魔王のオーバーキル①
赤石…正式名称「近衛儀仗隊」。カイザル専属部隊。
<レルム、バーベキューの準備中。
カイザルが「懐かしいな。オレがやる」と、おせっかい発動>
レルム「カイザルさんって王さまでしたよね。一般軍人より手際いいの謎です」
カイザル「赤石だけの遠征が多かったからな。食事当番は回ってくるし狩りもする」
味見レルム「仕事上は格好いいんですよね…、美味い。
このソース、良いですね。とろとろで、よく肉に絡んで美味しいです。軍の特製スパイスより好きな味です」
ドヤ顔カイザル「そうか。おら、焼けたぞ。ソースの予備はここだ。好きに使って好きに食え。
そろそろ他の餓鬼も呼ぶか」
木箱を担ぐレルム「了解。完了」
木箱から顔出す女衆「…「「「わぁ…すごく良い匂い」」」…」
カイザル「ごくろう。褒美だ」
<レルムの皿に盛られた肉にタレをぶちまけるカイザル>
レルム「?! かけすぎです!」
カイザル「そうか」
レルム「?! 肉をさらに足し…?! 食いきれません!」
聞いちゃいないカイザル「好きなだけ食え。あとお前の妻はあれ…いや…オレが口出すことじゃねぇが、何やってんだ。良いのか? …良さそうだな、なんなんだお前ら夫婦。
レディ・アウローラ。腰やるぞ」
双子を背負って抱っこして走り込んできたアウローラ「はぁい、到着っ。え? いえ、大丈夫ですわ。わたくし、狂戦士の姫ですもの。こう見えて力持ちですの」
困惑カイザル「そういや…そうだな。いや、そうだろうが…なんだかな。
おい、スペルモル。お前それでいいのか」
遠い目スペルモル「うん…罰ゲームだから…受け入れる…」
絶対勝者カイゼリン「わたくし1位よ! おいちゃん2位、ふたりは同点最下位だから言うこと聞いてもらったわ!」
アレイン「4人でトランプした結果、本日の我がレディはゴーカート、おいちゃんはメリーゴーラウンドとあいなった」
お肉もぐもぐヒュプシュ「そうなんだおいしい! おいちゃんはおいしい手加減したのかなっておいしい思うけどスッゴくおいしい…スペルモルは意外だねぇ美味しいぃしあわせぇー!」
お肉もりもりアンナ「ぅうンまぁ…豪快な炭火焼きでしか味わえないこの香ばしさもさることながらタレがまた濃厚でぅうんまぁい…! ぅあー…贅沢ぅ。ヒトサマの手料理サイコー。
で、意外にも最下位スペルモル、敗因は?」
スペルモル「意外でもねぇだろ。俺は判断が遅すぎ、焦りやすい。アウローラは考えすぎ、顔にですぎ。おいちゃんは手を抜きすぎ。
その点、リンは最強。強運は必然。あの思いきりの良さと胆力には幸運の女神だって魅せられる。
てか意外はお前のほうだ、アンナ。男衆に運ばれていたろ、大丈夫なのか?」
アンナ「えーとね意識変化というか気が変わったというか…、出会い当初からツンしてきたせいで結果デレた形になって遺憾の意。柄じゃないからナイショだぞ。
異界でレルムさんによじ登っちゃったでしょ。とっくに信頼してたと今さら気づいたという話」
スペルモル「良かったな」
アンナ「うん笑顔まぶしい。唐突な無垢な弟かわいすぎる。
甘やかそ、あーん」
ほおばるスペルモル「うっ…めぇ…このソース。肉ビシャビシャにひたして食いたい」
レルム「聞こえた。ビシャビシャあります。スペルモル、あーん」
餌付けされスペルモル「ハラミ。ホルモン。骨付カルビ。ナスはいらね。牛タン。牛タン。牛タン美味い!! てかレルムは食わないのか?」
ナス食べるレルム「もう十分食べました。断ってるのにカイザルさん皿に乗せてくるんですよ。
さすがに腹いっぱ…ん?」
背後にカイザル「おらよ」
レルム「?! また肉てんこ盛り…っだからもう食えませんって言ってるでしょ!」
カイザル「そうか」
レルム「いや野菜なら食えるって意味ではなく! …食えなくもないけど!
…こうして食ってみるとやっぱり美味いんだよな。…う…腹はちきれそう…」
スペルモル「兄上、ヴィルヘルミナの皿が空なんだ。食わせてやって」
カイザル「いいぞ」
スペルモル「なぁ、その皿の肉もらっていいのか?」
レルム「ありがとう。野菜もどうぞ」
スペルモル「…ぐっ。ナス以外なら…」
焦りアンナ「ちょっとスペルモル、おにーちゃんになに言った?!」
貪りスペルモル「どうした?」
アンナ「カイザルさんが鍋奉行ならぬ肉奉行!
あたしらの皿に盛ってくる! 断ってんのに聞いちゃくれない!
ヴィルヘルミナなんて、わんこ蕎麦ならぬわんこ肉になってんだけど?!」
頭抱えるレルム「おれが救われたせいで被害が広がった…」
至福のスペルモル「俺まだ食える。いらないならくれ」
女衆「「「頼もしい成長期男子」」」
カイゼリン「わたくしにも分けてちょうだい。あと3口くらいがちょうどいいわ」
生き生きカイザル「湯たんぽちゃん、おかわりって言ったな? ほら」
カイゼリン「とうさまには言ってない。山盛りいらない」
生き生きカイザル「そうか、どんどん食え」
ジト目カイゼリン「もっと増やされたわ。仕方ないわね。『こらっ。カイザルも食べなさいっ』!」
<問答無用女帝からの餌付けに受けて立つ高速咀嚼魔王>
アウローラ「まぁ。微笑ましい」
レルム「健啖家だな」
アンナ「いんや? 顔よく見てみ。脂でとっくに胸焼けしてますって書いてあるし、なんなら途中から食べてないよ」
夫婦「「本当だ。口に入る前に肉が消失している。魔法で何とかしてた…」」
一仕事終えたカイゼリン「ふぅ。あーん楽しいわ! おいちゃんにもあーんしてくるわ!」
冷や汗カイザル「…行ったか。
おっとレディ、皿が空いてるぞ。まだイケんだろ?」
めっちゃうなずく至福のWヴィルヘルミナ「「…、…、…っ!!」」(語尾ハート)
満足げカイザル「他のレディたちも、ん? 皿はどうした…思い出した。これは分かるぞ、服が汚れるのが嫌なんだろう! ははっ。懐かしい。妻らや娘たちもそうやってやたらと皿を隠したもんだ」
女衆「「「そうではなく。ごちそうさ」」」
カイザル「任せろ」踵コーン
<女衆の手に新しい椀。まばたきする間もなく肉が山盛り。米なし汁だく肉増し増し増し丼>
冷や汗アンナ「胃をオーバーキルすなぁ…っ」
滝涙ヒュプシュ「うわぁん嬉しい! けど悔しい! 目はまだ求めてる! のに! …おなか限界だよー! もう入らないぃ…っ!」
うろたえアウローラ「あのっ、あのっ、誰かお肉まだ食べられるひと?!」
<ほおばりながら無言で手を上げるスペルモル&ヴィルヘルミナ&アレイン>
生き生きカイザル「ははは! よくぞ食いきった! えらいぞー! じゃあ〆いくか!」
満腹こえて死屍累々「「「「「…むりです…」」」」」
カイザル「赤石の門外不出レシピ、チーズボールだ」
口に放り込まれたら食べれちゃった一同「「「「「…ぅまぁあ…!」」」」」
カイザル「そうだろう。さて、口直しがいるな?」
全員「「「「「いるわけがない」」」」」
カイザル「ラッシーだ」
なんか飲めちゃう一同「「「「「…おいしいぃ…」」」」」
こっそりジンちら見せカイザル「アレイン。足すか?」
バランスボールと化し転がり寄るウキウキアレイン「いただこう」(美声)




