お昼ご飯は天ざるうどん
暑い日は冷たいおうどんが美味しいと思う民です。
やることはまだ残っているものの、時間は良い感じにお昼になっていた。となれば、皆で仲良くお昼ご飯である。
日差しがほどよく遮れる木陰にピクニックシート代わりの敷布を敷いて、悠利はせっせとお昼ご飯の準備をしていた。仲間達も、一体何が出てくるのだろうかと興味深そうな顔をしている。
悠利が魔法鞄となっている愛用の学生鞄から取り出したのは、うどんの入ったボウル、大量の野菜の天ぷらが入った大皿、めんつゆを詰めてきた瓶、であった。つまりは、これが本日のお昼ご飯である。
何だろう? みたいな顔で見ている仲間達に、悠利は満面の笑みでこう告げた。
「今日のお昼ご飯は、天ざるうどんです」
「天ぷらとうどんってことで良いのー?」
「そうだよー」
レレイの質問に、悠利はのほほんと答えた。天ざるうどんが何であるのかは解らない一同であるが、目の前には天ぷらとうどんが並んでいるので、この二つを食べることを示しているのだろう、ぐらいの理解はしていた。
悠利は目の前のうどんと天ぷらを示しながら、皆に説明を続ける。
「僕の故郷で天ざるうどんとして食べられている食べ方は、うどんと天ぷらを別の器に盛って、めんつゆをつけダレとして食べる濃いめに作って、小鉢に入れためんつゆにうどんや天ぷらを付けて食べる感じです」
こういう感じで、と悠利は見本としてうどんと天ぷらを一人前ずつ盛りつけ、小鉢にめんつゆを注いだ。そしてその三つを並べてみせる。天ざるうどんという名称なので本当はざるっぽい器が使いたいところだが、細かいことは気にしない方向だった。
それを見て、皆はふむふむと言いたげな顔をしている。冷やしうどんに天ぷらが付いてくるやつという風に理解できたので、特に拒否反応はないようだった。……約一名、うどんって何? みたいな顔をしているレオポルドを除いて。
そう、《真紅の山猫》では定番の麺料理の仲間入りをしているうどんだが、パスタ文化のこの辺りでは知られていない麺類なのだ。悠利が食べたがり、ヤクモがうどん打ちが出来たことによって当たり前みたいな顔で日々食べているけれど。
そんなレオポルドには、ティファーナがうどんの説明をしていた。パスタのように小麦粉で作った麺で、パスタよりも太く食べ応えがある、みたいな感じで。また、温冷どちらでも楽しめ、麺を作るときに味付けの粉末を練り込めばちょっと変わったうどんも作れる、ということも。
……悠利が食べたくて作った変わり種うどんは例外扱いでも良いのだが、ティファーナにとってのうどんの知識は悠利が出した料理が元になっているので、仕方ない。美味しいうどんであることに間違いはないので、大丈夫です。多分。
「で、こんな風に器が幾つもあるのが面倒だなってヒトは、大きめの深皿にうどんを入れて、少し薄めためんつゆをかけて、その上に天ぷらを載せるって感じの対応も出来ます」
「ほむほむ」
「なので、どっちの盛り付けが良いか教えてくれると助かります」
説明を一通り終えた悠利は、にこやかにそう告げた。机がない状態なので、器が一つの方が良いかもしれないと思っての配慮だった。その場合は、冷やかけうどんの天ぷら載せみたいな感じになるだろうか。
「はいはい! あたし、一つの器が良いです!」
「だろうねー」
「アレ? 予想されてた?」
「レレイは一つの器の方が食べやすいとか言いそうだなって思ってたよ」
元気よく手を上げて告げたレレイであるが、それは悠利の予想通りだった。彼女はもりもりばくばく食べたがるタイプなので、器を下に置いた状態で少しずつうどんをめんつゆに付けて食べるのを面倒くさがりそうだなと思ったのである。
レレイはそれで良いので、悠利は他の仲間達に視線を向けた。どういう盛り付けが良い? みたいな気持ちで。
「私は、別々の器で良いわ。そっちの方が、天ぷらがサクサクして美味しそうだもん」
「それは確かにそうだね。うどんの上に載せると、どうしてもしなってしちゃうから」
「でしょー?」
自分の考えが間違っていなかったということで、ヘルミーネはご満悦だった。なので、悠利はレレイの分を一つの器に盛り付け、ヘルミーネの分は別々の器に盛り付ける。うどんの量と天ぷらの量は、当人に確認を取ってからだ。
そんな風に他の面々にも聞き取りをし、それぞれの要望に合わせて盛り付ける。結果として、一つの器で食べることを選んだのは、レレイとアロールだけだった。他の皆は、別々の器で少しずつめんつゆに付けて食べることを選んだ。
机がないので少し食べにくいが、それでも急かされるわけでもない状況なので、せっかくなら悠利が想定した盛り付けで食べたい、という感じらしい。これは別に悠利に対する配慮があるとかではなく、その方が悠利が用意した料理らしく食べられる、という風に思ったのだ。
なお、アロールが一つの器に盛り付けてほしいと言ったのは、何も食べ方が面倒だとか、手早く食べたいとか思ったわけではない。器が一つの方が、従魔達と交流しながら食べやすいと思ったからだ。
いつものアロールなら、従魔の食事には干渉しない。アジトでナージャが食事をしているときも、特に構うこともなく放置している。だが、今日はテリーがいるので、少しばかり気にかけているらしかった。
常日頃アロールの傍らにいる従魔は、白蛇のナージャだけだ。それ以外の従魔達は王都の外で生活し、許可を取った上で周辺の魔物を狩って生活している。いずれも大型種なので、街の中に入れるのは、みたいな感じなのだ。
そのため、テリーはナージャほどアロール以外の人間に慣れてはいない。別に食事中に神経質になるとかではない。ただ、アロールが珍しく一緒に食事を取るテリーを気遣っているだけの話である。
本来の姿よりも身体を小さくしているとはいえ、二メートル半ほどはある巨体の熊であるテリーは、小さなナージャとルークスの傍らで、大人しく食事をしている。熊というと凶暴に思われがちだが、アロールの従魔だけあって理知的である。
なお、悠利は従魔達のお弁当もきちんと用意している。
ナージャには様々な種類の卵のゆで玉子盛り合わせだ。蛇だけあって、卵が好きらしい。種類の違いで味が違うらしく、シンプルに作ったゆで玉子だけでも満足している。
ルークスには、いつも通り野菜炒めだ。雑食のスライムであるルークスは何でも食べるし、別に解りやすい食事じゃなくてもエネルギー補給は出来る。アジトのお掃除でもちゃんと食事になっていたりするのだ。それでも、悠利が作る野菜炒めが特に好きなのである。
そしてテリーの分の食事は、果物盛り合わせだった。特にカットする必要もなく、皮ごと色々な果物がバスケットにどどーんと盛り付けられている。テリーはそれを手に取って、皮ごともしゃもしゃと囓っていた。
相手が熊の従魔なので、当初悠利は何かお肉を用意するべきだろうかと思ったのだ。もしくは、日本人的な発想で鮭。しかし、肉に関しては自分で魔物を狩って食べていることもあって、テリーは用意される食事ならば果物の方が喜ぶとアロールに教えて貰ったのだ。
確かに、果物は種類によっては簡単に手に入らない。何が喜ぶか解らないが色々と詰め合わせてみたが、今のところどれも美味しいのかご機嫌で食べている。大きな熊さんが果物を一つ一つ手に取って囓っている姿は、妙に微笑ましかった。
美味しそうに食事をする従魔達を微笑ましく見つめながら、悠利も天ざるうどんに手を伸ばす。冷たいうどんと、まだほんのり温かいサクサクの天ぷら。めんつゆであっさりといただくのがこれまた、何とも言えず美味しいのだ。
まずはうどんをめんつゆに付けて、ちゅるんとすする。一度に沢山掴むのではなく、一口分だけを掴んでめんつゆの入った小鉢に入れるので、すぐに食べ終わる。口の中に広がるうどんの食感と、めんつゆの濃厚な旨味を堪能する。
パスタよりも太いうどんは、弾力もしっかりとある。めんつゆと絡んで絶妙な美味さだ。それを堪能しながら、天ぷらへと箸を伸ばす。
いつもなら天ぷらは塩で食べるのが悠利の好みであるが、うどんと食べるときは話が別だ。めんつゆにちょんちょんと先端を付けて、食べやすい大きさに切った茄子の天ぷらを口へと運ぶ。囓った瞬間、サクじゅわーという感じで旨味が広がる。
口の中にあるうどんと共に、茄子の天ぷらを堪能する。天ぷらは揚げたことによって独特の風味が付くので、それも合わせてうどんをより美味しくしてくれるのだ。何という素晴らしいバランスだと、悠利は思う。
衣のサクサクとした食感と、めんつゆを吸い込んで少しばかりへにゃっとした食感とが、何とも言えず美味しい。どちらがより上かという話ではない。両方あって美味しいのだ。そして、水分たっぷりの茄子のジューシーさがそれを引き立てている。
ちなみに、悠利が用意した天ぷらは野菜の天ぷらばっかりだ。茄子、カボチャ、サツマイモ、タマネギ、そしてマイタケ。肉や魚は存在しないが、揚げ物なのでそれなりに満足感はあるだろうと思っている。
うんうん、美味しい、と一人ご満悦の悠利。そんな悠利に、もりもりとうどんと天ぷらを平らげてお代わりをしているレレイが、問いかけた。……冷たい料理なので、猫舌のレレイでも気にせず食べることが出来るのだ。天ぷらはやや温かいが、それも冷たいうどんとめんつゆと一緒になれば温度が下がるので。
「ところでユーリ、何で今日のお昼ご飯うどんなの?」
「え?」
「お弁当で食べるにはちょっと変わり種じゃない?」
レレイの疑問はもっともだった。その通りだと言いたげに他の面々も頷いている。別にうどんが悪いとは思っていない。ただ、一般的なお弁当とはちょっと違うのではないか? という疑問が出てくるだけだ。
そんな仲間達に向けて、悠利は答えた。実に端的に。
「暑かったから」
そう、それが理由だった。今日は結構お天気が良く、暑くなるとヤクモが教えてくれたのだ。呪術師のヤクモは天気読みが得意で、悠利は大変お世話になっている。洗濯物関係で。
そのヤクモに、採取訓練に出かける辺りは日差しの出る暑い日だと教えて貰ったので、それなら涼めるようなお弁当にしようと決めたのだ。魔法鞄を使えば運ぶのは簡単だし、適温で料理をお届けできるので。
それ以上でもそれ以下でもない。悠利の態度からそれが解ったのだろう。一同は、悠利だもんなぁみたいな反応をした。何か特別な理由があるのかと思ったが、そんなものはどこにもなかったのである。
いや、ある意味でちゃんとした理由だ。食事は美味しく食べてほしいと思う悠利だからこその、お天気や気温に合わせた美味しいご飯である。実際、暑さで少し疲れた身体に、冷たいうどんは染み入る。
「何か、ユーリって感じよねー」
「え、ヘルミーネ、どういうこと?」
「そのまんまの意味よ。色々考えてそうで、物凄く単純って感じ?」
「……褒めてる?」
「一応」
褒められているのかバカにされているのか解らなかったので問いかけた悠利に、ヘルミーネはさっくりと答えた。それなら良いやとあっさり引き下がる悠利。その程度には、こういうやりとりは日常であった。
そんな中、ティファーナが何かに気づいたように口を開く。
「ユーリ、もしかして朝からこの大量の天ぷらを用意したのですか?」
「へ?」
心配そうなティファーナの問いかけに、悠利はぱちぱちと瞬きを繰り返した。彼女の言葉に、他の面々も気遣うように悠利を見ていた。大盛りになった天ぷらを見れば、それなりの時間がかかっただろうことは皆にも解る。まさか早起きして無理をしたのかと心配しているのだ。
しかし、その心配は杞憂であった。
「いえ、天ぷらを用意したのは昨夜です。下準備は見習い組の皆と一緒にやりましたし、別に大丈夫ですよ」
「昨夜、ですか?」
「作ってすぐに魔法鞄に入れておいたので」
さらりと答えた悠利に、なるほどと納得する《真紅の山猫》メンバー。微妙な顔をしているのは、レオポルドであった。昨夜作った天ぷらが、魔法鞄に入れていたからといって、何でまだ温かいのかと言いたいらしい。
そう、悠利の魔法鞄の性能はちょっぴりぶっ飛んでいる。今回お仕事をしているのは、時間停止機能である。入れたときそのままの状態で取り出せる、大変便利な機能である。その結果、天ぷらは温かく、うどんはひんやり冷たいのだ。
普通の魔法鞄ではそんな芸当は無理だ。しかし、レオポルドはそれ以上何も言わなかった。相手は悠利である。その持ち物が多少規格外でも、悠利の持ち物ならそんなものか、みたいな感じであった。
……ちなみに、同じような認識をされているのがルークスである。スライムにあるまじき賢さ、有能さ、強さに関しても、「まぁ、ユーリの従魔だしなぁ……」で許容されている。色々と深く考えるのを放棄しているとも言えるかもしれない。
「それじゃあ、今日のアジトのお昼もこれなわけ?」
「ん? うん、そうだよ。何かね、他のメニューにするか聞いたんだけど、話を聞いたら自分達もこれが良いって言い出したから」
おかげで天ぷらの準備を手伝って貰えて助かったけどねーと悠利は笑う。なお、アジトのお昼分の天ぷらは、直前に見習い組達が協力して揚げることになっている。正真正銘の、揚げたてサクサクの天ぷらで天ざるうどんを楽しんでいるはずである。
悠利の説明で同じお昼ご飯を食べていると理解したアロールは、そうと小さく呟いた。その表情には特に感情は見えず、彼女が何を考えたのかは解りにくい。
しかし、解りにくいだけで、何を考えたのかを悠利は察することが出来た。自分達だけが珍しい料理を食べたのではなく、皆が同じものを食べているならそれでよい、みたいな感じだろう。何だかんだでアロールは仲間思いなのである。
皆がそんな風に会話をする中、イレイシアは黙々と食事をしていた。小食の彼女だが、別に揚げ物が嫌いなわけではない。野菜の天ぷらはお気に召しているようだった。
それは多分、悠利が作る天ぷらの衣が薄いからだろう。具材の表面を覆う程度にしか衣付けないのは、その方が衣でお腹が膨れないからだ。
特に彼女が気に入ったのはタマネギのようで、他のものよりお代わりをしている姿が見られる。ちなみに、タマネギの天ぷらは、輪切りにしたタマネギを串で止めてから揚げている。食べるときに邪魔になるので、揚がった後は串を抜いているが。
くし切りではなく輪切りにしたのは、その方が囓りやすいかなと悠利が思ったからである。くし切りはくし切りで美味しいので、その辺りは好みであろう。
サクサクとした衣と、火が通ったことで幾ばくか柔らかくなりながらも食感を残したタマネギの対比が実に良い。火が入ったタマネギは甘くなるのだが、それは天ぷらでも例に漏れない。噛めば噛むほどにタマネギの旨味が口の中に広がる。
誰がどの天ぷらを気に入っているかを確認する悠利の視界では、もりもりと何でも満遍なくお代わりをしているレレイと、その彼女の隙を縫うようにして天ぷらを確保しているレオポルドの姿があった。美貌のオネェさんの胃袋は成人男性サイズなので、それなりに健啖家なのである。
「あの、レオーネさん」
「あら、何かしらぁ、ユーリちゃん」
「その、足ります……?」
「え?」
女性陣多めだったので調整もしやすいように天ざるうどんという献立にしたが、果たしてそれはレオポルドの胃袋に相応しかっただろうかと思うのだ。レレイの方は何でも食べるので、お代わりの分があれば肉がなくても問題ないのを知っているのだが。
そんな悠利の心配に、レオポルドは笑って答えた。
「心配してくれてありがとう、ユーリちゃん。あたくし確かにそれなりに食べるけれど、別に肉や魚がないとダメとか言うつもりはないわよ?」
「それなら良かったです」
ホッとしたように胸をなで下ろす悠利。そんな悠利の気遣いに、ありがとうとレオポルドは笑う。わざわざ弁当を用意してくれただけで、レオポルドにとってはありがたいことなのである。
何せ、一歩街の外に仕事で出かければ、冒険者の食事など携帯食料になりがちだ。今でこそ凄腕の調香師として名を知られているレオポルドも、元々は冒険者である。アリーやブルックと共に旅をしていた経験から、出先でこんな風に美味しいご飯が食べられるのは幸運だと思うのだ。
しかし、その辺りのことは悠利には解らない。悠利にとっては、お出かけするときはお弁当を持っていくのは普通である。しかも今回は平和な場所に行くと解っているので、なおさらだ。……そこ、ピクニックじゃないかとか言わないでください。一応採取のお手伝いもしてます。
そんな空気を吹っ飛ばしたのは、レレイの声だった。
「ユーリ、ユーリ、サツマイモの天ぷら美味しいね!」
「いきなりどうしたの、レレイ?」
「これ、おやつにもなるよ!」
「……」
大発見だと言いたげに告げるレレイに、悠利は思わず沈黙した。どこをどうして、何がどうなってそうなるのか。色々と突っ込みたかったが、咄嗟に言葉が出なかったのだ。
そんな悠利の代わりにツッコミを入れてくれたのは、アロールだった。今日も仕事の出来る十歳児は頼れる。
「いきなり何言い出してるの? それは普通におかずだろ」
「確かにおかずなんだけど、ちょっと甘いし、おやつにもなるよ!」
「いや、ならないだろ」
全力で主張するレレイと、面倒くさそうにあしらうアロール。そんな二人を眺めつつ、悠利はサツマイモの天ぷらを一口囓った。確かに、口の中にサツマイモの優しい甘さが広がる。
しかし、おやつかと言われると疑問は残る。フライドポテトならばおやつと言われても個人的に納得は出来るのだが、サツマイモの天ぷらは何か違う気がする、という気持ちが拭えなかった。今までの習慣かもしれない。
おやつになると一人で主張するレレイと、無理があるんじゃないか? みたいな感じの一同。そんな中、ふと思いついたようにイレイシアが口を開いた。
「あの、おやつではなく軽食でしたら、可能なのではないでしょうか?」
「へ? どういうこと、イレイス」
「ですから、おやつと言いますと甘味を考えがちですけれど、小腹が空いたときに食べる軽食だと思えば、可能性はあるのでは、と」
「そういうもの?」
「少なくとも、わたくしはそう思いましたわ」
はて? と言いたげなレレイに、イレイシアは素直に己の感想を伝えた。その意見を聞いた皆は、確かにそれは一理あるかもしれない、という顔になった。おやつと言われると菓子や果物を連想してしまうが、軽食と言われたら甘くなくても問題ない。小腹が満たせれば良いので。
そういう枠ならば確かに、サツマイモの天ぷらにも可能性はあった。何故ならば――。
「前に、おやつの時間に軽食としてコロッケ出してたわよね、ユーリ」
「そもそもフライドポテト食べたこともあるよ」
「そうだねぇ。その辺と同じ枠ってことにしたら、軽食かもー?」
ヘルミーネ、アロール、悠利と正直な感想が並んだ。その意見を聞いて、レレイは我が意を得たり! みたいな感じになった。何だ、皆ちゃんと解ってくれるじゃん、みたいな反応である。
ただし、彼女の中ではおやつで良くない? という気持ちは残っているらしい。何で軽食でないとダメなんだろう? みたいな顔をしていた。それでも、別にそれ以上皆に食ってかからない当たりが、何だかんだでレレイである。
そんな風にわちゃわちゃしている一同を見ながら、ティファーナとレオポルドは顔を見合わせて笑った。しっかりしているようで、まだまだ皆子供だなぁみたいな感じの雰囲気だった。……約一名成人女子が混ざっているが、ご愛敬である。
「《真紅の山猫》の食事風景って、いつもこんな感じかしらぁ?」
「概ねこんな感じですね。あまりに騒ぎすぎるとアリーが怒りますけど」
「目に浮かぶわ」
楽しそうに笑うレオポルド。元パーティーメンバーだけあって、アリーの性格も把握済みである。何だかんだで保護者として、皆のお父さんとして、日々苦労しているのはお見通しなのであった。
そんな風に楽しく騒ぎながらも、皆は天ざるうどんを美味しく食べたのでした。天ぷらも綺麗になくなりました。
冷たいおうどんと、サクサクの天ぷら、最高の組み合わせ!
ご意見、ご感想、お待ちしております。
なお、感想返信は基本「読んだよ!」のご挨拶だけですが、余力のあるときに時々個別でお返事もします。全部ありがたく読ませて頂いております!





