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しがない電気屋のおっさん、異世界で家電召喚ライフしてたら民から神格化され魔王から狙われる  作者: 長月 鳥


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学園編⑲

 全校生徒の呼び出し放送に驚きつつ、俺たちは第一競技場──校庭に集まっていた。  新しい転校生の紹介らしいが、それにしては規模がデカすぎる。

 「王族でも来るんじゃねぇの?」 と誰かが冗談めかして言ったが──  それが冗談じゃなかった。


 「あれってもしかして……」

 壇上に現れたのは、見覚えのある少女だった。

 他の女子生徒と同じ制服を着ているのに、明らかに雰囲気が違っている。  背筋はピンと伸び、迷いのない眼差し。可愛らしい顔立ちとは裏腹に、威厳に満ちた風格を放っていた。


 その少女は、高らかに自らの名を告げた。

 「お初にお目にかかります。わたくし、ボルトリア王国第一王女、エネッタ・リュミエール・フォン・ボルトリアですわ」

 ざわめきが起きた。


 「嘘だろ? 本物?」「学園に王族なんて聞いたことねぇよ」  「どうせ遊びのつもりだろ?」「警備とか大丈夫かよ」  「触らぬ神に祟りなし、だな」「どうせ上位クラスだろうしな」

 異世界でも屈指の魔法学園と言われるこのエルグラッドで、王族が学びに来るなど前代未聞らしい。  まぁ確かに、王族ならこの学園の講師の一人や二人、簡単に雇って家庭教師にでもできるだろう。

 たぶん姫様も、暇つぶしで覗きに来ただけだろう。少ししか関わっていないけど、わがままそうだったしな……と思っていたら、なんか俺のほうをめっちゃ睨んでる気がして、思わず頭を掻いてぺこりと頭を下げた。


 「本来であれば、SSSクラスへの編入予定でしたが……このたび、わたくしの希望によりZクラスへ編入することにいたしました。よろしくお願いいたします」

 会場が凍りついた。  エネッタ姫が……Zクラス? 俺とクラスメイトかよ。


 ざわつく中、エネッタはさらに続けた。

 「それから、もう一つお伝えしなければならないことがあります。轟電次郎という生徒の退学処分が取り消されました。以上です」

 ……は?

 思わず呆けた。  俺、退学取り消し? ……姫の一存で?

 その場で何人もの教師が目を丸くしていた。騒然とする生徒たち。

 だが、エネッタはそれすら華麗に無視して、壇上から降りてきた。  まっすぐ俺の前にやってくると、勝ち誇ったように言う。


 「ボルトリア国、魔道具管理局の許可がおりましたの」

 「……えっ?」

 そういえば、審議会とやらは魔王軍が来たせいでうやむやになってたな……ミカちゃんの努力が実ってよかったというべきか?  いや、それにしても姫様の一声で処分取り消しとは……恐れ入る。


 「そして! 無事にその“漏れ漏れな電力”とやらを克服し、学園を卒業なさった暁には──管理局局長。つまり、大臣の座が約束されております!」

 「……」

 大臣って……俺が? いやいや、どんな飛び級だよ。


 「これでようやく、わたくしとも釣り合いが取れますわね……ふふっ。よかったですわ!」

 エネッタは満面の笑みだ。

 学校で勉強できることは素直に嬉しいけれど……なんか、平穏な生活がまた一歩遠のいたような、そんな不安が押し寄せてくる。


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