第7話 ダンジョン協会の意味
五十嵐会長からとある話を聞いていた。
その話を聞いた健は顔を青ざめていた。
話が終わると会長は例のお願いを引き受けてやると話し、健を家へ返した。
「やはり、あの話はあの子には酷だったかのう。」
五十嵐会長が健に話した内容はとても酷いものだった。
それは五十嵐会長が会長になる前の話だった。
10年前、ダンジョンは世界にすでに誕生していた。
ダンジョンには今より危険な魔物が溢れていた。
その魔物達によってこの世界は1度滅んでいる。
魔物に挑んだ多くの者は命を落とし、最後の1人に残ったのが五十嵐 尚という男だった。
たった1人で魔物へ挑み、そのうち一体を満身創痍で倒すことができたのだ。
それでも魔物達はまだまだ溢れていた。
「悔しい!獣風情が!ふざけるな!私はまだ死んでいない!殺してみろ!」
五十嵐は感情を大きく揺さぶられ、身体が喰いちぎれようともその意思は魔物に対して消えることはなかった。
「ああ、なにもできずに死んでいくのか。悔しい。」
そんな時、ステータスが目の前に現れた。
『ユニークスキル 原点回帰』
「神はまだ...世界を見放していなかった...」
五十嵐 尚は迷わずにそのユニークスキルを利用した。
世界が逆再生していく中、五十嵐の身体は縮んでいくのだった。
そして腹の中の胎児まで時間が戻り、五十嵐は決意した。
『今度こそやつらを倒してみせる!今度は多くの者が力をつけて!』
それからは例のダンジョンが現れるまでに資金を集め、人材を利用し、多くの人を集めた。
『記憶があったのは都合が良かった。過去の出来事は覚えていたため、未来予知といった特別な能力があると周りに思われていた。』
その事を利用し、子供のうちから今までの知識で多くの者を育てあげた。
そして38年後、遂にダンジョンが現れた。かつての敵である白い悪魔もそこにいた。
だが、育てあげた五十嵐の弟子達はあっという間に白い悪魔を退治してしまった。
五十嵐の後始末は子供達に託すしかないと悔やんだ。
ダンジョンが現れてすぐにダンジョンの規制。18歳の少年達に力を与えることにした。本当は精神がまだ未熟な子供はダンジョンへ入らせるつもりはなかった。しかし、前と同じ繰り返しにするつもりはない。
誰にでも大きな力が与えられる。万が一その力を持つ者がいればその者に託せられるだろう。
そんな時、運命の出会いをした。
五十嵐達が勝てなかった白い悪魔の瞳に魅入られる1人の少年がいたのだ。
嘘を交えて白い悪魔の話をするとその少年はその瞳に更に魅入られたようだった。
なんとも不思議な少年だった。だが、危ういところもあるように感じた。
すると覗き込む少年に白い悪魔はいきなり襲いかかったのだ。
「やはりまだ生きていたか!」
あれほど苦労した悪魔が簡単にやられるとは思っていなかった。
五十嵐は応戦するしかないのかと思っていたら、その悪魔はその少年の眼の中に入っていったのだ。
もしかしたらユニークスキル所持者なのかもしれないと思い、彼を病院に運び話を聞くことになった。
彼はユニークスキルを所持していることを五十嵐に話してくれた。
先程の一件で更にユニークスキルを得ることとなったこととそのせいで持っていたスキルが消え、普通のスキルが得られなくなったことも。
五十嵐は彼に期待することにした。
ステータス強奪という稀な強力な力はあいつらを倒すのに役に立つ。
そして、なぜか彼に取り込まれた白い悪魔の力。
彼らもまた、なにかと戦っているのかもしれない。




