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影が薄いけど魔法使いやっています  作者: りょう
第4章僕達の日常は常にハード
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第39話転生の真意 前編

 迎えた翌朝。やはりというべきか、シーナには昨日のような元気がなかった。


「ママ……」


「ごめんなさい、シーナ。いきなり色々な事を言われて、混乱していると思うけど、貴女には普通の生活をしてもらいたいの」


「でも、ママと一緒がいい!」


「ごめんなさい、それはできないの」


 まだ母親離れするには早すぎる年の彼女にとっては、今日この日まで育ててくれたミゼと別れるのは辛い事。だからというべきか、僕はどうしても煮え切らない気持ちでいた。


「……でもね、いつか貴女が大きくなって今よりも成長したら、その時は会いに来て。私は待っているから」


「私もう十分大きいの! だからママと別れるなんてそんなの嫌!」


 ミゼに抱きつきながら泣きじゃくるシーナ。それをあやすようにミゼはよしよしと頭を撫でるが、やはりその顔はとても悲しい顔をしている。


(ミゼさんも本当は別れたくないんだ。それなのにどうして……)


 どうしてこんなにも辛い選択を選んでしまったのか。母親としてここまで育てなら、責任とって育ててあげればいいのに。そんな気持ちが僕の中を駆け巡る。


「セレナ、やっぱり見てられないよこんなの」


「ユウマ、我慢して。私だって……他の二人だって辛い」


「なら!」


「それでも駄目なの。一時の感情で、私達がそれを止めちゃいけないの」


「分からないよ、何が間違っているの?! 何で人と魔物が共に」


「ユウマさん」


「え?」


 突然ミゼさんに声をかけられる。僕達が言い争っている間に、シーナを寝かしつけ……いや、きっと魔法か何かで眠らせたのか、彼女を抱きかかえそれを僕達に渡してくる。


「出会ったばかりでこんな事を頼むなんて酷なのは充分承知しています。でも、これが私達親子の宿命なんです」


「宿命?」


「今はこの言葉を理解できなくても構いません。でも貴方がその意味を知った時、きっと思うはずです。私の選択は正しかったと」


 眠るシーナの髪を撫でながら、優しくミゼは微笑む。それは本当の母親のようで、その表情を見るだけで僕の心は締め付けられる。


「約束通りあの家は貴方達に譲ります。その代わりに、私の……私の大事な娘をよろしくお願いします」


 最後に一礼した後、ミゼはシーナを託して僕達に背を向けて歩き出す。


(本当にこんなのでいいのか? 誰も望んでいないはずなのに、こんな形で……)


 僕は彼女を引き止めたい気持ちにかられる。だけどそれを制止したのは、アリスだった。


「駄目……ユウマ」


「っ!」


 声を出したい。ただ一言。こんなの間違っているって。たった一言、たった一言でいい。世界の事情とかそんなのどうでもいいから、僕が……。


「待っ」


「ユウマ!」


「どうして止めるんだよセレナ。何も間違った事をしていないだろ」


「間違っていなくても、駄目!正しい事が全て正しいわけじゃないの! 今私達がするべき事は、彼女を見送る、それだけなの!」


「そんなのおかしいよ! 誰も喜ばないこんな世界、間違っているよ!」


「ユウマ、落ち着いて」


「セレナもそこまで怒鳴らなくても」


 セレナと僕の言い争いにアリスとハルカが割って入る。こんな間違った世界でこんな想いをするくらいなら……。


『ちょ、ちょっと落ち着きなよユウマ。それ以上余計な事を言ったら……』


 するくらいなら!


「転生してこの世界にくるより、大人しく眠りについてればよかったよ!」


「「「え?」」」


「あ」


『あーあ』


 やっちゃった……。


 ■□■□■□

 結局はミゼを止める事はできなかった。未だに眠っているシーナが起きた時にどんな反応をするかと考えると、心が痛い。

 けどそれ以上に心が痛い事があった。


「ねえどう言う事? 転生って何?」


「え、えっと」


「私聞いたことある。生まれ変わりみたいな」


「それってつまり、ユウマは死んでいるって事なの」


「いや、死んでいるというか、その」


 自分がやらかしたせいなのは分かっているけど、まさかこんなにも早く三人に自分がこの世界の人間ではない事がバレてしまうなんて……。


「今まで私達に話していた事は全部嘘だったんだ」


「嘘というか、その」


 遠からず嘘はついていないのだけど、それを今言ったところで理解してくれないだろう。ならやっぱりちゃんと説明するべきなのかもしれない。

 僕が今抱えている全てを。


「分かったよ、全部話すよ。いつかは話さないといけない事だとは思っていたから」


「じゃあまずは教えて。ユウマはこの世界の人間ではないの?」


「うん」


「信じられない……でも、どうしてこの世界の人間じゃないのに、魔法が使えるの?」


『それは私が説明する』


 そう言って喋り出したのはアリスの人形。勿論中身はシレナなのだけど……。


「どうして私の人形が説明するの?」


『それも全部話すわ。ユウマの尻拭いは好きじゃないけど』


「本当にごめん……」


 ただ謝ることしか出来ない僕。その傍でシレナがここまでのあらましを全て説明してくれた。勿論僕の知らない事も……。


「え? ちょっ、ちょっと待って。その話は初耳なんだけど」


『あー、そういえば説明してなかったっけ』

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