんて、狙われるにきまってる。

 そうなると俺が一緒に入るくらいしか思いつかないだろう?」


「……でも、レオンに洗われるのは嫌だわ」


「正妃になるんだからこれくらい許してくれても」


「そういうことじゃないの」


とはいえ、信用できる侍女がいないのではどうしようもない。

私が一人で湯あみできるくらい回復しないと無理そうだ。


ため息をついたら、ノックがされてドアの外にいる近衛騎士から声がかかる。


「陛下、よろしいでしょうか」


「なんだ」


「アルベール公爵がお見えです。いかがいたしましょうか?」


「ユリウスが?」


お兄様が来ている……どうしてここに?


「レオン……」


「ユリウスをここに入れてもいいか?」


「でも……」


「ユリウスならきっと大丈夫だ」


「……わかったわ」


「よし、入室を許可すると伝えてくれ。

 あぁ、この部屋に入ってくるのはユリウスだけにしてくれ」


「かしこまりました」


ど、どうしよう。お兄様に会うなんて。心の準備ができていないのに。


この国は前世の記憶持ちがたまに生まれてくる。

だから、レオンも私が生まれ変わっているんじゃないかと思っていたらしい。


とはいえ、知り合いに一人か二人いるくらいの割合だから、

それほど多いわけではないし、絶対に信じてくれるとは限らない。


「そういえば、ユリウスに仕事を任せたままだった。

 四日も部屋から出てこないから怒っているかもしれん」


「ええぇ?」


「ちょっとペルラン公爵家の娘と会ってくる、そう言って執務室を出たきりだった」


「それって……お兄様すごく怒ってると思うわ」


「そうだよな……」


どうやら少し抜けるだけだと思って出てきたらしい。

それなのに私が死のうとしたりするから、四日もこの部屋にこもっている。


……お兄様はめったなことでは怒らない。

だけど、一度怒り出したらとても怖い……。

それを思い出したのかレオンがしまったという顔をしている。


「失礼いたします、陛下」


「あ、ああ」


一つに結んだ銀色の髪に銀縁の眼鏡。その下には柔らかな緑目。

なのに、ソファに座っている私たちを見て、その目はさらに細くなる。


「どういうことですか?少し会うだけだ、なんておっしゃって出て行ったと思えば、

 ペルラン公爵家の娘が死にかけているから治療する?

 いったい何を考えてるのですか?」



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