4.意識せずに倒した相手は。
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「なんだよ、そういうことか! ビックリさせんなよな!」
「お、おう……誤解がとけたなら、何よりだよ」
絶叫の後、ボクは全速力でアクトを追いかけた。
ミラには明日また、と断って。
ひとまず勘違いを解消できたので、一安心というところだった。
そんなこんなで、成り行きとはいえボクとアクトは共に帰路を歩いている。ちょうど家の方向も同じだったらしく、ついでに近所の川へと立ち寄った。
王都の外れをサラサラと流れる水を眺めながら、ボクはゆっくり腰を落ち着ける。
アクトも大きく息をつきながら、同じようにしていた。
「それにしても、まさかドラス家の嫡男に喧嘩を売るとはな!」
「ん、ドラス家って……?」
そして、ふとそんな話題を振ってくる。
そういった家系事情に疎いボクは、間抜けた声でアクトに訊き返した。すると彼は驚いたように目を丸くする。まるで、信じられないものを見るかのように。
いったい、どうしたというのだろうか。
そう考えていると、アクトは肩を竦めながら教えてくれた。
「ドラス家、っていったら名門騎士家系だよ。爵位だって与ってる貴族の中の貴族様だ。ちなみに取り巻きのもう一人は、その親戚だな」
「あー、そうなのかー」
どうやら、あんな奴でも良いところの坊ちゃんだったらしい。
それを聞いてもまだ実感はわかないが、アクトのような一般学生にとっては一大事のようだった。そして、そんな相手に楯突いたのだからボクはとんでもない奴扱い。
教室を四人で抜けていった時にはもう、なかなかな空気感だったとかで……。
「リュークは本当に、どこか変わってるよな」
「変わってる、かなぁ……?」
アクトの指摘にも、まだ判然とはしなかった。
だって、ボクは自分の思ったままに行動をしただけだから。
自分の目の前で起こった理不尽に対して、無視したままではいられなかった。それはイジメられているのがミラでなくても、きっと同じだっただろうと思う。
だって、悔しいから。
生まれながらに覆せない差があるなんて、考えたくないじゃないか。
「ボクは、それが普通だと思うんだけどな」
そう結論付けて、ボクは小さくそう呟くのだった。
◆
「へぇ……負けたんだ、アニキ」
「う、うるせぇ! 剣さえあれば、あんな奴……!!」
「言い訳が酷いよ。それに、スキルだって使ったんだろう?」
「ぐ、う……!」
――その頃、ドラス家では。
喧嘩に負けて無様に帰還した兄に、冷めた言葉を投げる弟の姿があった。
「でも、俺も少し興味が湧いたよ。……ふーん?」
悔しげに歯軋りをする兄。
対して弟の方は余裕のある笑みを浮かべ、こう口にしたのだった。
「今度、少しだけ遊びに行こうかな……?」――と。