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元ホストの俺、乙女ゲームの王太子に転生。婚約者(悪役令嬢)だけは絶対に守ります  作者: ふうこ0701
第4章 女王と忠犬

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第26話 騒がしい日々の始まり

土曜日21時更新

セレナが現れてからというもの、俺の周りは、良くも悪くも騒がしくなった。


そしてあいつは、破天荒に周囲をかき回していく。


当然、その後始末に追われるのは俺だ。


まず、俺がセレナにやらせたのは、誤解を解くことだった。


「大丈夫、任せておいて。泥舟に乗ったつもりで」


と、自信満々に言う。


「泥舟だと沈んでしまうんだがな」


不安しかないまま、俺は送り出した。


案の定、大丈夫ではなかった。


なぜか、俺とカイルがセレナをかけて決闘し、カイルが勝ってセレナを得た、という話になっていた。


アルベルトが丁寧に説明して回ったが、時すでに遅し。


最早、どうにもならなかった。


結局俺は、セレナに無理を強いした挙句、カイルの逆鱗に触れるという、まったくもって不本意な結果を招いてしまった。


そして、俺以上に不本意だったのは、カイルだろう。


ここまで騒ぎが大きくなれば、カイルはセレナと婚約するしかない。


俺は、どこか申し訳なさを覚えながら、カイルを見つめた。


だからこそ。


エレノアにだけは、本当のことを説明しなければならないと思った。


「だから、王太后のお戯れだったんだ」


俺は、すべてをありのまま話した。


エレノアは時折、目を丸くしながら話を聞いていた。


「でも、殿下はよろしいのですか?ヴァルディス卿に楽しいお方を取られてしまって?」


その言葉に嫌味はない。


なぜなら、エレノアの瞳は、どこか茶目っ気を帯びていたからだ。


「勘弁してくれ、エレノア。あれだけは絶対無理だ。手に負えない」


俺は肩を落とす。


エレノアは、さらに顔を覗き込んできた。


俺の頬には、くっきりと小さな手形が残っている。


それを見て、エレノアは肩を震わせ、笑い出した。


「殿下、随分、男前になられましたね」


「エレノア、随分と棘のある言い方だな。もう少し労わってくれてもいいんじゃないか?」


「ですが、このところ、殿下は調子にお乗りでしたもの」


くすくすと笑う。


「どうやら、私は君の機嫌を損ねるようなことをしてしまったらしいな」


わざとおどけて見せる。


「さあ、どうでしょう?」


満面の笑み。


やはり、俺はエレノアには敵わない。


その笑顔一つで、すべて満たされてしまう。


久しぶりに、エレノアと穏やかな時間を過ごした。



その後、セレナはカイルと無事に婚約した。


だが、あいつはやはり規格外だった。


王太后を「おばあちゃん」、国王を「おじさん」と呼ぶ。


そのたびに、グランディア伯爵夫妻は後始末に追われている。


王太后や国王があの扱いなら、俺が呼び捨てにされるのも当然だろう。


さらに、騎士団長に向かって、


「パパ」


と呼び、周囲を凍りつかせたという。


まったく、どこまで自由なんだ。


そして、俺の周囲にも変化が起きていた。


婚約者たちが次々と王宮入りし、妃教育を受けることになったのだ。


ますます頭が痛い。


その中には、なぜか婚約者でもないセレナの姿もあった。


王太后の計らいで、セレナも淑女としての教育を受けることになったらしい。


が、本人は、


「ばちばちと嫉妬と策略に燃える女の戦いがみたい」


と、まったく別の目的で乗り込んできていた。


本当に、元気なやつだ。


こうして、俺の新しい生活が、幕を開けた。



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