僕と世界の終わり(1)
図書館で時間を使いすぎたかと思ったが、たいしてHRに遅れる時間にはならなかった。
教室にはすでに何人か生徒が来ていた。
「図書館まだ来てないんだな。」
「珍しいな、休みか?」
教室で僕の話題が挙がっている声が聞こえた。
(今入るのはまずいな)
自分の話が挙がってる時は、特に話の中心の人物に視線が集まる。だから話が一段落ついたら入ろうと思った。
「そういえばさーあれどうなった?」
(よし、話題が変わった?)
話題が変わった頃を見計らって、
教室のドアにてをかけた。すると、
「あーあの図書館のやつな。」
図書館?僕に関することなのか?ふとはいるのを躊躇した。
「懸けのやつかあの
『友達ごっこ』」
………………ドアにかけた手が止まる。何を言ったんだ?
『友達ごっこ』それは僕の事か?ダレガボクニ?
今いる友達と言えばアキしか……
背筋が一瞬にして冷えた。身体じゅうに氷が張り付いたような錯覚を覚え、一つの考えにたどり着く。
コレイジョウカンガエルナ
僕は考えることを無理矢理やめ、教室のドアを開ける。
さっきまで談笑で賑わっていた教室は、波が引くように静まり、僕が席にたどり着くのをと同時に再び賑わい始めた。
{治癒力とは、子供方が強いとされる。
それは心も同じで、汚れのない無知の心の絵の具に、黒を塗りたくっても、新しい知識という新しい白絵の具でもとに戻れる。
ただ成長とともに得られる知識の絵の具は、知識得た歓喜を忘れ薄く、そして淡く、色さえなくし、水そのものに近づく。
裏切り、嫉妬、猜疑心、憤怒、こういった負の感情は幼い頃に通り、対処出来るようになり、世界を広げる。僕にはその工程が無かったのだ。そう、新しい知識でも治らない歳になり、硬く脆い心を守り、裏切られないように、心が崩れないように、誰も内側に入れないようにしてきた。そしてまた強く思う。
[これ以上壊れませんように。]}