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人間不信の万能勇者は六人に分裂するようです~「私が六人いれば、それがドリームパーティーだ!」~  作者: 朝昼夜
第10章 会長の登場。三体目の魔族『カースメイカー』との戦い。
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第87話 久々の神殿


 久々の転職の神殿である。

 私はピンクを引き連れて、神殿の奥にある女神の像までやってきた。


 神官のヨルクさんが像の側に立ち、私たちに紹介した。


「こちらが、女神ローザです」


「「ははーっ」」


 膝を突いて、祈りを捧げる私とピンク。

 女神ローザは、相も変わらず美しいようだ。


「献上品をお持ちしました」


 私は像の前に、スパゲッティを置いた。

 すると、石像の目が僅かに光った。


「『これはなんだ』と聞いています」

「ははっ。スパゲッティーにございます」

「『そうではない。何故、スパゲッティなのかと聞いている』」

「はい。それはローザ様がパスタを好きそうな顔をしているからです」


 私の答えに満足したのか、女神は黙り込んだ。

 私は、さらにもう一言、付け加える。


「これは私めの手作りにございます」

「『ほう。手作りとな』」

「ははっ。ローザ様のために、丹精込めて調理しました」


 隣でピンクが、私の肩をどついた。


「……ステラちゃんの嘘つき。バーベキューセットで作ったんでしょ」


 その通りだ。チンとやって一分で作った料理だ。

 だが、問題はない。どうせ、ローザ様には、分かりっこないのだから。


 バカ舌っぽいしな。


 ――ガッシャン!


「……あたっ」


 なんか、頭に落ちてきた。


『誰がバカ舌だ! バカはおまえだ!』


 ……お、怒ってる。

 ヨルクさんが、付け加えた。


「『バーベキューセットで作ったものだろう。最初からわかっていたぞ』と言ってます」


 バレてる! 

 ローザ様、食べる前から気づいたって言うのか。


「さすが、女神。参りました!」

「『分かればいいのだ』」


 やはり、ローザ様の前では隠し事はできないな。

 そう思い、私が顔を上げる。


 すると――。


「……なっ」


 そこでは驚愕の出来事が。

 なんと! 目の前のスパゲッティが、ズルズルと消えていくではないか!


「それはローザが食べているからです」

「……ええ」


 結局、食べるのか。

 この女神、食い意地が張ってんな。


 ――ガッシャン!


「……どぅはあっ!」


 また、頭に落ちてきた。


『せっかくだから、食べてやったのだ。ありがたく思え』


 お、怒ってる!

 ダメだ。無心にならないと。


「ところで、今日は用事があって、ここに来たのでは?」


 そうだった。ローザ様と遊んでる場合ではなかった。

 ピンクが説明した。


「ミリアちゃんが食事会に誘われたのです。だから、その付き添いに」

「それで、相手は魔術師協会と」

「はい。ローザ様なら、話を通してもらえるかと」


 石像の目が、僅かに光った。


「『別にいいよ』と言っています」

「いいんだ」


 前はミリアに冷たかったのに、こんなにあっさり。

 もっと面倒な話だと思っていたぞ。


「『あの娘も頑張ってるようだし、そのぐらいなら、お安い御用だ』」


 やはり、ローザ様だ。

 なんと、懐がお深いのだろう。


「「ははーっ」」


 私たちは、石像に頭を垂れた。


 用件は以上なのだが、ヨルクさんが私に話があるらしい。


「話というのは、書物の件についてなのですが」

「へ? 書物?」


 ピンクのエルボーが炸裂した。


「忘れたの? グラニュート盗賊団のアジトにあった宝箱。あの中に入ってた書物だよ」

「……ああ」


 そう言えば、そんなこともあった気がするな。

 もう遠い昔のことで、あんまり記憶にないのだが。


「それで、その書物をヨルクさんに預けたの。どう? 思い出した?」

「よし。思い出した。大丈夫」


 では、ヨルクさんの話の続きだ。


「実はですね。書物の解読に、思いのほか難航していて」

「はあ」


 やはり、難しいのか。

 少し見てみたが、意味不明な文字の羅列だった。


「ですが、書かれた時代については、分析により解明できました。どうやら、古代人が書いたもののようです」


 古代人だと?

 また、よく分からない言葉が飛び出して来たな。


 でも、古代の人は優れた技術力を持っていた。

 と、どこかの本で読んだ覚えはある。


「いえ。おそらく、レイラントさんもその一端には触れているはずです」

「一端、というと?」

「古代魔法。あなたほどの冒険者なら、どこかで触れたことがあるはず」


 たしかに、ある。

 前に、三人ほど使い手を見た。


 パルテ、ドラギド、オバケスロット。

 正直なところ、共通点のない三人だ。


 で、それぞれの魔法は……。


 盗賊団のパルテは、≪アニマ・ライズ≫。

 吸血鬼ドラギドは、≪ビルス・フォール≫。

 オバケスロットは、≪スカー・シフト≫。


 強力な魔法だったことは記憶にあるが、効果はバラバラ。

『これが古代だ!』と言えるような部分は、まるでなかった。


「レイラントさんは、会長の食事会に参加するのですよね?」

「はい。その予定ですけど」

「それなら、ちょうど良かった。魔術師協会の会長は、古代魔法の研究で今の地位に上り詰めたと聞いています。おそらくは、書物の解読もできるのではないかと」

「なるほど」


 やってもらう価値はありそうだ。


「では、書状を用意するので。それと今までの調査結果を」

「ありがとうございます」


 さて、あとはミリアに話を付けて、食事会の準備だな。

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