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COSMOS

悪魔との騒動、代替わりの儀式が終わった後に色々とあった。

まず白蓮さんについてだが、3年間の記憶がないらしい。自分がいない間に新型ウィルスによるパンデミックが起こっていたり、ロシアが戦争を始めていたり、元総理大臣が暗殺されたことを聞かされ、異世界にでも飛んできたかのような顔をしていた。

それよりもショックだったのは発売前日には店に並んで購入していたiPhoneの新機種を買い逃したことのようだが。

落ち込む白蓮さんをひたすら煽っていた白夜さんの小憎たらしい表情は今でも忘れられない。

『あれー?知らなかったんですかパイセンー?あ、そういえば3年は記憶がないんッスよね?それって実質タメになったってことっすよね!じゃあ敬語も必要ないかなー、あきらくふふぅぅ~ん』

白蓮さんに散々怒られはしたが、一緒にケータイショップへ行ったそうだ。なんだかんだ仲は良いのだろう。

行方不明の間は労災扱いだったらしく、未払いの給料が一括で振り込まれ懐は暖かいと聞いた。万年カツカツのオレには羨ましい話だ。

闇珠の屍人の葬列(ミニオンズ)に関しては、はっきりとはしていない。ニ十一にそいちさんは奥さんの家系の能力だと言っていたがオッサンからの話はこうだった。

『アイツは冗談めかすところがあるからなぁ。悪魔を悔しがらせるための嘘だと思うよ。出会いは奥さんが勤めていた図書館と言ってたし、結婚式の時にあちらのご両親にお会いしたけど普通の家柄だったよ。吾妻の当主が仲人を務めることを畏まられたくらいだ』

隊長はあの後、数日休暇を取った。ニ十一にそいちさんの墓参りと、その周辺に挨拶へ伺ったのだろう。

クロさんはオランダへ帰ったし、アンジュも高校に通いながら藪中の巫女として行事を全うしている。あの悪魔は政敵が雇ったものらしく藪中家は報復のため忙しいと聞いた。

オレはオレでネコの、吾妻の護衛を続けている。

彼岸花が群生する林の中、談笑しているネコが視界に映る。その後ろに咲き乱れる秋桜コスモスを見て、オレはアンジュに思いを馳せた。

屍人の葬列(ミニオンズ)が何かは分からないが、あれはニ十一にそいち夫妻の血にまみれた愛の証だとオレは思っている。今でも夜な夜な瞳を赤く染めては黒い影を呼び出しているらしい。

隊長やクロさんがロザリオの詳細を話さなかったのは、その効果を知らない者の手に渡っていく代物だからだそうだ。それを知ってしまったオレに、もうロザリオの加護はない。吾妻邸でアンジュの誕生日会が開かれたのは、オレから彼女へロザリオが移るのを期待してのことだったのだろう。

吾妻の家宝を身につけていればアンジュの安全は保証されていた。それでもオレはこの結末の方が彼女にとって幸福な結果に繋がったと信じている。誰もがあの娘の幸せを望み行動した結果なのだから。

ネコにロザリオを返すと告げたら『預かってて』と断られた。お詫びにと、一緒に買いにいったシルバーのピアスを今は耳につけている。

いつか誰かにオレもこのロザリオを渡す時が来るのだろう。その相手が誰かは分からない。ただネコを泣かすようなヤツがいたら相手が悪魔だって泣かせてやるよ。オレは吾妻の護衛だ。

だからオレの後ろに血は流れねぇ。

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