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斜木 草稿
斜木 草稿
なだらかな 斜面に
一本の木が 生えていた
ただ 一本の木が
生えていた
廻りは 何も無い
ただの なだらかな
斜面の平野 だった
なだらか斜面 斜木が
一本 一木ぼっちの
星空 幾度 幾度
移りて 変わっても
季節が 変わっても
名も無き 斜木は
昔も 今も
其処に 立っている
なだらかな 斜面の
時吹く 風
見えない 明日の
其の 向こう側に
斜木の 生み出した
木々たちが 育ち
軈て 林になって
森に なっていた
でも 今も
あの なだらかな
斜面に 斜木は
満天の 星空の元
朽ち果て 空洞に
なっても
なだらかな 斜面に
一本 今も
ちゃんと 葉を茂らせ
其処に 立っているんだ




