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09.【家族会議】

その次の週末、親父と義母(かあ)さんが久しぶりに帰宅した。


かくかくしかじかと手短に説明した後、百聞は一見にしかず、とばかりに庭で芽依(いもうと)を巨大化させた。


義母(かあ)さんごめん。俺がついていながら……」

「芽依。あんた……大きく育つようにって『芽依』と名付けたけど大きくなり過ぎじゃないの」

「ちょっ、お母さんソレはないでしょっ!」


義母(かあ)さんもあれでけっこうズレてるんだよなあ。


「芽依ちゃん、血がつながって無くても、どんなにデッカくなっても芽依ちゃんはパパの大切な娘だからね」

「お義父(とう)さんもあんまり恥ずかしいこと言わないでっ!」


おい、バカ親父、義娘(むすめ)溺愛するのも大概にしとけ。


休日の朝から住宅街に出現する巨大少女。

今日の芽依は、下から覗かれるのを嫌ってジーンズのパンツルックだ。


挿絵(By みてみん)


「あらぁ、芽依ちゃん。今日も大きいわねえ」


なんてご近所さんが挨拶していく。


「おーい、芽依。元のサイズに戻ってくれ。家族会議すんぞ」


忙しい両親をわざわざ呼び出したのは、高橋先生から提案された官学共同プロジェクトについて話をするためだ。



「芽依がイヤなら断ってもいいんだぞ?」


俺は真っ先にそう言った。


「でも、髪の毛こんな高く買い取ってくれるのは魅力よね」


義母(かあ)さん、金に目がくらんじゃってるよ。


「確かに、生体由来の有機物で太さ3mm耐荷重200kgなんて他にないからね。

やっぱりパパの義娘(むすめ)は凄いなあ」


親父、論点はそこじゃない。


「それに、こんな家まで用意してくれるってホントなのかしら?」

「それはホントだよ義母(かあ)さん。巨大女子高生が騒ぎになるのはみんな都合が悪いんだ。うちだけじゃなくてね」


そう。高橋先生からは、巨大化した芽依が身を隠せる家の見取り図も渡されていた。

人間用居住区が4LDK、それに巨大化した芽依がそのまま寝られるような巨大ベッドまであるうえ、500インチの業務用プロジェクタ、さらに巨大トイレまで。

万が一、巨大化したままだったとしても最低限の生活ができるように考えられていた。


「このトイレはどうするつもりなんだい?」

「あー、よく気がついたな親父。実はトイレが一番の問題なんだ。さすがに水洗にするはには必要な水の量がとんでもないことになるだろ?」

「なら、池田さんに相談してみるのはどうだ?」

「池田さん?お向かいの??」

「ああ、アイツとは古い付き合いなんだが、浄化槽の開発/販売を行なう中堅会社に勤めてな。今や研究開発センターの所長だったはずだ」


あー、そう言えばこの家で芽依が初めて巨大化してトイレに行きたくなった時に、浄化槽貸してくれるって言ってたな。


「官学共同プロジェクトだからな。ウチの勝手には出来ないぞ、一応、先生に聞いて、上手くすれば発注って形になるかも知れないけど」


ってそうじゃない!


「そもそも芽依はこのプロジェクトどうなんだよ?」

「アタシ?……お義兄(にい)ちゃんに任せる」

「お前の話なんだぞ?もっとちゃんと考えろよ」

「考えてるわよっ、お義兄(にい)ちゃんにはこのところ迷惑かけっぱなしなんだし、少しでも負担減らしたいの分かんないの?バカぁっ!!」


芽依(コイツ)がそんなこと考えてるなんて驚いた。


「じゃあ俺の本音をいうぞ。この話、メリットは大きいと思う。

でも、芽依のプライバシーが行政と医者に常時監視されるようなもんだ。

メリットと比べて、芽依がそれでガマンできるかどうかで決めるのがいいと俺は思ってる」


ほとんどためらうこともなく芽依は言った。


「分かった。それでいい」

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