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復讐者、最後の舞台を整える。


颯爽と現れたリョウマ。その姿はいつもと違った。リョウマがこの世界で好んで着ていたファンタジー特有のジャケットと長いダボっとしたズボンにブーツではなく、アマンダは見たことない被り物モノがついた長袖の上着に短パン、そして動きやすそうな靴で登場した。


「リョウマ?」

アマンダは側にきてくれたリョウマに問いかけた。

ただリョウマは想い人の危機に焦って登場していた、そのためアマンダの声は聞こえておらず、目の前にいるレオナルドに言い放つ。

「俺はお前を絶対許さない!」


強い眼差しでレオナルドを睨むリョウマ。

その宣戦布告にレオナルドは殴られた口から血を流しながらも嘲笑で答えた。


「この僕が殴られるとは…、ははは、憤怒め、余計な事を!」


「へへっ、ざまーみろだってよ」


「なるほど、想力を使って殴っているのか、その事はなんら不思議ではない。僕を殴るための第一条件ともいえる」


そういうと倒れていたレオナルドは立ち上がる。それと同時にラガーンはリョウマへと威嚇をするが、それを手でレオナルドは防いだ。


「いい、ラガーン…幾数千年で僕をここまで楽しませてくれたのは久しい」


立つと同時に体に付いた土埃をはたく。


「さて、どうしたものか?」


と、ここで考え込むレオナルド。


「主よ!ここでそのような無防備はあまりに危険かと!」

ラガーンが主であるレオナルドに強くいう。彼にしても主であるレオナルドが殴られるのは初めて見たのだろう。


それは同じくアマンダも思っていた。


「リョウマ!」

先程は無視をされたので強めに言うアマンダ。


「ん?どうしたアマンダ!まさかどこかケガしている?」

見当違いな事を言うリョウマに呆れながらもアマンダは質問をぶつけた。


「いえ、助けてくれてありがとう…だけどどうして彼を殴れたの?普通の攻撃は彼には届かないようになっているはずなのだけど…」


アマンダに流れ込んできたレオナルドに関する記憶は彼がこの世界の創造主であり、創造主が作った魔法やスキルの攻撃は彼が自動発動させる法則で無力化されるというものだった。これはつまり想力も


「あぁ、それは簡単だよ。まずは想力を纏わせて攻撃力を上げる。それに俺のスキル「英雄」の力によってその無効化の現象のさらに先へ飛ばすんだ、そうする事で届かない攻撃も届くようにさせたんだ」


「なるほど…理屈は分かるわ…それは転移魔法とかでもできそう?」

アマンダはほかの人でもレオナルドと対抗できるかを確認したいようだ。


「いや、魔法は無理そうだよ…スキルというよりも異世界人という存在っていう点が攻撃を有効にさせている大きな要因らしい」


リョウマは分からなかったので自分の中にいるレイジに聞いてみた。


「そう…ってさらっと想力を使えるようになっているのもすごいけどね、しばらく見ないうちに…」


「あぁ、向こうからこっちに寝返ったやつがいたから、会得方法を色々と教えてもらった」


「そうか、憤怒だけではなく、あの魔王にその方法を教わったのか」


レオナルドがリョウマの話を聞いた。


「あぁ、そうだレオナルドと言ったっけ?ラッシュから想力、レイジからはあんたを倒す方法を教えてもらった」


「一番の危険要因は君のようだね。だが、どうやら多くの仲間もいるらしいし…まぁ機会を与えるとしてこのくらいの余興はいいか…」


レオナルドはぶつぶつと話している。

そんな状況で魔王城の方から誰かがやってきた。


「おいおい、レオナルド様にラガーン?これはどうなっているんだ!」


リョウマの味方でスキル【太陽】の力を持つラフロシアから逃げてきたカモッラ・ギャングスタンはラガーンに聞く。


「あの男が主を殴ったのだ、カモッラ」

そうラガーンは言い、リョウマを指さす。


「何っ!はぁーはぁー、そんなことができるやつがいるのか?はぁーはぁー」

カモッラは驚きながらも息を整える。


「あぁ、異世界人なら可能だ…」


そういい、ラガーンの眼はまるで誰かを思い出すかのようにリョウマを見つめた。


「なんだ…敵が増えて…ん?」


カモッラが逃げてきた方向から何か熱い熱気を感じるリョウマ。

そして、すぐにそれがラフロシアのモノだという事が分かる。


「こらー!逃げるな…ってリョウマ!起きたの?!ミカロジュの森からここまで?!」


カモッラを追っていたラフロシアもリョウマの元へ着く。


「あら、珍しい飛行船が見えたから来てみれば…正解ね」

きれいな白髪を揺らしながら、ナメクジのような黄金の塊にのってきたスフィアも来る。



次に靄が出てくる。


そしてそこからなぜかルカルドとローナとレーナ、そしてラルフが出てくる。


「なっ!ルカルド、どうしてそんな奴と!!」

リョウマは当然ルカルドに聞く。彼の側にいるのはかつて敵だった人達だ。


「あ!いやちょっと待て、リョウマ!こいつらはどうやら本当のイグルシア帝国を守るために従っていた連中で今は俺ら魔王国の味方!」

とびかからんとするリョウマを見て、慌ててルカルドは止めに入る。



「そこらへんは後で話そうか。ローナ、監視ありがとう、これでこの世界の黒幕である彼に会えたよ…やっぱり俺の予想通り、そこにいる魔王に関しては直接迎えに来ると踏んでいたよ」


「ふむ…いつぞやラガーンが相手した異世界人か…面白い!ならこうしよう!」


レオナルドは集まったメンバーを見てから地面に手を置いて唱える。


「そうだね…スキル【創造】【次元】【中和】!」


そして遠くの地面から出てきたのは魔王城よりも高い、雲を超える高さの塔だった。


「今から最後の戦いをしようか、ただ世界をリセットするのもつまらないしね」


レオナルドは楽しそうに手を合わせて言う。


「私たちはあの塔で1週間滞在する。そして1週間きっかり経ったら、この世界のリセットを開始しよう。あの塔私を含めた7人で君たちの行く手を阻む。そして当然頂上にいる私を倒せば先ほどのリセットはなくしてあげよう」


「どうして、そんな事を?」

アマンダは思わず聞いた、これはレオナルドのメリットが無さすぎるのだ。


「今ここでやってもいいけど…それではつまらない…なぜなら、その倒す仲間には」


「君も含まれているからね、おいでアマンダ」


そういい、手を振るレオナルド。

アマンダは自分の意識が遠のくのを感じる。


「くっ!リョウマ、ごめん、このままあいつの言う通りに私はなるだろう…、あいつはこの世界を一回リセットするつもりだ、いますぐ殺…」


「アマンダ!!!」

リョウマはアマンダに強く呼びかけるが、届かない。

抱いて動きを止めようとするが、それをラガーンが止めに入る。


「主のものにこれ以上触れるな!」

「うるせぇ!!!」


とっさに防御するもその間にアマンダは跳躍をして、レオナルドの側に行く


「ふふふさて、いこうかアマンダ、彼らがどうこの状況を覆すか楽しみだよさてと…ではまただね、この世界の決着をつけよう!」

そしてレオナルド、ラガーンとカモッラたちは出来たばかりの塔へと歩んで消えてった。


スフィアやラルフは消えてったレオナルド達を見て、警戒を解かなかった。


ラフロシアは茫然とするリョウマを心配した。


「リョウマ…」


声をかけるラフロシアだが、リョウマは落ち着いていた。


「大丈夫だ、エマとスフィアも助けたんだ…お前もかならず助けるアマンダ」


「そうね」


リョウマの力強い言葉にラフロシアはうなずく。


「あーリョウマっちは平気かもしれないけど、けが人が多いのとまだ町は暴動を起こしているにゃ、言ったそっちの後始末をしてぎりぎりまで休んであの塔に取り掛かろう」

ルカルドはそういうとラルフに目を向ける。


「イグルシアのものは私の言葉を聞けば言う事を聞いてくれるよ、君たちは一旦魔王城に戻ってくれ、あとで話し合おう…」


そういうとラルフはレーナ姉妹に転移の繭を作ってもらい、二人はすぐにこの場後にした。


「で、早いところこいつらの話も聞かないとね…7人をどうするかも…」


スフィアは冷静に戦力を分析し、今後の展開を考えていた。


「あぁ、そうだな」


リョウマはそういうと、みんなと共に魔王城の方へと戻った。

こうして最後の戦いの舞台に物語は進んだのだった。


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