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このお話で完結です。

長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。


 弟の墓に刻まれた名を愛し気になぞり、エリフィスは墓に花を供える。


 丘の上の景色の良いその場所に建てられた弟の墓は、平民の墓にしては豪奢だ。ラース家がせめてもの償いとして建ててくれたものだ。


 弟の墓参りには欠かさず来ているが、エリスに名をもらってからは初めてだ。

 不思議と、弟が嬉しそうに笑っているような気がして、エリフィスの心に温かなものが宿る。


 しばらくの間、弟との思い出を思い返していたが、やがてそれが尽きると、「また来る」と小さな声で伝え、エリフィスは墓を後にした。


 


 帰り道、どこからともなく甘い花の香りがして、エリフィスは自然とエリスの事を想った。


 あの時、エリスに『殺してもいい』などと言われて、エリフィスは心底驚いた。だが、それ以上に、エリスが深い情をエリフィスに掛けてくれたことが嬉しかった。母親が我が子に注ぐ様な無償の情を、エリスはエリフィスに与えてくれる。


 でもそれは、あくまでも親子の様な『情』だ。エリスは命はくれるかもしれないが、エリフィスが望む形の『愛』は、向けてくれないのだろう。

 エリスの視線はいつも。エリスだけしか見ていないあの狂犬の様な男に向けられていて。どれほど努力しても、どれほど成果を上げても、あの男以上の視線をエリフィスに向けてくれることはないのだ。

 

 だがエリフィスはそれでも良かった。

 自分の想いが生涯叶わなくても。エリフィスの唯一は変わらずエリスであり、エリスはそれを許してくれるのだから。


 それにエリフィスは一つだけ、あの男に勝つことが出来た。

 

 エリフィスはふふふと、笑みを浮かべる。

 

 我が君の、憂いを晴らしたのは自分だと、心の底から誇る事ができて、幸せだった。

 

 

★【書籍化進行中】シリーズ1作目「平凡な令嬢 エリス・ラースの日常」

★【書籍化作品】「追放聖女の勝ち上がりライフ」

★【書籍化進行中】「転生しました、サラナ・キンジェです。ごきげんよう。」

★ 短編「女神様がやっちまいなと思し召しです」「悪役令嬢ですが、幸せになってみせますわ!アンソロジーコミック8」にてコミカライズ


こちらの作品もご一緒にいかがでしょうか。


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― 新着の感想 ―
想い出しましたわ。前作もこちらも以前様でおりましたが、久しぶりに読みました。 エリスがどんどん魅了していくのが素敵すぎ、お兄様が万能すぎ。面白い作品です。 きっとまた読みに参りますわ。さて、次の作品に…
[良い点] とっても面白かったです! 能力隠しているチート系設定めちゃめちゃ好みでした。また、各キャラクターの個性がちゃんと出てて良かったです。 このシリーズ続けてほしい!!
[一言] エリスラース、一気に2作拝読いたしました。 とても面白かったですわ。 ちょっと設定にツッコミを入れながら読みましたけど、 又、ぜひ執筆をお願いいたしますわ
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