↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
しがない電気屋のおっさん、異世界で家電召喚ライフしてたら民から神格化され魔王から狙われる  作者: 余儀ノ理人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
40/130

学園編⑳

 姫様の転校初日。

 Zクラスの教室は、そりゃもうソワソワしていた。

 教壇の前に立つ姫様は、白銀の髪をふわりと揺らしながら優雅に微笑む。  制服姿であるにもかかわらず、まるで貴族の舞踏会にでも出席しているかのような存在感。  その姿に、生徒たちは目を見張り、ざわめきが止まらなかった。

 「……お姫様って本当に存在するのにゃ」

 俺の前に座るライミがそっと振り向き、きらきらした目でエネッタを見つめていた。

 「ふふ、ええ。今日から正式にあなたたちの“同級生”ですわ」

 エネッタは微笑みながら、まるで当然のように一番後ろの窓際の席に腰を下ろしている。

 目立たないようにしたいからって希望したらしいけど、かえってそれが他の生徒たちに緊張を与えている気がする。


 「うわぁ……髪、サラサラ……いい匂いがするにゃ……」

 自習中だったのをいいことに、ライミは机を離れ、エネッタにそっと近づいてくんくんと匂いを嗅ぎ始める。

 「ちょっ、おいライミ、嗅ぐなって!」

 俺は慌てて止めに入るが、エネッタは意に介さず、ふんわりとした笑みで受け流した。

 「当然ですわ。わたくしの日課は薔薇の蒸留風呂ですもの」

 「すごいにゃ~今度そのお風呂に一緒に入りたいにゃ」

 「おいおい、初対面で一緒に風呂はないだろ」

 「……」

 姫様もビックリした表情してるじゃないか。

 「……やはりここに来て正解ですわね。こんな面白い方がいらっしゃるなんて。今晩早速お風呂の手配をいたします。楽しみにお待ちしておりますわ」

 「やったにゃー」

 って、いいのかよ……いかん、いかん、想像しただけで罪悪感がハンパない。


 気まずさで目を逸らすと、ステラがこそこそと手帳を取り出してメモを取っている。俺が初めて来たときも、そうだったな。

 よく見ると、メモりながらぶつぶつと小声で何かしゃべっている。

 「……王族型生物、特殊な影響力あり。周囲の精神状態に乱れが生じる。要観察……」

 姫様も観察対象になっちゃったか。

 まぁ、下々の者たちとは育ちが違うっつうか、なんかオーラを感じるもんな。


 「ちょっと、そこの地味なあなた。今、何を書いておりましたの?」

 俺が変にステラを気にしたせいか、姫様がステラに興味を示した。

 「っ……別に。観察記録です」

 「あなた、趣味が悪いですわね。地味なのに」

 「……バグ認定ですね」

 静かに火花が散り、空気がピリつく。ステラのメガネがきらりと光った。

 確かに、あんま良い趣味じゃないけど、ストレートに言っちゃダメだろ。


 「みなさん、自習とはいえ、今は授業中ですよ」

 一番前の席のスイランが振り返って言った。

 トレスとの決闘の後、スイランは少し変わったな。色々と自分の意見を言えるようになった。

 「それと電次郎さん。制服に糸くず付いてますよ」

 そして、世話焼きも強くなった気がする。ルームメイトとしては、ちょっとこそばゆいというかなんというか。まぁ良いことなんだが。


 「電次郎様? その方はお付きの方ですか?」

 気遣ってくれるスイランに、エネッタは不思議そうに言った。

 「友達だよ。学校に付き人連れて来るのなんて姫様くらいだ」

 「そうなんですの? それは不公平ですわね。護衛には帰ってもらおうかしら」

 「それはそれで心配だから止めて下さい」

 姫様になにかあったら怒られるだけじゃすまなそうだしな。


 「アニキ、お姫様と知り合いなんて、やっぱマジすげぇすっね」

 トレスは相変わらずの軽い感じだが、スイランとの決闘を経て、誰とでも分け隔てなく接するようになった。

 やっぱ若いっていいな。 


 「初めましてエネッタちゃん。俺、トレスって言います。良かったら放課後お茶でもしませんか?」

 って、初対面で姫様を“ちゃん”付けはマズいだろって、ナンパもダメ。

 「ちゃん……考えておきます」

 姫様は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしてトレスに返した。

 まんざらでもないのか? それとも“ちゃん”付けされるのが初めてだった?

 まさか……恋の予感? 青春だねぇ。


 俺も学校を去らなくて良くなったし、有意義な学園ライフを堪能しようかな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。