世界は廻る、レティーシャの誤算 八
差し迫った問題ではないが、あっちで自分がどうなっていったとか気になる。それは当然だ。でも、しかし!この人の城でやっていた事が凄く気になる!
200年ダラダラしてお金持ち?何その夢みたいな社内ニート生活?いや、仕事はしていたのか。それが簡単過ぎて忙しそうに偽装はしつつサボっていたと。世の中の天才はこうやって楽して富を得るのか!
「あの、その、国でお金数えていた話って長いですか?話から外れるのは分かっているんです、分かってますが気になって……」
「うん?まぁ、そんなでもないよ?今まで数十人で計算してた人達が結構汚職とか横領してて、それが私の計算で判明したから全員逆賊扱いで処刑されちゃったんだ、一族郎党まとめて。」
「え、一族を?全員、死刑ですか?」
「まぁ子供や女性は流刑だったかな?でも男児は7歳以上は大人と一緒だよ。で、そこからはずーっと私が計算してた、それだけ。私の給金はとっても高かったけど、それでも数十人に払っていた分の5人分位だったかな?だから国として破格だったんじゃない?」
羨ましい、凄く羨ましい。よくある異世界で現代知識を使ってチート無双を現地の人間がやっていたなんて。こんな事って、こんな事ってあるのか?
刑に処された人達が哀れとも思うけど、悪事の結果の応報だから、なんとも。
ん?いや?待てよ。おかしくないか?
「あの?何でレティさん、今ここにいるんですか?」
「モビーがいるからだけど?」
「いや、今のは俺の尋ね方が悪かったです。国の仕事をせずに何でここにいるんですか?」
「仕事を辞めて国を抜け出してきたからだよ、それ位は分からない?」
「だから、レティさん居なくなったら誰が国の国庫?で良いのかな?それの計算とか管理しているんですか!?大問題じゃないですか!200年も誰も他の人間が携わってないんでしょ!?」
アラビア数字導入後の計算を誰にも引き継いでいないならもうそういった計算はロストテクノロジーじゃないか。
「あぁ、私が種を蒔いて置いたから今頃芽を出している頃だよ」
「…………。種を、ですか」
「何、どうしたの?何を…………ッ!!」
軽く絶句していた、そんな俺の両肩を彼女は勢いよく掴んで揺さぶってきた。
「違う!!違うよ!?例えだよ!?誤解しないで!私がしてきたのは私の計算方法と数字を王族の王位継承から遠くて疎まれていた王子に教えていたって事だよ?私には子供なんかいないし作った事もない!そもそも種を蒔くのは男であって女の私はッ」
「お、落ち着いてくださいレティさん!」
「何なら今からここで私を抱いて証明をッ!!」
「落ち着けって言ってるでしょう!」
痛くない程度に手加減して彼女のおデコにチョップしてみた。
「ったぁッ!!?」
俺の手はあまり痛くなかったが、彼女はどうだろうか?同じ衝撃でも個人差があるし。
「落ち着きましたか?」
おデコを押さえてしゃがみ込んでいる。やり過ぎただろうか?
「ごめん、落ち着いた。痛いけど大丈夫。棚から落ちてきた本が当たった位だから」
「すみませんでした」
レティさんのおデコを確認する。腫れてはいない感じだけど判断には時間経過が必要だろうか?悪い事をしてしまった。
「大丈夫、大丈夫だからね?えっと、置き手紙をして城を出てきたんだ。それで、手紙の内容は」




