第1話 相談
俺の名は沢木 幸太郎。 現在失業中で独身の冴えないオッサンだ。
そんな俺だが、怪事件に巻き込まれることになった。
事の発端は、俺の家の近所。 鈴木東高校の学園祭の1週間後に起きた事件だった。
大勢の高校生とその保護者、および数名の教員が、ほぼ同時刻に事故死もしくは病死したのだ。
学校はもちろん休校、閉鎖され、マスメディアもネットもこの「鈴木東高校 同時多発不審死事件」の話題で連日大騒ぎとなっていた。
しかも原因らしい原因はいまだ特定されておらず、死亡した人々はみな心臓麻痺およびそれが原因で起こした事故によるものだった。 新たなパンデミックか、新種の毒薬か、世間では様々な憶測が飛び交った。
かく言う俺の甥、沢木 良一もこの高校に通う2年生。 幸いなことに彼は今現在、生存しているが・・・
「おじさん、俺・・・ 俺のせいで・・・ 俺がみんなを殺しちゃったかもしれない・・・」
こんな相談をされるとは思わなかった。 カウンセリングは専門外だが、現在失業中である俺には人の悩みを聞く時間はたっぷりあった。 彼の両親はこんなときでも仕事が忙しい。 かまってやれるのは俺ぐらいだ。
「考えすぎだ良一。 悲惨な出来事のあと生き残った奴は一度は考えることかもしれんが、根拠の無いことで思いつめる必要はない。 もっとも、名前を書いたら死ぬノートとかを拾って使ったとかなら話は別だが・・・」
「ノートじゃない、曲だよ」
「は?」
「聞いた人間が死ぬ呪いの曲、それを俺が学園祭の演劇に使ったから・・・ かもしれない」
「何だそりゃ、そんな曲どこで手に入れた? てかそもそも、そんなモンで人が死ぬわけないだろう?」
詳細を聞くと、それはどうやらフリー音源のBGMだった。
1か月くらい前、良一は所属している演劇部で使うためのBGMを探していた。 学園祭で発表する演劇で使うためだ。
だが適当にネットからダウンロードして劇の練習に使用してみたところ、部員から「これはよくSNS動画で使われてるBGMだから、この曲がかかったら有名動画配信者たちの顔がよぎって、劇の内容に集中できないのではないか?」という声が上がった。
そこで良一はもっとマイナーなフリー音源のサイトを探すことにした。
そこで見つけたサイトに、呪いの曲があったという。
曲のタイトルは「不協和音」
さらにその曲のコメントには「この曲を聞くと7日後に死にます」と書いてあったそうだ。
どうやら悪い偶然が重なったようだ。
「でも、お前が試しにその曲を聞いて、編集したんだろ? じゃあ良一も死んでなきゃおかしいだろ」
「それは・・・ そうだけど・・・」
「偶然だよ、偶然。 それにそんなBGMがネットで公開されているなら、世の中もっと心臓発作で死んでる人間が多いハズだろ?」
「そっか、そうだよね・・・ うん、ありがとう、おじさん。 俺のせいじゃないよね」
「そう、良一は犯人じゃない。 ・・・コーヒーおかわりいる?」
「うん!」
少しだけ良一の顔が明るくなった。
良一を家に送り届けたあと、俺は例の呪いのフリーBGMとやらがどんなものか興味が湧き、調査を開始した。
俺はまず良一の親である、俺の兄貴に電話をかけるべく、スマホを手に取った。
「もしもし、兄貴? ちょっと頼みたいことがあるんだけど、良一が出てた演劇って動画とかないかな?」
読んでくださり、ありがとうございます。
高評価☆☆☆☆☆ 感想、たいへん励みになります。
よろしくお願いします。
企画初日に間に合わせるつもりが、ダラダラして出遅れちゃいました・・・




