まれに役立つ魔王の心遣い
エロム(19)います。苦手な方、ご自衛願います。
<珍しくひとりで談話スペースにいるレルム>
アンナ「あれ。アウローラどした? 振られた?」
レルム「不吉なこと言うな。思ってもないくせに『とうとうこの日が来たか…』みたいな気の毒顔を演るな。
これからデート行くから待ち合わせだよ」
察しアンナ「ほぉん。「またせてごめんねー」「いや今きたところさ」ってやつね。
と、すると、行き先はレルムさんの温泉地?」
レルム「秘密基地…? いや秘密ってわけでは…そういや聞かれないから話してないな。
まだほとんど完成していないけど、興味あるなら君も行くか? 足湯くらいなら出来るよ」
アンナ「デートに割り込むわけないでしょうが。でも完成したら招待してもーらお。
ところでアウローラってさ、生卵を持っていこうとしてない? 「温泉たまご一緒に作って食べましょ」って誘われたパターンだなコレ」
図星レルム「君もうホント怖いどーなってんの。やりとりの現場は絶対に見られてないのに、なんでそこまで当てられるんだよ?!」
そっと目をそらしアンナ「そりゃアンナちゃんはヒロインだから。存在がメタだからお見通しってモンよ」(まぁ今回に関しては作者だし)ボソッ
地獄耳レルム「? …、」
焦りアンナ「あんれ聴かれちゃった気がするぅ? 口の中でしか言ってないのにそれでも聴こえちゃう??」
目を細めて注視レルム「…」
絶対に目を合わせないアンナ「美味しい温泉たまごの作り方を知っているかねレルムくん! あれ実はコツがあってねっ」
野生の勘レルム「アンナ嬢。最近、執筆の進捗どうだ?」
アンナ「ギクリ」
察したレルム「もしや筆がのってきたんじゃないか? 書き上げたんだな、あの『ラブラブでちょっとエッチなヤツ』を。そしてアウローラに感想をねだった」
アンナ「ギクギクリ」
名探偵レルム「舞台は温泉街とみた。導入はラブコメとやらなんだろう? 恐らくレディ好みのロマンティックでほのぼのとしたデート、しかし途中から急角度で展開がおかしくなる…行き詰まって執筆中断、後に再開したからだ」
アンナ「ギクギクギクリ」
名探偵レルム「気が向いて筆をとったものの、本来の予定をころっと忘れていたってところかな。
君なら「まぁいいや、ギャグ路線にしよ。派生、派生」だのとその時の気分でグルメ系に走ったんじゃないか?
キーアイテムは温泉たまご?」
<そっと首からネックレスひっぱりだし男性体へ変身するアンナ>
レルム「アナンくんは書いてないから職質られる筋合いないね、じゃない。アナンはアンナ嬢。きっちり同一人物として扱うが?」
アナン「いやでもホラあんた男性体だと説教の代わりに腕立て百回とかで許してくれるじゃん」
レルム「うーんじゃあ今後は説教で」
アナン「ギャフン! 墓穴ほった!」
レルム「活字中毒者は興味を刺激されたら再現したがる…今日のデート、顛末を既に察していそうだな。
その焦りようからして、おれが期待する展開にはならないってことか?」
アナン「あわわアンナちゃんに慣れてきちゃってる。これはマズい」
レルム「と、いうことは、おれががんばって良い雰囲気に持っていったとて、温泉たまごが全年齢対象を維持してしまう、と」
アナン「それでええやん! お腹いっぱい美味しいの食べて健全にイチャイチャすればエエやん!」
エロム(19)「常にアウローラが足りないんだが!」
アナン「いや足りててよ同居夫婦!」
エロム「現役軍人の男に無茶言うな!」
アナン「現役軍人への風評被害!」
レルム「妻や婚約者を前にすれば仲間たち皆こんな感じだ! つまりおれはごく健全!」
アナン「開き直るのはおやめ! 理想の殿方に現実を見せるのもおやめ!」
レルム「もしやおれセクハラごめんなさい!」
アナン「全然許す! 正直、下ネタ嫌いじゃない。嫌よ嫌よな感じでツッコみたいから、もうちょいぶっちゃけていいよ!」
レルム「…アナンだと軍の仲間と喋っているような気になれて楽なんだが、中身アンナ嬢だと考えるとレディとしてそれはどうなんだと叱りたくなる。
しかしどっちにしろ君かと気づいたら、性別でくくることそのものが野暮なんじゃないかと思えてきて、今すっごい複雑」
アナン「ほぉん。新たな扉を開きかけている、と。よろしい。ならばアナン兄さんが全開にしてあげようね。ほれ」
レルム「? レポートか? 『図で解説、夜のアレコレ』…開き直りやがった! なんだコレ!」
アナン「クローズド女子会の資料だよ。参加者の夫だから特別だゾ☆」
レルム「いつぞやのか! 女子会って名乗っておいて何故おれを巻き込む!
この際だから言わせてもらうぞ、ガチ箱入り娘にアングラ情報を吹き込むんじゃない! 真に受けちゃうんだよ! 素直で真面目だから!」
アナン「いやぁだってねぇ「レルムを喜ばせたいの。飽きられたら哀しいわ」なんて健気な相談されたら、こっちとしても本気出すってもんで」
レルム「飽きるとかじゃないんだが! 現実に存在しようと見なくていい分野ってのはあるんだが!
男側にもロマンってもんがあってだな!」
逆ギレアナン「趣味じゃないならしなきゃエエねん! 一生懸命なアウローラちゃん可愛いねん!」
レルム「分かるけど!」
アナン「じゃあ、つど話し合えばエエねん! あんたらならソレが出来るやろぉ!」
しずしずやって来たアウローラ「準備できたわ。待ってくれてありがとう。行きましょ…あら。カイザルさま。ごきげんよう」
ソファにふんぞり返って本を読んでるカイザル「よぉ、レディ。どちらに用だ?」
困惑アウローラ「レルムですが、ええと…」
<対面ソファでなにやら言い合ってるレルムとアナンを見る。口パク状態で声が聴こえない。モザイクがかかった紙束?を押し付け合っている>
アウローラ「消音魔法…ですね? え。これ…まさかケンカしてます?」
調教済紳士「いや。じゃれているだけだ。餓鬼らの耳には入れたくない下世話していたからな。
今回に関してはおせっかいではないとオレでも分かる」
困惑アウローラ「ええと…そうなんですね…?」
<カイザルが勝手にかけた消音魔法とかに対する反応>
アンナ…まったく気づいていない。なんなら対面ソファにカイザルいることも気付いていない。
レルム…カイザルが来たことも居ることも何か魔法使ったことも気付いているけど気にしていない。「アウローラ来たから早く切り上げたいのに口ゲンカ勝てないんだが」
ちなみにカイザル…若い衆がじゃれてる空気感がわりと好き。「この騒がしさ懐かしいな」とか思ってくつろいでる。
アウローラ…作中に出てきた「できたて温泉たまごを乗せた薄切り焼き肉弁当」で夫をもてなしたい。




