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別にスキルなんてなくてもいいじゃない

宣言していた予約登録分です。

「ソータさん!! 今の発言は取り消してください!! 早く!!」

「え?」


 俺が若干困惑していると、周囲の視線が俺に突き刺さるのが分かった。中には殺気を孕ませている物もある。


「キミ、面白い事を言うね?」


 言い争いをしていた俺達の後ろから声が掛けられる。もしかしなくても俺の事だろう。


「そんなに面白い事を言ったつもりはないけどな。だって事実だし」


 恐らく先ほど殺気を向けて来た内の一人がコイツだろう。恐らく年齢は俺と大きくは変わらないだろう男がこちらに歩み寄ってきた。

 特に意識しているわけではないだろうが、歩いている最中も身体にブレがない。恐らく先ほど絡んできたおっさん達よりは腕は立つのだろう。


「そうか、なら戦闘スキルを持っていないキミが、僕と戦って勝つ事も出来る。という事かな?」

「アンタのスキルは知らないけど、俺がアンタより強ければ勝てるんじゃないか?」


 そもそもスキルがあろうがなかろうが、戦闘前にお互いスキルを見せ合うわけじゃなかろうに。


「ははははは、なるほど!! それはその通りだ!!」


 男は何がおかしいのか、急に笑い出して納得した。やだこの人怖い。


「おい、アレってユースじゃないか?」

「本当だ……血濡れのユースだ。あのガキ……殺されるぞ……」


 外野からなんか物騒な言葉が聞こえてくる。なんだよ血濡れって。マジで怖いんだけど。


「ちなみに僕は<ホルダー>で剣術スキルのレベルは6だけど、キミは僕に勝てると思う?」


 いや、それがどれくらい凄いのか分からんし。確かクラウスは同じ剣術スキルがレベル4だっけ? って事はクラウスよりも強いって事か。


「知らん。勝負なんてやってみなきゃ分からんし、別にアンタと戦う理由だってないしな」


 別に戦いなんて好んでやるもんじゃない。いくら治せるったって斬られたら痛いし。


「戦う理由、か。そうだね、確かに今キミと戦う理由はない」


 などと言いながら、ユースが腰から剣を抜こうとしたのが分かったので、剣の柄頭に手を添えて止める。


「いや、今っていうか後にもそんな理由作らせないけど?」


 流石にこれには驚いたのか、ユースが目を見開いて俺の方を見る。そして一瞬殺気が膨らんだと思ったら、直後にその殺気は消えた。


「なるほどね。キミの名前は?」

「蒼汰だ。別に覚えなくてもいいよ」

「ソータ君、か。覚えておくよ」


 そう言ってユースは俺に背を向けて立ち去って行った。なんだったんだアイツ?


「あのー」

「ん?」


 と、また後ろから声を掛けられた。なんか今日は後ろから声掛けられてばっかりだな。


「ソータさん、でしたっけ? 冒険者登録の件でお話があるんですけどー……」


 どうやらメイが戻ってきてたようだ。


「結論から言うと、最初は駄目な雰囲気だったんですけど、さっきの揉め事を見た結果でオッケーって事になりました」

「ええ……?」


 そんな言葉を掛けられて、俺は困惑してしまう。

 つまりなんだ。図らずしも俺はあのユースって奴に助けられたというか……


「なのでギルドカードをお渡ししておきます」

「あ、はい」


 なんとなく釈然としない気持ちになりながらも、手渡されたそれを受け取った。


「さて、冒険者登録が終わった人には色々説明があるんですが……ミアさんがお待ちのようですし、説明はミアさんからして頂いても?」

「……」

「あれ? ミアさん? ミアさーん!?」

「はっ!! あ、はいなんでしょうか!?」


 どうやらミアはミアで放心していたらしい。また怒鳴られるのかと思ったが、一瞬こっちを睨むような目で見た後、溜息をついてメイに向き直った。


「ええと、ソータさんの冒険者登録は先ほど完了して、ギルドカードをお渡ししました。で、諸々の説明をしているとミアさんが依頼を受ける時間がなくなっちゃうので、同行するのであれば説明はミアさんからして貰って、他に分からないところがあればギルドに来て貰ってー、と思ってるんですが、お任せして良いですか?」


 やたら親切にミアに説明するメイ。


「あ、はいそういう事なら大丈夫です。私から説明しておきます」

「ならよろしくお願いしますねー。ソータさん、くれぐれも死なないように頑張ってください!!」


 それは励ましてるんだろうか?


「では依頼について説明しますね」


 なんだかんだ色々ありながらようやく、冒険者としての初めての依頼を受ける事になるのだった。



ようやく第一目標の10万字の半分を超えました。

徐々に読者様も増えてきているので嬉しい限りです。

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