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タイトル未定2026/06/16 22:25

 大学の昼休みを、流花はいつものキャンパスで過ごしていた。

 この日は珍しく、流花一人が一番にテーブル席についていた。

 流花は頬杖をついて、窓から見える青空を見つめていた。

 最近は寒くなりつつあり、空は夏の青空から少しずつ遠のいて行った。

 白田流花、建築科の大学四年生。

 現在流花は、卒業と就職を控えていた。

 卒業の課題の製作に着手しているものの、思い描いているものとは全く違うものを作り、頭を悩ませていた。

 就活は、希望に沿った就職口がなかなか見つからない。

 卒業の課題と就職に、流花の気分は重たかった。

 友人の速水渚達は、まだやって来ない。

 流花は、大きなバックから携帯を出し、ラインを開いた。


「お待たせ〜」

 佐野の声で、流花は顔を上げた。

 佐野の隣には、田中がいた。

 田中は流花の隣に座り、佐野は流花に聞きながらテーブルを挟んだ田中の向かいに座った。

「あれっ、なぎちゃんは?」

「助教授に、つかまっちゃった。なぎちゃんに、先に行ってって言われちゃった」

「そうなんだ。あいつなぎちゃんに、色目を使っているからなぁ」

 流花と佐野が会話をしている間、田中はずっと流花を見つめていた。

「待たせちゃって、ごめん!」

 渚の声で、佐野は顔を上げた。

「ったく、とんでもない奴だな」

 流花も、渚に言った。

「なぎちゃん、災難だったね」

「授業終わりに呼ばれて行ったら、いろいろ手伝わされて、もう最悪」

「あの野郎。今度は俺が、絶対阻止をする」

「佐野君、ありがとう」

 渚を守る佐野を、流花はマスターと重ねて佐野を見つめていた。


 午前の診療が後少しで終わる頃、マスターの携帯のラインの着信音が鳴った。

 ラインが気になったマスターだったが、直ぐ見たい衝動をなんとか抑えた。

 午前の診療時間が終了し患者が途絶え、ようやくラインの着信を見ることができた。

 ラインの送信者は、流花だった。

(ちはるさんと、飲み友達になりました)

 マスターは、思わず吹き出した。

(馬場さんも誘って、四人で飲みに行きませんか?)

 ラインを送った後、顔を上げると看護師の亜美と目が合い、マスターは驚いた。

 しかし顔には表さず、亜美に言った。

「お疲れ様」

「お疲れ様です……先生楽しそうにラインを見ていましたね」

「そうですか?」

 マスターは、パソコンの画面に向かって、わざとらしく言った。

「休憩行ってきます」

「行ってらっしゃい」

 診察室を出る時、亜美はそっと振り返った。

 マスターは何事もなかったように、パソコンのキーを打っていた。

 ……ライン、彼女の……るかちゃんからのラインでしょ。

 思わず亜美は、そう言いそうになった。

 

 大学のキャンパスのテーブル席で流花達は、それぞれお弁当を広げて、就職活動の共有をしていた。

「佐野君は、もう就職が決まっているんだよね」

 流花がそう言うと、佐野が言った。

「決まっているって言っても、大学卒業が条件だから、気が抜けられないよ」

 佐野は大学三年生の夏休み、建設工事現場でバイトをしていた時に知りあった設計事務所の職員を通し、佐野の就職先は既に決まっていた。

「なぎちゃんも、就職先が決まったんだよな」

 佐野の言葉に、流花は声を上げた。

「なぎちゃん、就職先決まったの?」

「親のコネだけどね」

「コネ?」

「実は、実家が設計事務所なんだ。親の紹介で、就職が決まった」

「そうなの?佐野君と言い、なぎちゃんと言い、凄いなぁ」

「皆揃って、卒業しようね!」

 渚が力強く言った。

 その時、流花の携帯のラインの着信音が鳴った。

 大きなバックから携帯を出し、流花は携帯のラインを開いた。

「彼氏から?」

 渚の言葉に流花は静かに微笑み、ラインの返事を送った。

 流花の横顔を、田中がじっと見つめていた。

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