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元ホストの俺、乙女ゲームの王太子に転生。婚約者(悪役令嬢)だけは絶対に守ります  作者: ふうこ0701
第8章王家の婚姻

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第114話 シンデレラパニック②

会場を進んでいくと、空気が変わった。


そこには、一人手持ち無沙汰そうに立っているレオニスの姿があった。


金色の髪は照明を受けて眩く輝き、琥珀色の瞳はどこか憂いを帯びている。


その姿は、まるで物語に登場する王子様そのものだった。


周囲には、レオニスを一目見ようと令嬢達が群がっている。


「レオニス様、素敵……。

妃なんて贅沢は言わないから、一夜のお相手だけでもしていただけないかしら。」


「あなた、それを本人に言った令嬢がいたらしいわよ。」


「えっ、それで?」


「殿下、“相手には不自由していませんので”って笑顔で返されたそうよ。

レオンハルト様が慌ててフォローしてくださったらしいけど。」


「まあ……。」


「やっぱり、美しいものには棘があるのよ。

痛い目を見たくなかったら近づかないことね。

あれは鑑賞用だわ。」


「でも、ずっと眺めていたいわ。

氷の王子様……。」


令嬢達はうっとりとため息をついていた。


やはり殿下はおもてになる。


エレノアは少し複雑な気持ちになった。


クリストファーがレオニスへ歩み寄る。


「レオニス殿下、初めてお目にかかります。

クリストファー・スチュアート男爵と申します。」


レオニスはゆっくりと視線を向けた。


その目は、不思議なほど冷たかった。


エレノアは内心、首を傾げる。


――殿下、何かご機嫌が悪いのかしら?


「あなたが“双剣の騎士”と名高い、スチュアート大佐ですね。

あなたの噂は、よくカイルから聞いていますよ。」


レオニスは丁寧に挨拶を返した。


だが、その声にはどこか刺々しさが混じっている気がした。


「そちらのご令嬢は?」


レオニスの視線が、エレノアへ向けられる。


その瞬間、エレノアの胸がどきりと跳ねた。


「これは、私の妹です。」


クリストファーが自然に答える。


「エレナ・スチュアートと申します。」


エレノアは緊張しながら一礼した。


すると、レオニスは柔らかく微笑む。


「スチュアート大佐。

あなたの妹君は、とても美しいな。」


「そんな、殿下……。」


エレノアは思わず顔を赤くし、いつもの口調で返してしまった。


その瞬間、レオニスがくすりと笑う。


先ほどまでの不機嫌さが、嘘のように消えていた。


「レオニス殿下、私はアンネ・スフィフトと申します。」


そこへ、アメジスト色の髪と瞳を持つ令嬢が声をかけてきた。


絶世の美女というより、チャーミングという言葉が似合う少女だった。


「あなたは、スフィフト伯爵のご令嬢ですね。」


レオニスは愛想笑いを浮かべる。


「殿下、私と一曲踊っていただけませんか?」


アンネは期待に満ちた目で手を差し出した。


だが、レオニスは困ったように肩を竦める。


「アンネ嬢、申し訳ない。

私はダンスが苦手なのです。

だからこうして、壁の花になっているんですよ。」


そう言って、さらりと断った。


すると、後ろから苛立った声が飛んでくる。


「てめぇ、レオニス!

お前、足を痛めただの、ダンスが苦手だの言って、また誰とも踊らねぇつもりだな!」


レオンハルトだった。


「お前が断るたび、俺のところにその令嬢達が流れてくるんだよ!

おかげで、こっちは目が回りそうだ!」


レオニスは楽しそうに笑う。


「お前も断ればいいじゃないか。

レオンハルト、お前は本当に紳士だな。」


「ふざけんな!」


レオンハルトは完全にキレていた。


その時だった。


レオニスが、すっとエレノアの前へ歩み寄る。


そして優雅に手を差し出した。


「エレナ嬢――私と一曲踊っていただけませんか?」

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