『一般論の部屋』
一般論:広く全体を論じること。意味は複数あり。
「終末論に続いて一般論か」
「なんか、いよいよデビューって感じだね」
「デビュー? なんの」
「哲学者デビューだよ」
「……前回同様に盛り上がりに欠けそうだからって、無理やり別の話題に持って行くな。今度、哲学者の部屋にしてもらえばいい。やったな、ストックができた。お題の人も喜んでると思うぞ?」
「ど、どんな風に?」
「やったーって」
「……」
「すまん」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「でも、一般論って何すればいいの?」
「俗世間に溢れる一般論を端から端まで叩き斬る、お昼時の三分コーナーだ」
「昼よりも深夜番組にありそうだね。朝まで討論する長時間コースは?」
「面倒だ。となると、またしてもお題の一般論から離れていきそうだな」
「……じゃ、じゃあとりあえず一般論をお題にしようよ。そうだなぁ、私の議題は、妹はお兄ちゃんと結婚してもいいと思ってる。ってことかな。あれはきっと議論の余地なく正しいよ。うん」
「おい。そんな偏った理論は一般論に発展しない」
「えぇ~~」
「本気で残念そうな顔するな。女子力下がるぞ」
「あっ、女子力と言えば――」
「待て。これも次回以降の部屋にしてもらおう。きっと神様も喜んでる」
「どんな風に?」
「わっはっは。お題がネズミ算のように増えていくぞ~って」
「……」
「ごめん。ちょっと高層ビルから紐無しバンジーしてくる」
「早まっちゃ駄目! お兄ちゃんも死ぬなら私も一緒にバンジーさせて!」
〇〇〇〇〇〇〇〇
数十分後。
「話題を戻そうと思う」
「……」
「どうした。腹減ったのか? それとも日焼けサロンが恋しくなったのか?」
「違うよ! それより、どうして黙ったら空腹か日サロの二択になるの?!」
「違うのか?」
「どっからどう見てもそんなキャラじゃないよ! ほら、白いもち肌! キープしてるんだから、わざわざ日焼けしに行かないよ! え、何のためにキープしてるのかって? そりゃあもちろん、お兄ちゃんに触ってもらうため……」
「そういえば、紫外線は皮膚がんに影響あるのか?」
「……」
「どうした? やっぱり日焼けサロンか?」
「どうして一択……。もう日サロはいいよ。お兄ちゃんの話題は?」
「そうだな、妹は総じて変なキャラクターが多い」
「偏見だよっ!!」
〇〇〇〇〇〇〇〇
「……待て。俺達はいつの間にか一般論に辿りついてないか?」
「へ?」
「辞書を引いたところ、一般論っていうのは、問題を保留にしたまま一般的な事柄だけを論ずる議論の事って書いてある」
「……つまり?」
「俺達は、こんな議題じゃ盛り上がらないという問題を保留したまま、まったく無関係ないつもの会話に花を咲かせていたんだ」
「あ……」
「恐るべし、一般論」
「……ただ、いつものノリになっただけのような気がする上に、一般的な内容という点で頷けないのは私だけ?」




