第三話 放課後のケンカ
【場所は3日後、夜九時、地図を送りましたので
きていただければ、私の方から話しかけます。】
返信が返ってきた。
自分と同じ考えをもった人間。
会ってみたい。会話をしてみたい。
もしかしたら、危ない人かもしれない。
ただのひやかしかもしれない。
だけど、こんなに歪んだ考えをもった自分と
同じような考えを持った人間がいる。
きっとこれから生きていく中で、共感できる人間に会える確率なんて
0に等しいだろう。
少し考えてメールの返信をした。
【わかりました。】
次の日起きると雄二はまた学校へ行く。
いつもと同じように戒が話しかけてくる。
「おう!雄二!!!他の学校に生意気な奴がいやがってよぉ!!
今日、放課後ケンカするんだよぉ!!」
また、ケンカか。
「相手が何人連れてくるかわからないんだけどよぉ!
正直、俺一人じゃやばいかもしれねぇんだよ!」
やばいとかいうけど、俺は戒がケンカで負けたことをみたことがない。
前に二人で、駅にいた時に5〜6人ととケンカになったが、
ほぼ、無傷で戒は勝っていた。
そのくらい、戒は強かった。
「戒なら、100人きても余裕だろ?
俺身長低いし、行っても足手まといだよ。」
笑いながら、そう話すと戒が語りだす。
「何言ってるんだよぉ!お前が強いのは俺は知ってるんだよ!!!
一年の時に、俺がここの頭をぶっつぶそうとしたら、
倒れててよぉ!そこにはお前がいたじゃねぇかよ!!」
ああ・・・あの時のことか。
俺も中学生の時は荒れていて、高1までは一日一回はケンカをしてるくらいだった。
正直、ほとんど負けたことはないし、ケンカには戒ほどじゃないが自信がある。
中学生の時、ボクシングをやっていたのも一つの理由だが・・・。
「あれは、たまたまだよ。戒なら俺がいなくても大丈夫だよ。」
いつものように流そうとしたが、戒がしつこく頼んでくるので
一緒に行くだけと約束をして、了承してもらった。
めんどくさいことになっちまったなぁ・・。
放課後、戒を含む数人の不良グループと一緒に他の高校生がいる場所へ向かった。
くだらない話をしながら、10分ほど歩くとその場所についた。
もうすでに、相手の高校生は鉄パイプやら木刀をやらをもってやる気満々だ。
「おうこらぁ!!!戒!!てめぇ!!ぶっ殺してやるよぉ!!」
相手のリーダー格であろう男が大声で叫ぶ。
そいつを含めて15人くらいいる。
こっちは5人。あきらかに不利だ。
だが・・・・負けないだろう。戒がいるし。
「おう!お前等!!!行け!殴れ!!!」
戒がそう叫んだが、さすがに人数が多いので、不良グループの数人は
びびっていて、ためらっている。
そうすると相手の高校生5人ほどがこっちに走って向かってきた。
「うあああ!!!」
鉄パイプをもった男がこっちの仲間に向かって鉄パイプを思い切り振り下ろす。
それを思い切り頭にくらい、不良グループのうち一人が血を流してしまう。
「いてぇ・・・いてぇ!!!」
「うあ・・・うああ!!!」
こっちの不良グループは全員逃げ出してしまった。
血がでたやつも泣きながら、そいつらの後を追った。
「おいてめぇら!!!」
戒の呼びかけもむなしく、戻ってはこない。
それもそのはず。
いつも戒と一緒にいてでかい顔をしてるが、あいつらなんて
人に頼り切ってるどうしようもない奴らだ。
そうすると、むこうの奴らは笑いだした。
「ハハハ!お前も逃げてもいいんだぞぉ戒!!」
そうすると、戒の目つきが変わった。
こうなると、戒はとめられない。
しかし、さすがにこの人数はきついかもしれない。
やってやるか・・・。
「戒。強そうなやつは任したよ。」
そう言って俺は、鉄パイプをもった数人に向かっていく。
まずは一人にとび蹴りを食らわした。
そして、着地すると同時に思い切り顔面に拳を打ち込む。
「このチビ!!!」
近くにいた仲間が鉄パイプを振り下ろしてくる。
俺はそれを、かわして、そいつの髪の毛を掴んだ。
「はいはい。武器は危ないから離そうね。」
その直後、顔面を思い切り殴った。
ボクシング仕込みのパンチだ。
相手は数メートル吹っ飛んで一撃で気絶した。
「戒!!さすがだぜ!!俺もやるぜぇ!!!」
戒も相手の高校生達に向かってく。
戒はめちゃくちゃ強い。
そしてめちゃくちゃタフだ。
多少攻撃をくらっても、ひるまず相手を打ち倒している。
10分ほどすると、立っているのは俺と戒とリーダー格の男だけになっていた。
「ほらほら!逃げてもいいんだぜ!!!」
戒が笑いながらそういうと、相手の男はキレたような表情をみせた。
勝てないと悟ったのか、懐から何かをとりだす。
ナイフだっ!!!
戒はちょうど、こっちを向いていてナイフに気づいてない。
相手のリーダー格の男は戒に向かってくる。
「戒あぶねぇ!!!」
俺は戒を思い切り蹴っ飛ばした。
嫌な記憶が頭をよぎった。
「ちっ!!!邪魔すんじゃねぇ!!」
リーダー格の男は俺に矛先を向けた。
「てめぇ!!!!」
ナイフで切りかかってくる。
俺はそれをよけて、間合いをはかる。
「そんなもん使って強がってんじゃねぇよ!!!」
ナイフをもった右腕に思い切り蹴りをぶちこんだ!!!
相手のナイフは吹っ飛んでいく。
「あ・・・・。」
そして、すかさず間合いをつめて
「出直してきな。」
顔面にパンチをぶち込んだ。
相手のリーダー格の男は思い切り倒れて長いケンカが終わった。
ケンカが終わると戒と二人で家の方向に俺達は歩き出した。
「なぁ、雄二。助けてくれてありがとな。お前やっぱめちゃくちゃ強いよ。」
戒は照れくさそうな表情で俺にお礼を言ってきた。
俺にとって必要なない人間なのに反射的に体が動いてしまった。
それは何でなんだろうな・・・。
「そんなことないよ。戒には勝てないしね。」
そうすると戒は大声で笑った。
「まぁ俺の方が強いけどな。お前の蹴り。めっちゃ効いたぜ。
お前ともいつかタイマンだな。」
「いや、勘弁してください」
二人で声だして笑った。
どうして、俺は戒を助けたんだろうな・・・。
別にいなくなってもいいって思ってるのに・・・。
その時の俺にはその理由はわからなかった。
だけど、その時は深い意味なんてないって思っていたんだ。
その時、笑えたことが心から笑っていたなんて今の俺には気づくよしもなかった。
「戒、ケンカはあんまりすんなよ。」
俺がそう言うと戒は微笑んでいた。




