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影が薄いけど魔法使いやっています  作者: りょう
第4章僕達の日常は常にハード
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第40話転生の真意 後編

『ユウマにはこの世界で生きる資格と、その資質があったの。だから私は彼に私の力を託したの』


 シレナが語った内容の中には、僕にも知らない事が多かった。特に何の特技を持たない影のような僕に、資質があったとは到底考えにくい。


「僕の住む世界にはそもそも魔法なんて存在しないんだよ? それなのにどうして資質なんか」


『存在しないからこそ、かな。下手に元から力がある人よりも、空っぽの状態の人間の方がその力を与えやすいの』


「それはその通りかも。私達の世界も必ずしも全員が魔力を持って生まれてきたわけではないから」


 そう答えるのはアリス。


「そういえば私の村、魔法を使える人って多くなかったのは、そう言う事?」」


「そう。だからユウマもそれと同じなのかもしれない」


(一から足すより、ゼロから与える方がいいという事なのかな……)


 魔法とは無縁だった僕にとっては、何とも難しい話なんだけどどうやらシレナが言っていることは正しいらしい。


「じゃあユウマは本当にこの世界の人間じゃないんだね」


「黙っててごめん。話しても多分理解できないと思ったから」


「まあ、それはそうかもね……」


 遠い目をするセレナ。彼女からしてみれば、自分が既に死人である事はとても重大な秘密だ。それを僕以外の二人に話していないのは、やはり僕と同じ気持ちだからなのだろう。


『三人は知っていると思うけど、ユウマが使えるのは光の魔法。それはこの世界の闇を照らす力を持っているの』


「それって」


「光の英雄の方?」


『そう。この世界は間違いなく破滅に向かっている。それを止めるには神の力を託された者、即ち英雄が必要なの』


「英雄? 僕が?」


 最初出会った時それに近い事は言っていた。だからこの力を託すのだと。でも、僕なんかが英雄なんかになれるのだろうか。


『とにかく今話せるのはこれだけ、かな。それとユウマと二人だけで話したい事があるから、三人は席を外してくれないかな』



「それって私達は聞いてはいけない話なの?」


『むしろユウマにしか分からない話だから、お願い』


 シレナの頼みに、三人は少し不満げなものの席をはずす。残されたのは人形と僕だけ。一体シレナは何を……。


『さてとユウマ。いい機会だから話しておかなければならない事があるの』


「僕に?」


『そう。そろそろ知りたいんじゃないかと思って』


「知りたい? 何を」


『自分が死んだ本当の理由と、その意味を』


「死んだ理由?」


 確かに僕は自分で気づかない内に死んでしまったけど、そこに意味があるとまでは考えていなかった。


 納得はしていたけど、理解はしていない


 それが自分の死への気持ち。


『いい? 今から話すのは到底信じられないような話だけど……貴方は……』


 ■□■□■□

 ユウマがこの世界の人間ではない


 その事実は少なからず私達の間で衝撃が走っていた。


「しかも私の人形がいつの間にか乗っ取られていたなんて……」


「そこは別にいいんじゃないの?」


 私の呟きにセレナがツッコミを入れる。だけどそんな彼女に対しても、私の中には一つ疑問があった。


「セレナもユウマみたいに何か隠し事しているんじゃないの?」


「え? 何を突然」


「水神祭の夜、誰と話してた?」


「え? 私は誰とも……」


「残念だけど、私全部聞いてたから」


 その言葉に驚いた顔を見せるセレナ。ハルカは何の話か分からない様子のまま、私達の話を聞いている。


「ぬ、盗み聞きはいただけないよ? アリス」


「誤魔化してもダメ。ユウマもちゃんと話してくれたんだから、セレナも話すべき」


「セレナ、本当に何か隠し事を」


「ち、違う。私は隠し事なんか……」


「セレナ」


 沢山隠し事をしている私が言えることではないことは分かっている。嘘だというなら否定してくれても構わない。


「やっぱり隠せない……か。ごめんね、アリス。ずっと黙っていて」


「じゃあやっぱり、セレナは……」


「うん。ずっと前から死んでいるの。いわゆる霊みたいなものなのかな」


「え? ちょっと待って。セレナが死人なの?」


 その告白に驚いたのは勿論ハルカ。私も最初聞いた時は、同じような反応をした(盗み聞きだけど)。彼女とは昔からの仲なのに、既に死んでいたなんてどうして気がつかなかったのだろうと何だと思った。

 どうしてちゃんとした形で聞く事ができなかったのだろうと後悔もした。けど、どんな事があっても事実は何一つ変わらない。


 私の親友は既に死んでいるのだ。


「でもならどうして死んだのにこの場所に」


「それは多分、私が後悔している事があって、成仏出来ていないんだからだと思う」


「後悔?」


「そう。ずっとずっと、私の中に消えることのない後悔」


 セレナが後悔していること


 この前の話の中では聞き取ることはできなかった。だからそれ以上の言葉を私も発する事ができない。


「とりあえず……今はこの事は忘れておいて欲しいの。私もこの話をするのは、その、好きじゃないから」


 そう言うとセレナは家の外に出てしまう。残された私とハルカは、何とも複雑な気持ちでそれを見送ることしかできなかった。

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