『ホールインワンの部屋』
ホールインワン:ゴルフにおいて一打でカップに入れること。
「お兄ちゃん、ホールインワンって、どれだけすごいの?」
「さあな。ゴルフやってなきゃ、いまいち分からないよな」
「うん。どう例えるといいんだろうね?」
「ゴルフって、白球を何度か打ってカップに入れる競技だろ? その少なさを突き詰める中で一打って言うのは、こう、なんだ、なんとなく凄そうな気はするよな」
「なんか、あやふやになるね」
「そういうもんだろ。実際、ゴルファーに水泳の解説は出来ないし」
「それもそうだね。水泳の時に『ああっと、五十メートルのターンでフェアウェイに落としていったぞ!』って言われても……結構面白そうだね」
「そうだな。お題の人に別の機会を設けてもらってもいいかもしれん」
「久しぶりの登場だね、お題の人」
「顔出しNGだけどな」
「NGっていうか、顔あるのかな?」
「恐いこと言うなよ」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「調べたところ、ホールインワンはすごいらしいぞ」
「そうなんだ。やっぱりすごいんだね」
「だが、PAR3で発生するから、結局の所はイーグルと同じ扱いらしい」
「……すごい、の?」
「まあ待て。ここまで聞くと、ただ難しいだけで価値がありそうには思えないが、実際にやってみるとPAR3を三打でカップインさせることすら、アマチュアゴルファーには難しいみたいだ」
「そ、そうなんだ。プロの人達って簡単にグリーンオンさせてるから、そう見えないね」
「だが確立にするとすぐにわかる。1/12000らしいぞ」
「???」
「すまん。お前に確率の話は難しかったか」
「ち、違うよ! 想像しにくいんだよ」
「まあ、それくらい難しいことなんだ」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「すごいことって分かったら、やってみたくなったよ」
「やめとけ」
「どうして?」
「ホールインワンなんか、やっても意味ないから」
「えぇ~~カッコいいじゃん」
「あのなぁ、ゴルフって無料じゃないんだぞ。まあ、何やるにしてもそうだが。ホールインワンを決めたところで賞金がもらえるわけじゃない。一瞬の称賛の為だけにホールインワン目指すなんて、アホすぎるからやめとけ」
「……やめる」




