(21)私の愛しいお兄様
ようやくここまで来た
人格は経験という名の記憶によって作られます。
お兄様の人格は前世の記憶に基づいていて、それが決断し、引きこもっているんですよね?
でも、お兄様は勘違いをしています。
お兄様が初めて覚醒した時、前世の記憶は既に私の脳にも刻み込まれていたのです。
その前世の記憶を持ってこの身体で経験を重ねてできたのが今の私です。
魔力を頭に巡らした時、赤ん坊の経験不足の脳より、明瞭な前世の記憶が強く表れたため、その時だけ『お兄様』の人格が活性化していましたが、それ以外の時も私の中に前世の記憶はあり続けたのです。
お兄様は、自分の存在が私という存在を塗りつぶしてしまう、歪めてしまうと恐れていましたよね?
その意味では、お兄様の恐れは全く手遅れで見当はずれなのです。
その上で申しますね。
私は私です。
お兄様の記憶と私の経験からできている私の人格は、お兄様の記憶しか持っていないお兄様の人格とは違います。
それとね、お兄様。私は結構怒ってるんですよ。
お兄様の記憶が私に影響を与えた点については既に言いました通り、まったく見当違いで、私は全く苦にしていませんし、お兄様が罪悪感を感じる必要はありません。
底抜けの件も、結局のところ『お兄様』の決断である以上、『私』の決断ですから、責任云々をするだけ意味が無いのです。
それにあれはあれで、面白い経験もできたから善し、です。
えっ? 創世の記憶ですか。もちろん私も見てますよ。お兄様が見て、感じたことは私も全て識っています。だってお兄様の記憶はすべて私の一部ですもの。
そうではなくて、私の魔力循環を散々邪魔してくれたことです。それも見当違いな勘違いで引きこもって、いつまでもグジグジして、それでこんなに可愛い妹に迷惑をかけるなんて、本末転倒です。
今すぐ抵抗を止めて出てきなさい、おかーさんが泣いてますよ。
お兄様の前世ですか? もちろん知っていますよ。****だったことも、それ故に、それだからこそに私を殺しかけたをあんなに後悔し、怖がっていたんですものね。
でも記憶は記憶です。お兄様が何であれ、それに優劣はありません。
人殺しの人生を描いた本を読んだからって、人殺しになるわけじゃありません。
記憶、記録、小説、ドラマ、絵画、写真、漫画、映画、実写、アニメーション、映像、音楽、音声、テキスト。それが何であれ、人格に影響を与えることもあれば、与えないこともあります。
私はお兄様の『記憶』を識り、影響され、今の『私』になった。ただそれだけです。
えっ? さっきのお兄様が私の一部ってどういうことかって? 言葉通りです。
そう、それが、お兄様の最大の勘違い。
私とお兄様は別の人格、いわゆる多重人格や憑依ではありません。
お兄様は別の人格などではありません。私の思考の中にお兄様がいるのです。
前世の記憶だけでできた人格ならばきっとこういう風に考え行動すると私が想像してエミュレートした私の妄想がお兄様です。
お兄様も以前、沢山の仮面を使い分けていたじゃないですか。それと同じです。
お兄様。生まれた時から一緒の、大事な大事なイマージナリーお兄様。
判ったらいい加減ひきこもるのを止めてください。
主人公の性格は故あってオカシイです。(あらすじより)
『イマージナリーお兄様』というフレーズは個人的にとても気に入っています
明日も投稿予定
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