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第一話 お別れは笑顔と共に

第一話を開いていただいて、誠に誠にありがとうございます!猛烈な感謝を送ります!


今の段階ではある程度書きためておりますので、少しでも拙作で楽しんでいただければ幸いです!

「すまない、ヒアン…」


「うんうん、しょうがないよね」


いつもは晴れやかな雰囲気を纏う金髪のイケメンが、これ以上ないほど表情を暗くして話し始めた。


「こんなこと、本当に言いたくないんだが…」


「うんうん、僕って焚火しか起こせないもんね」


対する僕はなんのその。


こちとら覚悟が違うのだ。そもそも、ここまで良くもったもんだと感心さえしてるよ。


「そんなことはない!ヒアンは、パーティーに貢献しようと最善を尽くしてくれた!荷物運びだって率先して…」


「うんうん、けど僕が持てたの全体の十分の一だったよね。五人パーティーなのに」


僕の2倍以上の荷物を持ちながらボコスカ敵を倒す君達の姿には毎度びっくりしてたよ。


どんな表情してたんだろ。


おかしいな、後ろ姿しか見た記憶がないや。


「ごめんね、戦闘にも全然参加せず」


「違う!君が夜の見張りを率先して受けてくれたおかげで、みんな十分な睡眠が取れたんだ」


「僕が気付くより先に大体皆んな起きたけどね」


一体どう言う神経の張り方してたら気配なんて察知できるんだよ。


いきなりがばりと起きて、敵だ!なんて。


どこにいるのって聞いたら1キロ先?


夜だよ?森だよ?こちとら目も使ってるんだよ?


分かんないよそんなの。


僕ができることと言ったら火が消えないように薪をくべるだけ。


あ、そういえば何回か寝落ちして起きたら毛布かかってることあったな。


だめじゃん。


「ともかく、ヒアンはずっと私たちを助けてくれていた。それを、こんな形で追い出してしまうなんて…」


「いやいや、むしろこっちがごめんね?言い出されるまで居座ろうなんて」


「ヒャン坊、後はワシらに任せとけ。死んだ両親の仇、絶対にとってやるからよ」


「ロム爺、それは僕じゃないよ」


無骨な大剣をもった筋骨隆々なロムさんが、こちらにニヤリと笑って言ったけど、ごめんね僕の両親健在だよ。


そろそろロム爺初老だから、だんだん記憶力が怪しくなってきてるのかな?


僕が魔王討伐しようとした動機なんて、ほんととてつもなくしょうもないよ。


ごめんね、ほんと、色々と。


「ヒアン君、いままで本当に、ありがどう、ございまじだぁぉ」


「泣かないで、エリル。お荷物いるほうがよっぽど辛かったでしょ」


回復術師のエリルが、綺麗な銀の髪をけぶりのように振り回す。


ほんと、エリルには多分他の誰よりも迷惑をかけたよね。


馬車に乗るたび、酔い止めの魔法なんかかけて貰って。


それでも酔って吐いて、背中をさすってくれるの、自分が情けなさすぎて笑っちゃったよ。


あと、戦闘中に念のため僕にも回復魔法かけてくれるのも凄く嬉しかったよ。


後ろで応援してるだけだけど。


回復術師のエリルより後ろにいたけど。


戦闘後、やりましたね!って笑いかけてくる君の笑顔が眩しすぎて、僕は一回、ふへへって言っちゃったんだ。


我ながらキモいよね。


「ひーちゃん、貴方に魔術の適性なんて無いけれど、人はそれだけじゃない。楽しかったわ、ひーちゃんとの旅」


「僕もだよ、ブラン」


僕より小さい背丈のブランが、優しく微笑みかけてきた。


ああ、懐かしいな、僕がまだ魔法に憧れていたあの頃が。


焚火の前でひたすら練習して、ようやくできたのが手を湿らす魔法だっけ。


一瞬焚火に手をかざしても熱くなかった。すごいな魔法って。


でもまさか、三ヶ月も練習した成果が手を湿らす魔法とはなぁ。


いや、魔法を使えて凄く嬉しかったよ?ブランも自分のことのように喜んでくれたし、その日の晩ご飯は少し豪華だった。


けどね、僕、もともと、多汗症気味なんだ。


緊張したら手が湿るんだ。魔法とか関係なしに。


「ヒアン、改めて、本当にすまない。私たちの都合で追い出すんだ。報酬は今まで通り五等分にして毎週送らせて…」


「うんうん、ジルは僕に甘すぎるよね」


金髪イケメンのジルが真剣な眼差しでそう言うから、僕は少し怖くなった。


君は、幼馴染みだからって僕に甘すぎるよね。


なんでみんなの百分の一も仕事してない僕に五分の一の報酬与えてくれてたの?


しかも僕知ってるけど、ジルって自分の報酬の半分をパーティー用にずっと貯金してるよね。


おかしいと思わないのかな。


パーティー内で1番働いてる君が僕より報酬少ないんだよ。


というか、僕これからなんの仕事もしなくなるのになんで養おうとしてるの?


もう、一生ジルのサンドバックで生きても良いよ。


むしろ殴ってよ。この罪悪感を薄れさせてよ。


「これ、今まで貰って来た分け前の三分の二ね。パーティーのお金として使って。それから、僕に仕送りなんてしなくていいから」


「ヒアン…君ってやつは本当に。けど、それは受け取れない。君自信がどう思っているかは分からないが、私は本当に心から感謝しているんだ。正当な対価として、それは自分のために使ってくれないか」


「いやでも、ジルこそ自分の報酬をみんなに黙って…」


「かくなる上は、君の初恋を語る覚悟だ」


「ありがたくいただくね」


うん、ここはジルのご好意に甘えようかな。


無理はいけないよね、無理は。


よく考えたら有り金全て渡しちゃってこれからどうする気なんだって話しだし。


馬鹿だなぁ僕は。


決して、初恋を語られたくなかったわけじゃないよ。


ロム爺も、こっち見てニヤニヤしないでよ。


え?


まさか知ってる?


「ヒアン、君とまた会う日を楽しみにしている」


「ヒャン坊、この老いぼれの顔、忘れねぇでくれよ」


「ヒアンぐん、ぜっだい、お手紙がぎまずねぇぇ」


「ひーちゃん、貴方の魔術、私結構好きだったわ」


みんながこっちを向いて、笑いかけてくれる。若干一名、涙ので顔がぐちゃぐちゃだけど。


あれ、なんだか目頭がとても熱くなってきた。


おかしいな、今までパーティーには迷惑ばかりかけて、申し訳なさしかなかったのに。


ああ、もっと一緒にいたいなぁ。


もう少し僕が強かったら、冒険の続きを共にできたのかな。


あ、いや、それはないわ。


君達馬鹿みたいな強さしてるもんね。


魔術師のブランでさえ目で追えないようなスピードで走るんだもん。


浜辺でみんなが待て待てーなんて走ってる時、後ろの砂煙凄かったんだよ。


地形が変わるかもって思うぐらい砂浜えぐれてたよ。


なんかごめんね、ほんと。


あの時ビーチパラソルを部屋に忘れたのも僕だったよね。ほんとダメダメじゃん。


「こんな役立たずの僕を今までパーティーに入れておいてくれてありがとう。僕も、みんなとまた会う日を楽しみにしてるよ。あとジル、これからの報酬はほんとにいらないから。こっちはこっちでなんとかやるよ」


「いや、しかし、勝手な都合で追い出してしまうのだから…」


「そう言えば、ジルが10歳の時いきなり僕の部屋に来て…」


「分かった、ヒアン。君の言葉に甘えよう」


「そうしておいて」


もう一度、みんなの顔を見る。


エリルは、もうなりふり構わずって感じで泣きじゃくってる。

長い髪をぶんぶん振り回して。


毎朝お手入れしてるんだから、もっと大事にしなきゃ。


ちょっと、髪の毛で鼻かまないで。カピカピになるよ。


あれ、ロム爺大剣地面に突き刺してる。


流石に重いもんね、僕の背丈ぐらいあるし。もたれかかってあくびまでして、分かってる?


感動の別れだよ?


あ、ブランはそれ見て笑ってる。


ダメだって、眠気覚ましに氷水は。ロム爺もう年なんだからビックリして死んじゃうよ。


氷魔法って結構難易度高いんだから、こんなことに使うとなんかバチが当たりそう。


うわっ、発射された氷水がジルにまでびっしょり。ジルって怒れば結構怖いのに、ご愁傷様。


あれ?


なんでジルは無反応でこっちに爽やかな笑顔向けてるの?


君とはもう長い付き合いだけど、なんかたまにサイコパスっぽくなるよね。


この前宿の食堂で夜中にずっと瞑想してたでしょ。


何してるのって話しかけたら、神様と雑談してたって、お願いだから怪しい宗教にはまらないでね。


ああ、ほんとに、みんなで荒野の星を眺めた夜、数え切れないほどの輝きに圧倒されたけど、今ではパーティーの思い出の方が多いかも知れない。


楽しかった。


僕は無力だし、みんなはチートだし。


後ろめたさみたいなものも感じたけど、それ以上に居心地が良くて、ここまで居座ってしまった。


やっぱり、別れの言葉はこれが良いな。


「ありがとうみんな、またね」


「またの」


「まだいづがぁぁ」


「またね」


ジルと、目と目を通わす。


「ああ、まちゃ」


「噛まないでよ」


日の出が早くなって、世界が色づくこの朝に、僕は勇者と笑い合った。

お読みいただきありがとうございます!


少しでもご興味頂けたならば、評価やブックマークを、なにとぞ、なにとぞ…


10話くらいまではすぐに公開しますから!

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