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幸せになるために私ができること  作者: gacchi(がっち)


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2.再会

「やっと……帰ってこられたわ。ただいま、レオン」


再会できたうれしさで思わず笑ってしまって、涙がこぼれた。


「……まさか、本当に?リアーヌなのか?」


何を言えばいいのかわからず、ただうなずいた。


「……ずっと探していたんだ。

 死んだとは思えなくて、どこかにいるんじゃないかと」


起き上がるかわりに手を伸ばしたら、包むように握られる。

……手の大きさが前とは違う。


二十四歳……レオンは大人になっている。

一歳しか違わなかったのに、今は十四歳も離れてしまった。


「でも、よく私だって気づいたのね?」


「名前だけじゃない、一瞬だけ風の魔力を感じた。

 リアーヌの魔力と同じだと思って、もしかしたらって……」


「そういうことだったの」


こんなに簡単にリアーヌだと認められて少し驚いたけれど、

魔力で気がつかれたのなら理解できる。


もっとも、ふれただけで魔力を感知できる人なんてそうそういないのだけど。

レオンが気がついてくれなかったら、どうなっていたことか。


「さっきは焦った。本当にリアーヌが死ぬ気だなんて思わなくて、

 うかつに剣を渡してしまった。

 あれも俺の気を引きたくてペルラン公爵がやらせているんだとばかり……」


そう思うのも無理はない。

私をここに連れてきた男、ペルラン公爵ならそうさせていてもおかしくない。


「どうしてあんなことをしたんだ?」


「……さっき、倒れるまでリアーヌだったことを忘れていたの。

 だから、本気で逃げたくて、死んでもいいと思っていたわ」


「……それほど俺と結婚するのが嫌だったのか?」


「レオンのことが嫌だったわけじゃないわ。

 何も知らないのに無理に連れて来られたのよ。

 異母兄のために嫁げ、なんて言われて腹が立っていたから」


「そういうことか……」


おそらく死のうとした痛みか死にかけた状況のどちらかがきっかけで、

リアーヌだった記憶を思い出せたのだと思う。


ルシールは母親に似たのか怒りやすくて衝動的な行動をしがちだった。

あのまま死んだとしてもいいと本気で思っていた。


「自分がしたこととはいえ、簡単に死のうとするなんて。

 助けてくれてありがとう」


「助けられたのは幸運だった。

 首の傷はなんとかふさいだが、出血が多すぎた。

 あのままでは助からないと判断して俺の血を使った」


「え?レオンの血を?」


ノヴェル国の王族には先祖の龍人の血が強く出ることがある。

レオンもそうで、その血には治癒効果がある。


血に含まれている魔力によって治癒効果が生まれるのだが、

あまりにも魔力が強いため、それを受け入れる側に器がなければ意味がない。


ルシールの身体はそれなりに魔力が多い。

それもわかった上で血を与えてくれたのだろう。


「私のために龍人の血を使うなんて。問題ないの?」


「……リアーヌかもしれないと思ったら、どうしても死なせたくなかった」


「周りは驚いたでしょうね……」


「知らん。周りなんてどうでもいい。お前が生きていてくれるなら、それで」


「レオン……」


その言葉にこれまでどれだけの痛みがあったのか。

申し訳なくて、胸が苦しい。


前世、リアーヌは病弱だった。

魔力の器が生まれつき小さくて、すぐに魔力がこぼれていってしまう。

それは龍人の血を使っても治癒できない状況で、治す方法がなかった。


筆頭侯爵家に生まれレオンの婚約者候補ではあったけれど、

本当に妃になれるかどうかは難しかった。


きっと十二歳のお茶会で死なかったとしても、

成人するまで生きられるかどうかわからないと言われていた。


だからか、レオンも家族も私のことをとても大事にしてくれていた。


「俺の血を使ったことでその身体は魔力が安定していない。 

 もう少し体調が落ち着いたら、あらためて検査しようと思う。

 ……とりあえずペルラン公爵家に帰す気はない」


「そうね。私もペルラン公爵家に帰りたくはないわ。

 でも、王宮にとどめて置いたら噂になるわよね?」


「かまわない。今度こそ、リアーヌを正妃にする」


「……私はもうルシールなのよ?」


「それはわかっている。ルシール、俺の正妃になってくれ。

 もう……あんな風にお前を失うのは嫌だ。

 今度こそ、誰にも邪魔はさせない。俺に守らせてくれ」


大人になってしまったけれど、年齢も離れてしまったけれど、

あの頃と変わらない真摯な目で私を見ている。


後悔も入っているんだろうか。

レオンがそばにいない時に死んでしまったことを。


それでも、握られた手を離す気にはなれなかった。


「ええ、レオンの正妃になるわ」


私だって、ずっと求めていたのだから。

私のことを一番大事だと言ってくれる人を。






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