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僕と君達と謎  作者: 如月 楸
第1章 数奇な出会い
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僕と先輩とスピーチ原稿〈序論〉

彼女がそそくさと立ち去る姿に些か疑問を持たなかったわけではない。なぜなら、確実に彼女の口角が不自然につりあがっていたからである。まぁそりゃ、告白し他相手が自分のことを何も知らないとなると別れ際はさすがに気まずくなるものなのだな。しかし、ことはそんな単純なことではなかったのである。

「しーしーどーりんくーん。何してるの?何してたの?んー?なにしてたのかなぁ?私との約束をすっぽかして女の子とイチャイチャしてたのかな?私のみてないところでぇ?どうなのかぁ?凛君にはあることないことすべて話してもらわなければいけないようね。」

「あることないことって…ないことはしゃべれません…」

その瞬間すべてを察した。彼女の顔が引きつっていたのは今まさに僕の後ろで先輩が鬼の形相で笑っていたからである。今すぐ穴があるなら入りたい。僕の身のために...

「せ、先輩落ち着いてください。約束のことはちゃんと覚えてますしこれから行こうかと...思ってて。それにですね!先輩!先の彼女は半年前に僕が助けた少女でそのお礼をされてて...」

嘘である。その嘘を見破られるのが嫌だと言うのも合い重なって、後ろにいる先輩の方には向くことができず先程彼女が立ち去った方向に独り言の様に呟いた。

すると先輩は飽きれたようにこう言った。

「はぁ、ほんとに凛君は...もういいわ始業式の準備の時間も少ないしとりあえずついてきて」

「あ、はい...」

先輩は先の彼女と同様に僕の右手首をつかみ体育館へと向かった。

その姿はすぐさま全校生徒の間に≪元会長後輩彼氏を連れまわす≫と言い広がることとなる。


先輩に連れられ僕は体育館のステージ右隣に隣接されている放送スペースにいた。ここはほぼほぼ放送スペースの要領はなしておらず、その行事に必要な機材などの荷物おき兼待機スペースとなっていた。まぁ、一番の原因は放送室が別に用意されことなのだろうけど。

「凛君それで例の物は...?」

先輩はまさに外道そのもののような顔つきで僕を一瞥しながら言った。まるでヤクザだ。いや、もしかするともしかするかもしれない…

「誤解を生むような言い回しはやめてください」

そう僕は不満をたれながら春休みと昨日徹夜して完成させたスピーチ原稿が入った封筒を手渡した。その瞬間、先輩の表情がなぜか安堵の表情と苦虫をかみつぶした表情をミックスした複雑な顔をしていて、そのことが僕は疑問を感じた。だが、次の瞬間にはその表情は何処へやら、いつもどおりの笑顔に戻っていて続けてこう言った。

「確かに受け取ったわ。ほんと助かったわ」

周りに生徒会の面々もいた為か先輩は少し首をかしげ可愛らしく笑って見せた。僕はその笑顔に少しばかりの違和感を感じつつも気にしないことにした。

その後先輩から、「君のミッションは終わったわ。まだ、始まるまで15分程度あるから教室に荷物を老いてきたらどう?」と言われたので僕は教室に行こうとした。が、この後の先輩の行動を気になった僕は先輩に尋ねると「あれー?もしかしてストーカーするつもり?別に凛くんなら嬉しいけど。まぁ、することと言ってもこの原稿を理事長に持っていって、確認してもらって。舞台設営の最終確認かな?」そんな感じに、先輩は多忙をきしていた。そんなこんなで体育館から本校舎へ歩いている時、僕は重大なことを思い出してた。

「新しいクラス知らない...」その場にうなだれた。もう疲れたよ朝から先輩に絡まれるしいきなり告られるし。先輩に連れまわされるし。もうどうでもよくなってきた。そんなところに聞き覚えのある声が投げつけなれる。

「よう凛。久しぶり元気やってたか?」

親しみのある声で問いかけたのは白石翔である。あるきっかけで仲良くなった数少ない友人だ。今年度から軽音部の部長で学校内でもかなり人気のある生徒だ。要するに勉強ができ音楽ができ顔がいい、うらやましい限りである。

「翔か。まぁ、ぼちぼちな...」

「それよりもささっき榊原先輩に連れられてたのってお前だよな?」

それよりって少しばかり酷いのではないだろうか。ほんの少しぐらいは気遣ってくれてもいいではないか僕は君のフレンドだ。ってもわかってくれないか、こういう奴だし。

「あぁそうだよ、いかにも僕だよ。何か問題でもあったのか?」

「当たり前じゃないか!学校1の才女にしてミス春美ヶ丘!!全校男子の憧れだよ!そんな榊原先輩に手を引かれておるのが宍戸みたいなやつとか納得がいかんし羨ましすぎる。黒いながらも芳醇な艶を放つストレートの長い髪、くっきりとした二重の瞼の奥に隠された瞳はまるでアメジスト!それに付随して完璧なポイントに配置されたすらっとした鼻、プルっとした唇そしてそれらをまとめるシュッとした顎。」

「お、お前。そこまで入れ込んでるのか...?」どん引きだがあながち間違ってないからなおさらだ。

「これはまだ、序章でしかない。ここからが本筋だ。榊原先輩の本当の魅了は胸と尻と脚だっ!なんともいえないあの大きい胸、それに負けず劣らずの尻、そしてそれを支える細く長い脚!完璧な男の理想の女性像だ」

「お前下心丸出しだな、あきれるよほんとに」

「いやいやいやいや、断じてそんなことは...?」

「ほんとに?」

「.......うん」

「嘘だな」

「はい。ごめんなさい。までも、お前みたいな地味男が榊原先輩みたいな華やかな人の目に着くなんて人生わかったものじゃないな凛。」

「あ、あはは...」失笑だよ

こいつはほんとに友達なのか...なぜその台詞を満面の笑みを浮かべて友を貶すことしかしないなんて酷いよ。こいつの天然怖い。まじ怖い。こいつといても時間の無駄だし疲れるだけだから。

いろいろ...ショックです。


翔と別れてから僕は一人でもう一度校舎玄関へと向かった。あざといが僕は新しいをクラス知らないのである。先からの≪連続パンチ≫にノックアウト寸前の僕はふらふらになりながらもやっとの思いで玄関前に辿り着いたが、そこにはなんと何もなかったのである。まさかまさかの≪コンボ≫です。僕はその場にK.O負けした。

「今は何時だろうかもう始業式は始まってしまっているだろうか。あぁ空が青い。このまま僕はあの空へといけるのかな。もう僕は逝っちゃってもいいんだよね...」

「こんなところで何いってるのかな、凛君は。恥ずかしくないの...ださ」

先輩は完全に僕を軽蔑している。そして嘲笑っている。なに壊れたの?それに...ださって。はぁここは何も突っ込まないぞ、そう何もせず澄ました顔で対応だ。

「やぁ先輩、ご機嫌麗しゅう」これは決まったな。

パシャ。パシャパシャ。パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ!!!!!!

シャッター音?しかもものすごい量の?

「先輩...?榊原先輩?どうしてそんなに携帯を構えて写真を撮ってるんですか。しかも途中から連写だしっ!!!」

先輩の顔が歪んでいる。ほうそう出来ない方向に歪んでいる。ミス春美ヶ丘のこんなみだらな顔は見たくないっ!!

先輩は依然として写真を撮り続けている。しかたなく質問することにする。

「僕そんな面白いことしましたっけ?」

「うんっ!凛君のドヤ顔と落胆した顔の二つの表情もカメラに収められたわ。ごちそうさまです。」

もう、僕恥ずかしすぎてお嫁にいけないぃ。

「それよりも凛君もうすぐ始業式始まるわよ。ほら行きましょ。」

き、切り替えが早すぎてついていけない。ほんと全てにおいてマイペースだ。その前に僕は先から気になっていることをうきうきの先輩に訊ねた。

「先輩、質問なんですけど、なんでこんなところでいるんですか?先輩は今回前会長としての責務が沢山あるはずですけど、こんなところで油なんて売ってていいんですか?」

「いいのよいいのよ。これも仕事のうちだから、といっても理事長があなたのことを呼んでたから探しに来ただけよ。それにおもいかえしてみるとあなたは新クラスの掲示を見る暇はなかったと思ってついでに伝えに来ただけよ」

思いっきり澄まし顔である。逆にここまでの澄まし顔もなかなかないものである。見習わなければならないな。ま、それが先輩の優しさで見栄であるからきちんとお礼を言わなければいけないな。

「由美子先輩はほんとに優しいですね。あんまり優しくしすぎると惚れちゃいますよ。ほんとに。」

顔がみるみるうちに赤くなっている先輩を尻目に少しは仕返し出来たかなと思い、二ヒッと笑った。

「りりりりっりんりん君ったらほんとにこういうときだけ由美子先輩呼ばわりするのやめてもらえるかしら?卑怯よ。」

「でも、由美子先輩はあの時『二人の時には下の名前で呼んでほしい。これで今回のことはチャラにしてあげる』っていってたじゃありませんか。今は二人きりですよ。由美子せんぱい。」

由美子連呼のせいか先輩は完全にあたふたしていた。こうしてみると先輩は素人目から見てもかわいい。ミス春美ヶ丘にダントツで選ばれるのも頷ける。翔が言ってた通り僕みたいなださ男と学園の華では釣り合わないのかもしれないな。ま、性格抜きの話である。

直後全てを仕切りなおすかの様に大きめな声でこういった。「バカ」

今の言葉にどんな意味を持つのか考えたが、そう簡単には答えは導き出せそうにないがただ1つわかったことがある。それは、あの言葉が僕に向けられたものであるということ。この答えに至るのはいたって普通である。先輩はあいてに意地悪するのは日常だが自分がされることには先の通り全く免疫がなく哀れもない姿をさらすことになる。そういう女の子らしいところが僕は少しばかり気に入っている。でも、先輩には内緒である。

今度こそ完全に空気を変え仕切りなおしていった。

「アホ凛君。始業式まであと5分もないわよ。仕方ないわね、荷物は持ったまんま参加してもらうことになるけどそれでも大丈夫?これでも私、あなたには感謝しているのよ。私はマイペースでわがままで迷惑かけてるけど凛君はそれでもついてきてくれる。ほんとにうれしいのよ。」

照れくさいのか下を向いて指を絡めもじもじしている。そんな先輩に対し僕は落ち着いて答えた。

「初めは嫌でしたが、約束は約束ですから守らせていただきます。これは決定事項で互いに同意の上ですから今更破棄には出来ませんよ。それより、ほんとに時間がありません。急がないと遅れてしまいます。」

流れを断ち切るのは些か申し訳なかったがほんとに時間がないため仕方がなかった。先輩の手を引こうとした時先輩が何かつぶやいたかの様に思えたが。今は考える暇はなかった。




「凛君は―――――――――――――――――なのかな?」






僕は先輩と体育館のある方へ駆けだしたが、その駆けだした先に運命という名の地獄が待っているとは僕だけは知らなかった。













ついに1stヒロインの榊原由美子先輩ルートへ突入だぁ!!!凄く個人的なんですけどこのヒロインたぶん1番好き(2ndヒロインの時にも同じこといいそう)です。

まぁ本題に戻ると、先輩の抱えている運命≪謎≫は一体なんなのでしょうね?僕にもわかりません。でもきっと凛君が助けてくれるでしょう!ハーレムフラグがいっぱいで少し気に入りません。

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