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意味がわからない。
何が起きたんだ?
冷たいリビングの床に右頬をつけながら考えるが、今はその時ではないだろう。
気付いたら夜になっており、キッチンのほうに歩いて行く零華の姿が見えたから、起き上がって昼前のはなんだったのかを問いただそうとしたのだ。
立ち上がってみれば、なんだか久しぶりに体を動かしたような気がし、ぎこちなかった。
ふらつき、倒れそうになったので、少しその場でストレッチをする。
そして、いざ訊きに行こうとしたとき…
ガラスが割れた。
カチャリと鍵が開けられた。
見知らぬデブが進入してきた。
そして、そのまま俺へと突進してきた。
吹き飛ばされ、腹に違和感を感じた。
今更ながら腹を見る。
ほ、包丁っ!?
うわー、うわー。
っべー、やっべーぞ。
血があんま出ねえ、もしかして、引っこ抜いたらドバドバ出てくるのだろうか?
って、そんなこと考えてる場合じゃねえっ!
あのデブっ!
「……このバイオハザードを生きぬくベストパートナーなのですからなっ!」
なんか吼えてるぞ!
ベストパートナーだとう?
それよりも、バイオハザードってなんだよ?
ゲームか?それとも、細菌兵器が使われたか?
おっかねえなぁ。
「い…や…こな、いで。」
し、しまった。
零華の声だ。
零華がキッチンにいたんだった!
アノコヲタスケネバ…。
マモル、守る、まあぁぁぁもおぉぉぉるうぅぅぅ!
そう思うと、バネのように跳ね起きた。
自分でもわからないくらい、不自然な起き上がり方だった。
それはさておき、キッチンへと向かう。
「でゅふふ、い、いまから、さ、さ、さわってたしかめてあげるね?でゅふ。」
「い、いや、いやだ…たす、けて…リキ兄さんっ!」
「でゅふっ!アレは、動く死体に成り果てたクズですぞ!こんな美しい姫をおいて、自殺だとは…」
「自殺?俺がか?」
「「っ!?」」
なんだ、なんだ?
俺、寝てただけなのに自殺呼ばわりとはひっでーなー。
そして、寝起きの姿が動く死体って、寝違えて首の向きでもおかしかったのかよ!
「ひっひいい、じょ成仏、しろっ!」
俺のほうへと振り返ったデブは、そのまま俺へとハンマーを…
がしっ!
ぼきっ!
「ひ、ぶひ、う、ふぃ~~い、い、い、だだだだっだ、あ、ばばば…うで、うでぇっ!」
振り下ろそうとしてきた、ハンマーを持った左手を俺はすかさず左手で握り、そのまま捻った。
捻ったつもりだったが、中ほどから折れた。
だが、義妹に何かしようとしていたヤツだ。
それに、俺に包丁プレゼントしてくれたし。
殺すか?
殺してしまおうか?
ソウダ、ヤッテシマオウ…
「だめ、リキ兄さん。ヒトはダメだよ?」
ソウ、カ。
了解シタ。
なら、とっとと出て行ってもらおう。
デブの折れた腕を握ったまま、開けられたリビングから外へ出る。
そして、そのまま、道路のとこまできたらデブを先に歩かせ、その背を蹴った。
「でゅひぃっ!?」
夜中には五月蠅かったのだろう、ぞろぞろ、ずるずると複数の足音が聞こえてくる。
面倒ごとは嫌いなので、俺は踵を返した。
玄関は…ちゃんと閉まってたか。
仕方ないので、またリビングから自宅へと戻った。
すると、道路のほうから…
「ひっ、ひいいぃ!く、くるなぁ、拙者は主人公だぞっ!」
ばかばかしいなぁ。
主人公なりたきゃ、もうちょっと鍛えとくんだな。
「な、男ばっかりっ!囲まれるならっ!せ、せめて女子が良かったっ!げえええ、親父まで居やがるっ!?」
おや、どうやらあちらさんの父親が出張ってきたのか。
そりゃあ、こんな時間だ。
ご近所迷惑だったのだろう。
「あ、あが、がひゅっ!あ、あ、あっ、あーーーーーー!!!!」
ぐちゃぐちゃと変な音が聞こえるが、聞こえない聞こえない。
食欲がなくなっちまうぜ。
あー、零華を安心させなくては、ついでに、耳栓つけるか?
それとも、テレビ…
って、テレビは消してあるな。
まあ、俺が寝ているうちに零華が消したのだろう。
そう思っていると、自分の腹に包丁刺さりっぱなしなのを思い出して…
意識を手放した。




