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聖女じゃなかったので、王宮でのんびりご飯を作ることにしました  作者: 神山 りお


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687 既視感



 公王アーリャの住居は町の中央、塀にグルッと囲まれた場所にある。

 四方八方どこから攻められても1番遠い場所で、居住地に魔物が来てしまった時には、町の人達が避難する場所にもなっているそうだ。

 その町の人達は避難こそしていなかったが、ちょっとした混乱状態に陥っていた。



 なにせ、王竜や真珠姫の攻撃など、防壁の内側からは知る由もなかったからである。

 食事や寛ぐ時間帯に、突然始まった爆音と衝撃、何事かと外に出れば、遥か遠くに見える土煙と光。

 誰も彼もが、魔物の仕業かと思っていたに違いない。

 屋敷へ向かうアーリャや護衛達が、大丈夫だと声を掛けていたおかげで、だいぶ収まったが……というより、その後ろにいるフェリクス王やシュゼル皇子の美貌と圧倒的なオーラに、皆は恐怖を忘れて惚けていた。



 絶対的な覇王感……いや、魔王フェリクスと、微笑んでいるだけで安心感がある美貌の大賢者シュゼル。そして、ちょっと可愛いエギエディルス皇子。

 あれだけ混乱して騒いでいた町の人達は、その3人が見えると一瞬シンとなったが、すぐに騒然となり始めていた。

「え?」

「アーリャ様の後ろにいる人達は誰?」

「高貴な御方って事は分かるな」

「ねぇちょっと、見えないからどいてよ!!」

「な、お前押すな!」

「あれ? アーリャ様の隣にいる人、アーリャ様になんか似てないか?」

「本当だわ」

「え……てか後ろにいる人達、スゴい美形なんだけど!?」

 魔物の襲撃かと家の外に出ていた人達は、今度は違う意味でざわざわしていた。

 先程までの恐怖など、もはやスッカリ忘れてしまっているみたいだ。



「「「きゃあぁぁーーっ!!」」」

 シュゼル皇子がニコリと微笑んで手を振れば、黄色い悲鳴が上がる程だった。

 きっとこれで、恐怖など完全に払拭されたに違いない。

 もはや町の者達の話題は、アーリャの引き連れていた美形が誰かで、持ち切りだった。




 ◇◇◇



「着いたぞ」

 己の手の平と睨めっこしていた莉奈は、いつの間にか屋敷前に着いていた事すら気付いていなかった。

「あ、ありがとうございます」

 フェリクス王に、まるでお姫様みたいに支えられて地に降りた莉奈は、緊張からやっと解放されてホッと息を吐く。

 恥ずかしさを誤魔化すために辺りを見渡せば、屋敷の前には大きな池が見えた。そして、その池を挟む様に反対側には、こちらの屋敷と遜色ないくらいに立派な別邸が建っている。

 どうやら、そちら側の二階建ての立派な建物が賓客用で、我々が今夜泊まる予定の屋敷らしい。



 その大きな池には、橋が掛かっている。

 どうやら、真ん中にある島を中心に、こちら側とあちら側の両サイドから橋が掛かっているみたいだ。なので、わざわざ迂回しなくても、橋を渡ればあちらの屋敷に行き来する事が出来る様だった。

 


「あれ?」

 莉奈はその池の中心にある島に、1本の木が生えている事に気が付いた。

 しかし、お世辞にも立派な木とは言えず、ヒョロヒョロと痩せ細っている。木の品種には、一見そう見える木もあるだろうが、莉奈には瀕死の様に感じた。

 むしろ、桜みたいな幹でどこか既視感がある。

「あ」

 そうだ。

 アンナの番である竜のポンポコが、強引に引き抜いて来た聖木に似ていた。



 莉奈が目を凝らす様にして見ていれば、アーシェスも何だとその視線の先に目を向ける。

「え? 嘘、あれって聖木よね!?」

 一目見ただけで分かったのか、それとも知っていたのか、痩せ細った聖木を見て驚愕していた。

「やだ、枯れちゃってるじゃない!!」

 遠目でもハッキリ分かるくらいに、聖木は白味を帯びていてヤバそうだった。

 どうやら、そういう品種ではなく、元は立派な聖木だったらしい。






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