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影が薄いけど魔法使いやっています  作者: りょう
第5章陰謀と謁見の王都
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第47話謁見と再会

 僕にとっては二度目、だけどセレナ達にとっては初めての王女との謁見。

 大きな扉が開かれた先で僕達を待っているのは……。


「遠路はるばるご苦労様です、冒険者様方」


 二つの椅子のうち一つに座っているシェルティアと、そこまでに並んでいる沢山の城の使いの人達。僕達四人は、その圧倒的な光景に圧倒されながらも、敷かれた赤いカーペットの上を歩く。


「この度は御招きいただきありがとうございます、シェルティア様」


 彼女の目の前まで到着した僕達は、跪き挨拶をする。今の言葉を発したのはセレナ。いつもの彼女とは違い、しっかりとした言葉で挨拶をしている。


「そんな固くならないでください、謁見というのはあくまで表向きで、ただ私は貴方方にお会いしたかっただけですから」


「ですが」


「遠慮しなくていいですよ、セレナ。ユウマ様達も気を楽にしてください」


 シェルティアに促され、僕達は跪くのをやめ立ち上がる。


「さて、改めましてこの度は長旅大変お疲れ様でした。私のわがままを聞いていただき、ありがとうございます」


「い、いえ、私達にとってはとても光栄な事ですから」


「先日のフュリーナでの魔王軍との戦いは、フェルナから報告をいただいております。街を守っていただいたとか」


「それはユウマとアリスがした事で、私達は特に」


「そんなに謙遜なさらないでください。水神祭を盛り上げていただいただけでも、充分な功績ですから」


「あ、ありがとうございます」


 先程から押され気味でシェルティアと会話をするセレナ。やはり緊張しているのか言葉が時々途切れ途切れになっている。


(でも何でだろう、少しだけ違和感があるような……)


 言葉にはできないけど、そこはかとなく二人の距離に違和感を感じる。到底初対面とは思えないそんな違和感が……。


「ユウマ様も長旅お疲れ様でした」


「え、あ、は、はい。ありがとうございます」


「やはり私の目は間違っていなかったようですね」


「はい? それはどういう意味でしょうか?」


 そんな言葉を発したのはセレナ。


「貴方達は光の英雄についてご存知ですよね」


「はい。かなり有名な話ですよ」


「なら私が言いたい事は分かりますよね? 彼が持つ魔法、そして英雄。これらが何を結びつけるのか」


「ちょっと待ってください、それはつまりユウマが」


「いえ、違いますよ。彼には素質がありませんから。だから彼の魔法をいただこうと思いました。ユウマ様は拒否しましたが」


 個人で呼び出したから、てっきり隠すのかと思っていた事実をペラペラと話すシェルティア。その言葉に僕以外に動揺が広がる。


「魔法を奪い取る、それは禁忌」


「分かっていますよ。でも禁忌を侵してでも、私はこの国を、世界を守るべきだと考えています」


「だったらその役目をユウマが……」


「甘く考えないほうがいいですよ。何の素質もなかった異世界の人間が、私達の世界を救えるとでも?」


「なっ、どうしてそれを」


 僕の事さえも平然と話す王女。その表情は最初に僕達を出迎えた時みたいな柔らかさはなく、どこか黒いものを感じた。


「もうこの事に関しては既に彼には話しております。協力してくれれば、それなりの待遇もすると」


「ユウマ、本当なの?」


「……うん」


「だったら断って。ユウマがそんな事する必要もない」


 アリスの言う通りだ。禁忌な事は知らなかったけど、そこまで僕が体を張る必要もない。僕は僕なりの使い方で、この魔法と共に生きたい。そう思っていた。

 だけど僕の中で揺れ動く感情は、シェルティアの言葉を拒否できずにいた。


「……ユウマ?」


「もしかして迷ってるの?」


「どうして? こんな必要もない事をどうしてすぐに断らないの?」


「……」


「ユウマ!」


 三人の言葉に僕は返事ができない。三人には絶対に理解できない僕の中の感情。元の世界に戻りたいというこの感情。


「迷う必要はありませんよ。協力してくれれば、貴方は元の暮らしに戻れるのですから」


「元の暮らし……まさか、元の世界に」


「察しが早いですね、人形使いさん。そう、私は魔法をもらう対価として、彼を元の世界に戻す約束をしたんですよ」


「そんな……」


「さあ時間は与えましたよ、ユウマ様。答えを聞かせていただけませんか? 貴方の仲間が揃っているこの場所で」


「僕は……」


「駄目ユウマ」


「ユウマ、間違っているよ、元の世界に帰ったら約束を破る事になるんだよ。そんなの格好悪いよ」


 胸が苦しい。セレナ達の言葉が、僕の胸に訴えかける。


(どうすればいい、僕はどうすれば)


「何を迷っているのよ馬鹿ユウマ」


「……え?」


 突然別の方向からどこか懐かしい声がする。僕はその声の主を探す。声がしたのは、さっきも見かけた、マントを被った謎の人物。


「余計な口出しをしないでくれませんか?」


「別に余計な事じゃないと思うけど」


 フードを脱ぎながら、王女の目の前にやって来る女性。フードの下から現れたの、長くて整っている綺麗な黒髪。僕はその人物に見覚えがあった。


「光……希? どうしてこの世界に」


「相変わらず情けない顔しているわね、馬鹿ユウマ




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