102 勇者様とハンバーガー(その12)
「ないっ!」
勇者様が騒ぎ出した
お店(酒場)では騒がないといった常識がないようである
勇者様は両手を交互に見る
目の前の皿を持ち上げて見る
床を見る
座ったイスの真後ろを見る
どうやら『探したけれど見つからない』ようだ
でも諦めきれなくて『まだまだ探す気』らしい
もう一度皿を持ち上げて探しだした
・・・どこかの紅薔薇さま?
ことの起こりは勇者様がなんでもいいから食べさせてくれ(意訳)と言ったことだな
もちろん言いましたぜ
「よろこんで!」
・・・最近、居酒屋できかなくなったな
そんなわけで冷凍しておいた食パンを取り出して、サンドイッチ用よりも薄く切る
ここではできるかぎり薄く切るのと、耳を切り取るのがポイントだな
そんでもってちょっとだけオーブンで温める
大体10分くらい?
なんでバンズがないのに食パンがあるんだ?、ですかい?
汎用性が高いからだよ!
某イスが豪華なコーヒーチェーンを見ていればわかる
毎朝すごい数の食パンが搬入されているってばよ! ←本当です、家政婦は見た!(笑)
その待ち時間の間にキャベツ(異世界産のもどき)を千切りにして油で軽くいためる
あと、冷凍しておいたミンチカツ(異世界産動物の肉と脂身を使用)を油(同脂身)で揚げる
そして温めた食パンに自家製マヨ(異世界産)を塗り、先ほどのキャベツとミンチカツを乗せる
あ、食パン、キャベツ、ミンチカツ、食パンの順な
お皿に載せて勇者様に出す
所要時間15分弱
これがプロのメイド(料理人)の腕というものだ ←元ネタは某大富豪のツンデレメイド@マルコ
「いただきます」
どこかの料理マンガのように両手を合わせる勇者様
なんなら食材と闘ってもいいんだぜ?
勇者様は「いただきます」を言う世代のようだな
ちょっと感心した
平成の終わりになると言わない若者の方が多いからな ←いやマジで!
「人に迷惑をかけていないからいいんだよ」とか言う
あんたの存在自体が迷惑なんだよ!、とか言いたくなる
コホン
失礼
勇者様が特製サンドを食べ始めた途端騒ぎ出した
それが冒頭のシーン
勇者様、マジ焦っている
どうやらロクに食べていないのに盗られて無くなったということらしい
奴は大変なものを盗んでいきました、あなたのサンドです(笑)
いやあんた(勇者さま)、美味しそうにガツガツ食べていたよ
そう言いたい
まあ、気持ちはわかる
オレの得意料理の一つ、消えるカツサンドだからな
ネタは簡単なんだな
ミンチカツは脂身がたっぷりなんだな
脂身はお、おいしいんだな
食べたら、お、おもわず夢中になるんだな
そ、そんでもって、き、気がつくとな、無くなっているんだな
だ、だからもう一個サンドをください、なんだな
以下ネタばらし
脂身多めのミンチカツは本当に消える ←実話
そのまま食べても消えるんだけどそこで一工夫
脂身の甘さをさっぱり洗い流すキャベツ
持ちやすくするとともに、味がなくて箸やすめがわりになる食パン
を一緒にすることでミンチカツの脂のくどさを緩和してみた
そしておやくそのマヨ
そのまま食べても美味しいという究極の食材
今回は酢の量を多めのものを使ってみました
つまり脂の甘さと酢のさっぱり、両者のコラボで無限ループを作ってみた、というわけだ
早い話が、ポテチ
甘いとショッパイのコラボで1袋を無くなるまで食べ続けるというアレ
ちなみに、から揚げの甘酢あんかけでも可
ミンチカツは脂っこいから2個か3個が限度
でも特製サンドにすると脂を他の食材が洗い流すんだよ
特にパンはあっさり薄味で、できるだけ添え物にするのがベスト
どこかの料理マンガのように肉のうまみをどっしりと受け止めるなんてことはしない
そんなことやったらお腹が膨れるだろ?
肉の邪魔をしないように、でも脂っこいのを中和する、このバランスが命!
特製サンドを『探したけれど見つからなかった』勇者様は当然、追加オーダーすることだろう
もちろん、すでにミンチカツその他の準備は完了している
最初っからこうなることを見越して大量に作っているからな
「追加でもう一個!」
案の定、勇者さまが注文してきた
どうよ、尊敬してくれてもいいんだぜ
でも勇者が食べるのをただ見ているだけってのもひまだから某家具商人風にナレーションでもつけてみようかね
「うーん、そうきかた」
とか
「このマリアージュは最高だ」
とか
ああそういえば最初に言うセリフがあったな
「はらが減った」(ピ、ピ、ポ)




