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最強の鑑定士って誰のこと?~満腹ごはんで異世界生活~  作者: 港瀬つかさ
書籍25巻分

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フルーツ飴を試作してみました

 先日試作したのはミニアメリカンドッグ。そして本日試作するのはフルーツ飴である。

 フルーツ飴を試作するためには、まず、大量の果物を切るところから始めなければならない。悠利と見習い組達は、せっせと果物と戦っていた。ちなみに、本日もこれが自分達のおやつにもなるので、見習い組の四人のやる気は満ち満ちていた。

 なお、果物をカットするところまでは、悠利と見習い組の四人で下ごしらえを終わらせることになっている。頑張って切った果物を串に刺すところから、他の面々も手伝ってくれるということだった。

 何故そうなったかというと、包丁の扱いに彼らが一番慣れているからだ。他のメンバーも料理は出来るが、日々皆の食事を作っている悠利と見習い組に軍配が上がるのは当然だろう。悠利が「こういう風に切ってね」と頼んだときの反応も、見習い組だとスムーズだからだ。

 そんなわけで、果物の皮を剥いたり、切り分けたり、一口サイズに切ったりと、それぞれの作業を頑張っている。ちなみにこの果物、悠利が収穫の箱庭のダンジョンマスターであるマギサに貰ったものである。遊びに行くたびに果物を貰うので、魔法鞄(マジックバッグ)と化している悠利の学生鞄には果物がたんまりと詰まっているのだ。


「そういや、今日の試作品は手持ちでやるってなってるけどさ」

「うん?」

「当日のフルーツ飴の材料ってもらいに行くのか?」

「試作品を持って行くときに追加をくれるって言ってたよー」


 カミールの問いかけに、悠利はパインを一口サイズに切り分けながら答えた。悠利をお友達と認識しているマギサに事情を説明したところ、お祭りに使ってくれるならとうきうきで果物を用意すると言ってくれたのだ。ダンジョンから出られないダンジョンマスターなので、そういう形で皆に関われるのが嬉しいらしい。

 なお、カミールがそんな質問をしたのにはちゃんと理由がある。彼は出店するのに必要なものの仕入れを担当しているのだ。経理担当というやつである。


「そうなると、代金の支払いは現金じゃない方が良いよな。マギサは店に行けないんだし」

「カミール?」

「いくら俺だって、無償で食材を提供してもらおうとは思ってないよ。そういう方法で経費を浮かせるのは何か、相手の善意につけ込むみたいで良くないだろ」

「そうだね」

「だから、どういう形で還元すれば良いかを考えてる」

「わー、頼りになるー」


 まさに適材適所という言葉に相応しい。悠利もどうすれば良いかを考えてはいたのだが、そもそも相場などさっぱり解らないので完全に丸投げになってしまっている。カミールが何かを聞いてきたら協力するぐらいのスタンスである。

 その代わりというわけではないが、考えながら作業をしているので若干進みの遅いカミールの分も、悠利はテキパキと果物を切り続けていた。

 そうこうしている間に、ひとまず全ての果物を切り分けることが出来た。それなりの分量が出来たが、まぁ、皆のお腹に消える本日のおやつであるので、特に問題はないだろう。何せ、甘味なら胃袋が底なしみたいになる人物が約一名いるので。


「切った果物は水気をしっかり拭き取ってから串に刺します」

「理由は?」

「水気が残ってると絡めた飴が固まりにくいんだって」

「あ、それはダメなやつだ。頑張らなきゃ」

「よろしく」

「うん」


 悠利の説明に、ヤックは大真面目な顔になって手元の果物を丁寧に拭いている。別に細かな理由が解らずとも悠利の指示に従うつもりではあった。けれど、説明をきちんと聞いたら、俄然やる気が出るというものだ。

 なお、同じようにそれが必要な仕事と理解したからか、マグが黙々と果物の水気を拭き取っている。無口ではあるが、皆と協力して何かをするときに、自分が出来ることはちゃんとするのである。……ただ、説明とかになると面倒くさがって隣のウルグスに丸投げするのだが。

 そんな風に作業をしていると、自分達の用事を終えた仲間達が次々と食堂にやってくる。


「お待たせー。フルーツ飴作りに来たよー」

「美味しい果物で作る飴なんだから美味しいわよね! 私も頑張るわ!」

「こいつらにも出来る作業があるならやらせてやってくれ。何かめっちゃやる気になってる」

「あははは……。それじゃあ、果物を串に刺すのを手伝ってください」

「「はーい!」」


 満面の笑みを浮かべるレレイとヘルミーネはやる気満々で、その二人の背後から現れたクーレッシュは保護者よろしく悠利に声をかけてくる。通常運転の三人に笑いつつ、悠利はボウルに入った色々な果物と、大量に用意された串を示した。


「果物は同じ種類で串に刺してください。とりあえず、基本は三つずつでお願いします」

「何で三つなの? いっぱい刺しちゃダメなの?」

「食べにくいし作りにくいから?」

「そういうもの?」

「三つずつぐらいの方が、色々な串を食べられて楽しいよ」

「なるほど! それは大事だね!」


 一つの串に刺して良い数が三つまでと言われたレレイが若干不満そうな顔をしていたが、悠利の説明を聞いたらくるりと掌を返した。大変解りやすい。彼女にとって重要なのは、美味しいものをいっぱい食べられることである。それが理解できたので、当人は納得しているのだ。

 ちなみにその隣でヘルミーネは、頑張ればそれだけ早く美味しいおやつが食べられるということで、黙々と作業をしていた。細かい作業はそれなりに得意なのか、一つ一つ丁寧に串に刺している。きちんと果物の真ん中に串が刺さっているので、変な歪みもない。

 それは見習い組の四人も同じである。彼らの場合は常日頃から料理をしていることもあって、こういうのはきちんとそろえた方が良いという判断なのだろう。また、材料は多くとも作業人数が多いことも解ってるので、焦る必要はないと思ってるのもある。

 なお、四人の中で一番綺麗に、確実に、素早く作業をしているのはマグだった。職人気質っぽいところのあるマグなので、こういう作業をさせるととても上手なのだ。余計なことを言うと機嫌を損ねそうなので、三人はそのことには触れないようにしようと目で会話をして、自分達も作業を続けている。

 次々とやってきた仲間達が順番に作業に参加している。果物を三つずつ串に刺すだけという簡単な作業なので、普段料理に参加しない面々もやりやすいのだろう。和気藹々と雑談をしながら作業を進めている。

 ……そんな中、これまた手先の器用さを発揮していい感じにフルーツ串を作っていたクーレッシュが、隣を見て盛大にため息をついた。


「レレイ、お前はちょっと、考えて作業しろ」

「え?」

「なるべく果物の中心に串を刺せ。そろえろ」

「……やってるつもり、だよ?」

「気が急いてるのかどんどん曲がってるからな。一個ずつ落ち着いてやれ」

「……はい」


 淡々としたクーレッシュの指摘に、レレイは素直に頷いた。言われたことが正しいと彼女にも理解できたからだ。何せ、最初の方は真っ直ぐだったのに、直近の串はどうにも果物が歪な並び方をしていたので。

 別に、わざとではない。ただ、ちょっと気が急いてしまった結果、串に刺すときに気もそぞろになっていたというか、雑になってしまっていただけだ。早くおやつ食べたいという気持ちがあったのかもしれない。


「レレイ、皆でやってるんだから、慌てなくても良いのよ」

「それは解ってるんだけど……。あのね」

「何よ」

「この果物、全部すっごく美味しそうだなって思ったら、食べたくて……」

「つまみ食いは禁止よ!?」

「してないよ!」


 つまみ食い疑惑をかけられたレレイは全力で叫んだ。許可もなくそんなことしないよ! ということらしい。……許可があったらするんだな、とクーレッシュがぼそっと呟いたが、それはスルーされた。

 そんな一幕もありつつも、無事に大量のフルーツ串は完成した。なお、若干残った果物は希望者が仲良く分けて食べていた。思わぬ幸運ににこにこしているレレイに、現金ねぇとヘルミーネが言っているが、まぁ、いつものことだろう。


「串に刺すのが終わったら、今から飴を作ります。鍋に水と砂糖を入れてよく混ぜてから火にかけます」

「はい! 火の強さは?」

「中火でー」

「解ったー」


 皆で作業をするので鍋は複数あった方が良いということで、小鍋を幾つも用意してある。それを卓上コンロの上で火にかけているのだ。人海戦術というやつである。

 中火で火にかけたまま見守っていると、ぷつぷつと泡が出てくる。徐々に泡が増えて全体に大きな泡が立つが、興味深そうにする皆に制止を促してじっと見守る。

 そうやって見守っていると、全体にうっすらと色がついてくる。


「鍋の中身が色づいてきたら串で飴を少し掬って、ボウルに入ってる水につけてみます。で、飴がすぐに固まってパリパリになったらオッケーです。火を止めます」

「「はーい」」


 悠利が手本を見せると、皆が同じように串で飴をすくう。水で冷やした飴は既にパリパリになっており、悠利はそれを囓ってみた。口の中で軽い食感が広がる。ちなみに、噛んだときにねちゃっとする場合はもう少し加熱が必要である。

 飴の準備が出来たら、後はフルーツ串に絡めるだけだ。


「串を持って、鍋をちょっと傾けて果物を飴にくぐらせます。何度も付けるんじゃなくて、飴に浸してくるりと一回転させるだけで大丈夫です。飴を付けたらそのまま保管用のバットに入れてください」

「いっぱい付けちゃダメなの?」

「少しの方が食べやすくて美味しいよ」

「解った!」


 美味しいという言葉で、レレイは悠利の言うとおりにやれば良いのだと言わんばかりの反応だった。安定のレレイ。

 それはさておき、説明は終わったので皆はせっせとフルーツ串に飴を絡めていく。小鍋を持って支える者と、フルーツ串を持って飴を絡ませる者に分かれて作業をしている。大量にあるので、黙々と皆は作業をしていく。


「あ、途中で飴が固まっちゃったら、また火にかけて温めれば良いから」

「了解ー」


 飴は冷えていくと固まるので、大量のフルーツ飴を作っている間にどうしても固まってしまうだろう。それを見越しての悠利の説明に、簡単な作業でどうにか出来ると解って皆も一安心という感じだった。

 そんな中、小鍋を支える役目をしているウルグスが、悠利に質問を投げかけた。


「ユーリ、飴が余ったらどうすんだ?」

「余ったら、バットの上に小分けに流して固めたら良いかなって」

「あ、なるほど。解った」


 捨てるの勿体ないよなとウルグスはうんうんと頷いている。なお、今の話を聞いていたヘルミーネが素早く反応していたが、悠利は笑顔で「作業やってね」と押しとどめた。慣れている。

 雑談をしつつも、フルーツ飴は次々と作られていく。元々カラフルで美しかったフルーツ串が、透明な飴に包まれてキラキラと輝くのが何とも言えずに目に楽しい。バットの上にはたくさんのフルーツ飴が並び、その彩りに悠利は思わず笑みを浮かべる。

 作業が完全に終わる頃には、最初に作った分は完全に固まっていた。その一つを、悠利はそっと手に取る。完全に固まっているので、そっと引き上げればバットからも問題なく離れた。

 そしてそのまま、かぷりと囓ってみる。パリパリとした飴の薄い食感と、歯に楽しい果物のみずみずしい食感が伝わる。そんな悠利の姿を、皆がじぃっと見守っていた。


「最初に作ったやつはもう固まってるみたいなんで、そっと取ったら食べられるよ。食べる分を取ったら、残りは冷蔵庫で冷やして固めようか」

「ユーリ、ユーリ、どれ食べても良いの!?」

「……どれを食べても良いから、ひとまずは一本にしてね、ヘルミーネ」

「解ってるわよ」


 食い気味で問いかけてくるヘルミーネに、悠利は言い聞かせるような口調で告げる。それに対して不機嫌そうにぷぅと頬を膨らませるヘルミーネ。その後ろで、両手にフルーツ飴を持とうとしていたレレイが動きを止めていた。……一応悠利の話は聞こえていたらしく、そっとバットに一本を戻している。

 相変わらずだなぁという空気が流れる中、各々気になるフルーツ飴を一本ずつ手に取っている。全員が一本ずつ手に取ったのを確認すると、見習い組がバットを冷蔵庫に片付けに走る。そういう雑用は言われずとも自分達の仕事だと思っているらしい。

 見習い組がバットを片付けてくれたので、悠利は気兼ねなくフルーツ飴を食べることにした。ちなみに、悠利が選んだのはイチゴのものだ。透明な飴の内側に、真っ赤に輝くイチゴの色味が実に美しい。

 表面に飴が絡めてあるとはいえ、飴は薄い。全力で噛まねばならないほど固くはなく、簡単にパキンと割れて口の中に広がる。そして、すぐにイチゴの果汁が感じられる。柔らかな果肉の感触と、甘みとほんのりとした酸味の絶妙のバランスが何とも言えない。パリパリとした飴と柔らかくジューシーな果肉の異なる食感もまた、食べていて楽しい。


「うん。ちゃんと上手に出来て良かった」


 美味しく出来ていたので、悠利は満面の笑みを浮かべた。作り方もそこまで難しくないし、皆も作業に慣れたようだ。後何回か練習をすれば、お祭りの前日に大量に仕込むのも問題ないだろう。

 そして、美味しいと思っているのは悠利だけではないらしい。思い思いにフルーツ飴を食べている仲間達は、皆、どこか幸せそうな顔をしている。


「んー、これ、食べやすいし甘くて美味しいし最高ー」


 満面の笑みを浮かべているのはヘルミーネだった。スイーツ大好きな彼女のお眼鏡にかなったらしい。黄緑が鮮やかなマスカットのフルーツ飴を手にして、ご満悦だ。このマスカットは皮のまま食べられるし種もないので、フルーツ飴にしても食べやすくて良いのだ。

 飴のパリパリとした食感と、マスカットの皮のプリッとした食感。そして、果肉の部分の弾力がありながらもみずみずしい食感が、見事に調和している。また、このマスカットはヘルミーネの一口で食べられるぐらいのサイズなので、丸々一個を口の中に入れて、噛んで、美味しさを堪能しているのである。

 マスカット単体でも美味しいが、飴でコーティングすることで食感の違いを楽しむことが出来るし、果物の甘さとはまた違う飴の甘さが加わってコクが増している。見た目が綺麗で可愛いだけでなく、味もちゃんと美味しいというのがヘルミーネの中で高ポイントだったらしい。


「パイナップル美味しいねぇ」

「パイナップルだと甘過ぎないか?」

「ううん、そんなことないよ? あのねぇ、パイナップルの甘さと、飴の甘さは何か違うんだよ」

「そういうもんか?」

「そうだよ」


 もぐもぐと美味しそうにパイナップルのフルーツ飴を食べていたレレイの発言に、クーレッシュが疑問を投げかける。けれどレレイは首を左右に振って、クーレッシュの意見を否定する。

 確かにパイナップルは糖度の高い果物だが、果物の甘さと砂糖の甘さは違うものなので、レレイは特に問題を感じていなかった。むしろ、お互いの甘さがいい感じに引き立て合っているように思える。

 ちなみにクーレッシュが食べているのは、一口サイズに切ったリンゴのフルーツ飴である。飴の甘さを、リンゴのさっぱりとした瑞々しさが調和していて食べやすい。シャクシャクとした食感も口を楽しませてくれる。


「見た目も綺麗だし、美味いし、問題はどういう風に陳列するかだな……」

「カミールは何を真剣になってるの……?」

「美味くても、見た目が良くても、売る努力をしないと売れないんだよ」

「「……説得力がありすぎる……」」


 フルーツ飴の串を握りながら力説するカミールに、悠利とヤックとウルグスは呆れたような顔をした。もう完全に商人の息子モードに入ってしまっている。いや、確かにお祭りとはいえ出店するのだから、どうやって売るかを考えるのは大切ではあるのだが。やる気満々だなぁ、と思う三人だった。

 なお、そんな悠利達のやりとりなど気にした風もなく、マグは黙々とフルーツ飴を食べていた。そこまでがっついているわけではないが、美味しいとは思っているらしい。一つ食べては串に残った分をじっと見ている姿が、どうにも小動物めいて微笑ましかった。


「む、もう作るのは終わったのか?」

「あ、ブルックさん。はい。作るのは終わりました。食べる分は冷蔵庫で冷やしてるんですが……」

「オイラ、ちょっと見てくる」

「ありがとう、ヤック」


 ふらりと食堂に姿を現したブルックの姿に、悠利達は見事な連携を見せた。ブルックに詳細を説明する悠利と、いそいそと冷蔵庫にフルーツ飴の状態を確認しに行くヤック。カミールは飲み物いります? と聞いているし、ウルグスとマグはバットの置き場所を確保するようにテーブル上の道具を移動させている。

 ……何で彼らがこんなにもテキパキしているかというと、ブルックが甘味大好きなお兄さんだと知っているからだ。ちょっと怖いぐらいに甘味に執着しているので、皆が食べている中で自分が食べられない状況だと若干不機嫌がダダ漏れになるのが怖かったのである。甘味が絡むと凄腕剣士殿はポンコツになるので。

 ヤックはバットを手に戻ってきた。どうやらいい感じにフルーツ飴は固まっていたらしい。


「こちら、今日のおやつのフルーツ飴です。色んな果物で作ってみたので、好きなのを食べてください」

「ふむ。フルーツ串に飴がついていると思えば良いのか?」

「そんな感じです」


 悠利の説明に、ブルックはそっとフルーツ飴に手を伸ばした。彼が手に取ったのはブドウのフルーツ飴だった。こちらも、皮ごと食べられて種のない品種である。なので、色味はつやつやとした黒っぽい紫である。独特の存在感がある。

 それを一つ口の中へと入れて、ブルックは無言で咀嚼している。飴のシンプルな甘さとパリパリとした食感。ブドウの濃厚な甘みとじゅわりとにじみ出る果汁。その二つが口の中で混ざり合うのを、堪能しているようだった。

 ブルックの表情筋はあまり仕事をしない。喜怒哀楽はあるのだが、大きく感情の動きを見せない男だ。けれど、美味しい甘味が絡んだときは解りやすく、今日もその例に漏れないようだった。


「これは、見た目も綺麗で味も美味しいな」

「お口に合って何よりです」

「あぁ、とても美味しい。……ところでユーリ」

「何ですか?」


 フルーツ飴を片手に、ブルックは真剣な顔をして悠利を見下ろした。とてもとても真剣な顔だったが、何を言われるのか何となく予測している悠利は、静かな表情でブルックを見上げる。


「お代わりに制限はあるのだろうか?」


 ブルックの口から出たのはその言葉だった。安定のブルックさん、と悠利は心の中で呟いた。ただし、口にしたのは別の言葉だった。


「ひとまず、他の皆さんが食べる分が確保できれば、後は喧嘩をしないで皆で食べてくださいという感じです」

「そうか。理解した」


 大真面目な顔で頷くブルック。一応話は通じているだろうと思って、悠利は笑った。フルーツ飴もブルックの中ではスイーツ判定になるんだなぁ、と思いながら。




 大量に作ったフルーツ飴は、仲良く皆の胃袋に収まりました。ちなみに、残った飴を固めた薄っぺらい飴も、綺麗に食べ尽くされました。お残しがないのは良いことです。





ご意見、ご感想、お待ちしております。

なお、感想返信は基本「読んだよ!」のご挨拶だけですが、余力のあるときに時々個別でお返事もします。全部ありがたく読ませて頂いております!

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クロスオーバー始めました。「異世界満腹おもてなしご飯~最強の鑑定士サイド~
ヒトを勝手に参謀にするんじゃない、この覇王。~ゲーム世界に放り込まれたオタクの苦労~
こちらもよろしくお願いします。ゲーム世界に入り込んだゲーオタ腐女子が参謀やってる話です。
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「最強の鑑定士って誰のこと?~満腹ごはんで異世界生活~」カドカワBOOKS様書籍紹介ページ
1~24巻発売中!25巻10月10日発売。コミックス1~11巻発売中。電子書籍もあります。よろしくお願いします。
最強の鑑定士って誰のこと?特設サイト
作品の特設サイトを作って頂きました。CM動画やレタス倶楽部さんのレシピなどもあります。

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