神の力を使って人里に向かう
「じゃあ街に向かうか」
それぞれの設定も決まったので街に向かうことにする。
アイリスはすでにメイド服に着替えた。
このメイド服は俺が作ったもので、色は着色草で白と黒にいてある。
フリードは街までは一緒に行動する。
「どうやって行くんですか?」
俺は足で地面をトンッと踏む。
すると3体の魔物が出現した。
俺の収納の能力は少しだけ進化して地面から出すことが可能になり、俺の手に収まるものであれば一瞬で出すことも可能である。
フリードとアイリスは眷属となったため、俺の力を理解しているため何も驚かない。
「本当にいろいろできますね……」
伽耶は俺の力を見て呆れている。
そういえばまだ伽耶には俺の力について説明してなかったな。
「俺の力は植物だったらなんでもできちゃうような力だな。スキルみたいなもんで、名前は【植物の王】だ」
「ミルド様は人善神でいらっしゃいましたか。ですが、植物を操る善神など聞いたことがありません」
「新しく生まれた」
かなり無理矢理だが異世界人だという訳にもいかないので誤魔化しておこう。
「すごいじゃないですか! いいなぁ私もそんな力を選べばよかったです!」
「いやいや。その代わりに俺のスキルは剣術しかないぞ?」
まず善神の力は選べないと思うけどな。
「「「!!?」」」
「そ、それは本当ですか? 身体強化魔法を使わずにあのような速度や力が………」
「そもそも俺には魔力がないからな。身体能力が高い理由は知らん」
「さすがはミルド様! やはり貴方は俺が求める最強です!」
「さんきゅー。んじゃこれに乗ってくぞ、伽耶は振り落とされるから俺の後ろに掴まって乗ったほうがいい」
「わかった!」
俺と伽耶は一匹の魔物に乗り、他の2人もそれぞれの魔物に乗る。
この魔物はウルフよりは大きくないが、とても素早く長距離も移動できるとても有能な魔物だ。
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スピードウルフ
スキル
・加速 5
・疲労軽減 4
・隠密 6
・影魔法 2
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まるで忍者のようなスキルだ。
こいつならバレることなく移動できて楽だろう。
「東に向かっていけ」
俺がそう言うと、スピードウルフは徐々に速度を上げていく。
伽耶はなんとか俺にしがみ付いているようだ。
これも魔法でなんとかできればいいんだけどな。
さすがにそこまで万能では………ん?全く風も来なくなったし、しがみ付かなくても落ちなくなったぞ
『ミルド様。私の呪文を使って何もしなくても落ちなくしました』
アイリス有能すぎる。
しかも俺が教え忘れていた念話で話しかけてきた。
眷属同士ではある程度の知能を持つもの同士念話ができるのだ。
まぁこの2人以外と念話しても『グルルゥ』としか聞こえなかったが………。
『ありがとう。助かった』
『勿体無いお言葉です』
「伽耶、もうしがみ付かなくてもいいぞ」
なぜかまだ必死にしがみ付いている伽耶に言った。
「え?あ、本当だ! け、けどそれでも危ないから掴まっててもいい?」
上目遣いで言われちゃ断れるわけない。
「あぁいいよ」
「やったぁ!!」
伽耶がさっきよりも強く俺にしがみ付く。
少し胸が当たっているが、気にしたら負けなような気がする。
このまま30分ほどで、森を抜けられた。
その間にアイリスから呪文のことを色々聞いた。
呪文は魔法と同じ分類に入るが、魔力を全く使わない上に使える属性が限られている訳でもないらしい。
ただし、悪神の力なので光だけは使えない。
呪文はどのような状況になっても臨機応変に対応できる力だが、もちろん弱点もある。
無詠唱ができないことだ。
だが、俺はさっきの戦いで言葉を発さずに呪文を発動しているアイリスを見た。
その事をアイリスに聞いてみると、呪文を予め紙に書いておけばその紙に念じる事で呪文が発動するらしい。
その能力ならば、無詠唱ができないという弱点を補えそうだ。
実際アイリスは有能すぎて俺が主でいいのか心配になってくる。
そして森から抜ける前に何度が正面に魔物がいて戦闘になった時もあった。
「ミルド様には指一本触れさせん」
と言って、魔物が破裂した。
やっぱりこいつを人里に連れて行くのは間違いだな。
街中をすれ違って、たまたまぶつかってしまった人がフリードによって同じように破裂されるところを見たくはない。
あとできっちりルールを決めておこう。
森を抜けるまで50キロってことは100キロ近くこの魔物は出してるのか。
俺も本気を出せば100キロぐらいなら走れそうだが、疲労が溜まりそうだ。
やはり、スピードウルフを眷属にして正解だったな。
このままだと、あと30分だな。
「到着5分前になったら徒歩で移動するぞ」
「「「はい!」」」
ーーーー25分後
遠くを見ると魔物の侵入を防ぐための壁が見える。
ここからは人里が近いから歩きで向かう。
そしてフリードがアホみたいに力を使わないように約束させる。
「フリード。お前の役割をもう少し細かく決めるぞ」
「はっ!わかりました!」
こいつは元気だけはいいんだよなぁ。
こいつに約束させたのは3つだ。
一つ、俺が気付いていない相手の時だけ俺の収納から出ることを許可する。
これは暗殺者や、不意に攻撃してきたやつに対抗するためだ。
魔法を使ってくるならば対応できると思うが、隠密スキルを使った暗殺者は索敵スキルを持っていない俺が気付くのは無理に等しい。
殺気を出してくれれば簡単にわかるんだけどな。
そして二つ、俺の半径50メートル以内に存在する強者を教えろ
まぁ最初から強いやつが周りにいることがわかってたほうが対処しやすいってだけの話だ。
最後に三つ、俺に殺気を出すもの、危害を加えようとするものがいたら教えろ
俺も気付く事が出来るとは思うが、スキルを持っていないから不安で仕方がない。
俺はスキルを持っていないが、自分の身体能力や五感でなんとかしているのが今の現状だ。
俺だけではいつもビクビクしながら生活しなければならなかっただろう。
やっぱりこの2人を配下にして正解だった。
そんな事を決めているとさっきから見えていた壁が1キロ先の所にあった。
ここから門などは見えないが、そのまま壁付近まで行ってしまった。
そこから壁に沿って歩いていく。
するとかなり立派な門が見えてきた。
数人の兵士が取り締まっており、門の横には小さな家がある。
10人ほど列が並んでいたので最後尾に並び、おれの順番を待つ。
5分もすれば俺の前に並んでいた人達は全員壁の中に入っていった。
次は俺の番だが既にフリードは俺の中に入っているし、問題ないはず。
「お前達はどこから来た?」
「俺たちは東にある森から来た。全員ずっとそこに住んでいたので身分を証明するものはないけど……」
俺たちのいた西にある森から来たと言えば必ず警戒されるため、東に森が見えたのでそこに住んでいた事にした。
「それにしてはいい服着てるみたいだな」
この兵士はなかなかやるようだ。
伊達にこの様な身元不確かな人を見てきているだけはある。
「全部自分たちで作ったからな」
「それは凄いな。それでその森から来た理由は?」
一応服を自分たちで作った事は信用してくれた風な口ぶりだが、そんな簡単に信じてくれたら苦労しない。
「俺等の家が魔物に壊されたんだ。仕方がなく住む場所を探してここに来たってわけだ」
「なるほど。では最後に全員この水晶に触ってみてくれ」
もう一人の兵士が持っていた透明な水晶をこちらに近づける。
嘘を見破るものだったらかなりまずい。
けど、ここで拒否したほうがもっと怪しまれるだけだ。
ここはおとなしく触るべきだろう。
俺、伽耶、アイリスの順番に触るが、全員白く光っただけだった。
「よし。そこのやつに通行料として銀貨5枚を3人分払ったら入っていいぞ」
なにやら俺たちは無事この壁の中に入れるらしい。
けど、一つ怪しい言葉が聞こえてきたような……
「銀貨ってなに?」
「お前らそんな事も知らんのか。あのなぁこの大陸の金はーーー」
どうやら、硬貨にいろいろ種類があるとの事だ。
銅貨10枚→大銅貨1枚
大銅貨10枚→銀貨1枚
銀貨10枚→大銀貨1枚
大銀貨10枚→金貨1枚
金貨100枚→白金貨1枚
4人の家族が1ヶ月暮らせていける金額が金貨2枚
一食の平均の金額が銀貨1枚前後
この事から
銅貨→10円
大銅貨→100円
銀貨→1000円
大銀貨→10000円
金貨→100000円
白金貨→1000000円
日本円にしたらこのぐらいだという事が分かる。
って事はこいつらは5000円よこせっていってきてるわけか。
しかも3人合わせるから1万5000円か……結構高いな。
「もしかして金がないのか?」
こちらの状況を悟ったのか兵士がそんな事を言ってきた。
「そうだ」
「わかった。こちらで用意するから1週間後に返してくれ」
いきなり借金生活から始まったけど大丈夫か?
それにしてもこんな簡単に金を貸してくれるなんて緩いもんだな。
「ありがとさん」
「返してくれれば問題ない。しかし……」
兵士は伽耶とアイリスを頬を赤くしながらじっと見る。
どうやらこの2人の前でカッコつけたいだけだったらしい。




