炎の巫女
連合暦20年7月21日、、カイン王国軍議室
カイン王は、しばらく考え、それが纏まると言った。
カイン王:「炎の巫女が呼び覚まされた時、
言葉を慎むように。」
そう念を押すとパインに開始するように指示をだした。
パインは、一度頷くと、炎の剣を手に取り、
それを椅子に座っているシェリルに持たせる。
シェリルが両手で剣柄を握り、その上からアリスが、
さらにパインが手を重ねる。
そして、パインとアリスは目を閉じた。
しばらくすると、パインの手の指輪が光り始めた。
続いてアリスの指輪も光り始める。
次の瞬間、シェリルの手から剣が落ち、シェリルが前のめりに
崩れ落ち、机の上に突っ伏した。
シェリルは、そのまま動かない。
ジェイルが怒鳴った。
ジェイル:「おい、パイン、シェリルは大丈夫なんだろうな?」
パイン:「ああ、大丈夫だ。
すまないが、少し静かにしていてくれないか。」
その言葉でジェイルは黙ったが、その心は気が気ではなかった。
しばらくすると、シェリルがゆっくりと顔を起こした。
その顔は、おっとりしたシェリルの顔では無く、
別人のようなりりしい顔つきだった。
シェリル:「誰です、私を呼び起こすものは?」
一同:「!!」
シェリル:「どうやら、力が足らないようです。」
そう言って、辺りを見回す。
直ぐ側にいるパインとアリスを見つけ軽く会釈をかわす。
シェリル:「ベンヌの巫女に氷の巫女もいらっしゃいますか。
すみませんが、お二方。
力を貸してもらえないでしょうか?」
そう言って、両手を高く上げる。
二人は頷くと、その手に手を添える。
パインとアリスの指輪が光始めた。
シェリル:「ありがとう、これでしばらくは持ちそうです。」
シェリルは、目の前にある炎の剣を見つめた。
シェリル:「これは、イフリートの剣(炎の剣)。
どうやら奉納しなかったようですね。」
さらに、奥にある魔法具を見た。
シェリル:「そこにあるのは、アプサラスの水差(大河の水差)と
トールの剣(渦雷の剣)ですか。
そうですか、準備は整ったということですね。」
その時、巫女はハッとした顔をして、レミューズ、バーバラ、
ドレアル、サールを順に見つめた。
シェリル:「そなた達、白き魔獣に会ったのですね?」
4人には、思い当たる節があった。
そう、魔じゃ香を取りに行った時に古代遺跡で出会った
あの声の主だった。
ドレアルは、カイン王をちらっと見ると言った。
ドレアル:「そうか、やはり魔獣じゃったか。」
シェリル:「そうですか。
仕方がありませんね。
そのことは、決して口外してはなりません。
そして、あなた方の子孫のためにも忘れなさい。
これは、提案ではなく警告です。」
カイン王が警告という言葉に反応した。
カイン王:「警告とはどういう意味ですか?」
シェリル:「この話はこれ以上話すことはありません。
ただ1つだけ言っておきます。
人間の未来のために忘れることです。
ところで、私を呼び出したのは、この娘の
記憶がいつ戻るか知りたいのですね?」
カイン王は、その言葉にハッとした。
自分が最も聞きたい事を言い当てたのだ。
カイン王は頷き、「はい」とだけ答えた。
シェリル:「どうやら、封印の魔法が二重に
かけられているようです。
いずれにせよ、魔獣の巣くう城に入った時には
全て思い出すでしょう。
それまでは、この者を守りなさい。
決してゼロスの手に渡してはなりません。
城に入ってからも気をつけなさい。
魔獣の王の最も忌むべき力は、人の心を惑わすこと
なのです。
あらゆる手をつかって、心の隙間に入ってきます。
気持ちの移り変わりに気をつけなさい。
見えている物が真実であるとは限りません。
お互いに見えている物が同じか確認しなさい。
進むべき道を誤ってはいけません。
決して己を見失ってはいけません。」
シェリルは、次に部屋にいる人々を見回した。
シェリル:「戦いには、この炎の巫女、氷の巫女、ベンヌの巫女
そして、そこの者」
シェリルは、サールを指さした。
シェリル:「そして、その娘」
レミューズを指さした。
シェリル:「最後に、、、。」
シェリルは、何かに気が付いたようだった。
少し戸惑いを見せ、今までよりすこし小声で言った。
シェリル:「この者が適任でしょう。」
そして、ジェイルを指さした。
それは、奇しくもパイン、アリスと行動を
共にしていた者達だった。
ジェイルは、複雑な気持ちだった。
カイン王:「何故、この者達が適任なのですか?」
シェリル:「それは、生まれながらの属性によるものです。」
カイン王:「生まれながらの属性?」
シェリル:「なるほど、この時代では属性を見る魔法は、
失われてしまったようですね。
ならば、この炎の巫女に託しましょう。
それは巫女の神殿にあります。
魔獣の王との戦いの前にそれを復活させなさい。
あぁ、属性すら正しく伝わっていないようですね。」
カイン王:「どういうことででしょうか?」
シェリル:「そなた達の知っている属性は土水火風でしょうが、
それは誤りです。」
カイン王:「・・・」
シェリル:「本当の属性は土水火木(風)金の5属性なのです。」
その話を聞いた者達は驚いた。
シェリル:「そうですね。
ひとつ昔話を話しましょう。
遥か昔、人間は精霊達と一緒に暮らしていました。
ある時精霊は精霊界へ移り住むこととなりました。
しかし、その一部の者達は人間達の住む
この世界に残る事を望みました。
そして、不死の力を捨て、肉体を持ちました。
彼等はエルフ、ドワーフ、ノーム、ホビットなどと
呼ばれていました。
彼等は人間と約束を結びました。
それは個々の聖域を犯さないという約束でした。
最も寿命の短い人間は、世代を変えるたびに、
この約束を疎かにしました。
そしてついに聖域を犯したのです。
特に被害を受けたのが森を聖域とするエルフでした。
エルフは寿命が長い代わりに子孫が少なく、
圧倒的に不利な状況でした。
精霊の子孫達は、この人間の行動に驚き、そして
人間界を去る事を決意しました。
エルフ達は逃げまどい、そして一握りになった時に
人間に呪いをかけました。
それは、木の精霊の加護を受けられない呪いでした。
そして、ドワーフがいなくなったことで、金属性、
つまり、宝石による強化が失われたのです。」
カイン王:「どうすれば、木属性や金属性を蘇らせることが
できるのですか?」
シェリル:「エルフ達は木を切ることを拒否しているわけでは
ありませんでした。
木の精霊に木を切る許可を得なければ
なりませんでした。
それは、儀式を行う事です。
正しいやり方で儀式を行い続ければいずれ呪いは
解けるでしょう。
それは、あなた達、そしてその子孫がどれだけ
続けられるかにかかっています。
この件についても、この炎の巫女に託しましょう。
さて、話を戻しましょう。
人は皆、親から受け継ぐ属性を持っています。」
カイン王:「人間は、土属性ではないのですか?」
シェリル:「土属性だけではありません。
親の持っている五つの属性を受け継ぐのです。
先ほど話した通り、二つの属性は失われているため
三つの属性を受け継ぐと言った方が正しいかも
しれません。
そして生まれてきた男女によってそれが変化します。
女児の場合は、最も強い属性が強化されます。
男児の場合は、最も強い属性が弱化します。
何故巫女や魔導士に女性が多いのかが
分かったでしょう。」
カイン王:「なるほど。」
シェリル:「生まれながらの属性は、魔法や呪術を防ぐ事に
大きく影響します。
これは鍛錬では成しえないのです。
私が選んだ者達は、皆この生まれながらの属性を
強く持っています。
他にも強い属性を持つ者がいるかもしれません。
しかし、それを探すのはあなた達なのです。
失われた知識を復活させなさい。
それが未来を築くのです。
この戦いは厳しいものになるでしょう。
しかし、必ず勝利できます。
もう時間です。
神の御加護があらんことを。」
そう言うと、突然シェリルは机の上に突っ伏した。
ジェイルはすぐに、シェリルを抱き寄せ様子を伺った。
皆が驚いている中、ジェイルだけが、シェリルを気遣っていた。
アリスがゆっくりと右手をかざし、祈り始める。
右手が輝きだす、そしてその手をシェリルにかざす。
右手の光が消えると、シェリルがゆっくりと起き上がった。
ジェイル:「シェリル、大丈夫かい?」
シェリル:「はい、なんとか
夢をみていたようです。
巫女の神殿と呼ばれる場所の柱が光っていました。」
カイン王:「それが炎の巫女の言っていた託すという意味か。
よし、バーバラ、早速だが、シェリルと共に
巫女の神殿に向かってくれ。」
バーバラ:「御意。」
C、A:お久しぶりです。
C:ついに最終章突入です。
A:おぉ、ついに魔獣王の城へ突撃のときですか。
C:いえ、準備がありますので今しばらくということろですか。
A:なるほど、ところで新魔獣の壺(仮)は、どうなんですか?
C:話せる内容はいまのところ、SFファンタジーということだけ
ですかね。
A:SFですか?
C:えぇ、まだ、人間界と精霊界、魔獣界の繋がりについて
不明な事があるのでその辺りも含めて書いてゆくつもり
だそうです。
A:よくわからないけど、さらなる事が解明されるわけですね。




