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魔獣の壺 - 本編 -  作者: 夢之中
新たなる決意
7/99

初めての拠点

これまでのあらすじ)

傭兵試験を受ける為にカイン王国へとやってきたパイン。

会場で知り合ったアリスと共に無事に試験に合格する。

試験中に起きた不可解な出来事。

傭兵協会会長のバーバラは、試験官サールを2人に同行させる。

そして3人は、初めてのクエストを完了した。

連合暦20年3月18日、

パイン達は宿泊料金を支払い宿を出ると、

朝食をとるため食事処へと向かった。


3人は、食事をしながら会話していた。

パイン:「このまま宿屋生活を続けていたら、生活できなく

    なってしまうよ。」

サール:「そうですか。あっ、私の分は自分で払いますので、

    その点は気にしないでください。」

パイン:「えっ、いいの?」

サール:「仕事ですので、、、。」

パイン:「あぁ、そうか、仕事でしたね。」

サール:「そうそう、拠点を作るというのはどうでしょう?」

パイン:「拠点?」

サール:「えぇ、どこかの王都に家を借りて、自炊しながら

    クエストをこなすのです。」

パイン:「拠点か。」

アリスを見ると、食事に夢中だった。

パイン:「アリスは、どう思う?」

アリス:「んぁ?、もぐもぐ、もぐもぐ、、、ごっくん。」

水を飲むと胃に流し込む。

そして一息つくと答えた。

アリス:「なんですか?」

パイン:「クエストをやるために家を借りて自炊しようと

    考えているんだけど、どうかなと、、、。」

アリス:「私は問題ないです。

    ただ、どこに拠点をするかによるかな。」

パイン:「なら、まずは場所を決めよう。」

アリス:「はーい。」

そう言うと、アリスは再び食べ始めた。

パイン:「拠点候補は、いくつかある。

     まず、ここ、カイン王国。

     西にあるクライム王国。

     さらに西にあるカルラド王国。

     そして、東にあるルシード王国。

     どれにするかだな。」

パインは話を続けた。

パイン:「俺としては、故郷であるクライム王国は、

    出来れば避けたい。

    実家があるのでどうしても甘えがでそうだし。」

サールは、ちょっと驚いたような顔をして言った。

サール:「なるほど、背水の陣ということですね。」

パイン:「えぇ、そうしないと強くなれない気がして、、、。」

サール:「ということは、

    カイン王国、カルラド王国、ルシード王国の3つの

    どれかということですね。」

アリスが突然、左手を上げた。

2人がアリスに注目する。

アリス:「もぐもぐ、、、もぐもぐ、、、ごっくん。」

水を飲むと胃に流し込む。

そして一息つくと口を開いた。

アリス:「ルシード王国は、却下。」

パイン:「えっ、なんで?」

アリス:「なんででも、却下です。」

パイン:「・・・。」

パイン:(なにかありそうだが、これ以上質問して、

    ごねられると後が大変だからな、、、。)

パイン:「分かった。

    じゃあ、カイン王国かカルラド王国ってことか。」

サール:「いや、カルラド王国一択になりそうですね。」

パイン:「えっ、なんで?」

サール:「ここカイン王国は、傭兵学校や試験会場があるため、

    D級のクエストが少ないんですよ。」

パイン:「なるほど。

    じゃあ、カルラド王国に決まりだな。」

サール:「分かりました。」

アリス:「もぐもぐ、、、もぐもぐ、、、。」

アリスは、左手を上げて、それに答えた。

そして、カルラド王国に拠点を作ることが当面の目標となった。


サール:「カルラド王国は遠いので、転送してもらいましょう。

    お金はかかりますが、一瞬で行けますよ。」


転送、それは傭兵王カインが成し遂げた事業の一つとして

有名なものだ。

カインは、精霊魔導士の育成に力を注いできた。

多くの精霊魔導士を育成すると、魔法陣の研究所を作り、

その研究所の所長にバーバラを指名した。

バーバラは優秀だった。

バーバラの発案により、様々な魔法陣を考案して行った。

そんなおり、カインはバーバラに、傭兵を各国に安全に

派遣するための研究を依頼した。

そして、出来たのがこれであった。

基本的な原理は帰還の巻物と同じであったが、

術者を必要としないことが画期的だった。


パイン:「で、いくらかかるの?」

サール:「銀貨1枚です。」

パイン:「えー、高すぎ、、、。」

サール:「まあ、そのぐらいの価値はありますよ。」

パイン:「まっ、まさか、1人1枚じゃあないですよね?」

サール:「えぇ、パーティーなら1枚ですみます。」

パインは内心ほっとした。


3人は食事を終えると、転送をしてもらうために、

傭兵協会へとやってきた。

そして、カルラド王国への転送をお願いすると、

部屋へと案内された。

係員:「これが転送の魔法陣です。

   それでは、良い旅を。」

そう言って、係員はお辞儀をする。

3人は魔法陣に入った。

突然、魔法陣が光輝く。

しばらくすると目の前が真っ暗になった。


目の前が明るくなると、飛ぶ前と同じ内装の部屋だった。

係員はいない。

アリス:「ついたの?」

サール:「えぇ、着きましたよ。」

パイン:「これ、なんか実感ないよな。」

そして、目の前にある扉を開き外へ出た。

そこは傭兵協会の事務所であったが景色はまったく違っていた。


事務所の窓から外に見えたのは大きな川だった。

アリス:「あ、川がある。」

アリスが走り出し、外へと向かう。

2人が後に続く。


そして、3人が見たのは、町の中を流れる大きな川だった。

サール:「カルラド王国は別名、水の都って呼ばれるんですよ。」

パイン:「へぇ。」

アリスはサールのうんちくを聞かずに1人はしゃいでいる。


サール:「水が豊富にあるので、農業が盛んな国です。

    都の移動も、小船が使われることが多いのですよ。

    ほら、あそこに小船がみえるでしょ。」

パインとサールは小船を眺めた。


そのとき、悲鳴があがった。

   「キャー!!、どろぼー!!」

それは、紛れも無くアリスの声だった。

声のする方向を見た。

アリスとその先にかばんを持って逃げていく男の姿が見えた。


アリスが男を追う、同時にパインとサールも走り出していた。

パインは男が右に曲がるのを見た。

アリスが続いて曲がっていく。

続いて、どこから来たのか分からないが、

警備兵と思われる服装の2人が続いて曲がる。

そして、パインとサールが角を曲がったとき、

アリスと2人の警備兵が白い糸のようなものに絡まって、

じたばたともがいていた。


サール:((あれは、拘束呪文か?))

パイン:((アリスを頼む。))

サール:((分かりました。))

パインは、サールにアリスを頼むと男を追った。

パイン:((くそ、あいつ速いな。))

パインとの距離が広がっていく。


そして、男が左に曲がるのが見えた。

パインがやっとのことで、左に曲がると、その男が倒れていた。

その時、視線の先に消えていく黒い影を見た。

倒れた男の横には、アリスのかばんが置いてあった。


パイン:(えっ、いったい何があったんだ?

    それに、あの黒い影、、、。)

男に近寄ると男の生死を確認した。

どうやら、気を失ってるだけらしい。


そのとき、2人の警備兵と共に2人が曲がってきた。

アリス:「さすがパイン、捕まえてくれたんだ。」

パイン:「いや、俺じゃあない。」

アリスが自分のかばんを手にとる。


警備兵:「ご協力感謝します。」

そう言って、男を拘束する。

警備兵が言うには、最近旅行者を狙った置き引きや強盗が多発

しているため、警備を強化しているとの事だった。

アリスは無くなっている物が無いかの確認を指示され、

無くなっている物が無いことを確認すると、

その他にいくつかの質問に答えた後、解放された。


パイン:((それにしても、とんだ災難だったな。))

アリス:((だよねー。))

サール:((それよりも、気になるのは拘束呪文です。))

パイン:((えっ?))

サール:((アリスさんが、絡まっていた糸のようなものです。

    アリスさん、あれは、あの男がやったのですか?))

アリス:((分からないけど、呪文とか唱えていたようには

    見えなかったけど。))

サール:((そうですか。))

パイン:((拘束呪文というのは?))

サール:((精霊魔法の一つです。

    しばらくの間、対象者の行動を拘束するものですね。))

パイン:((なるほど、俺は、さっきの警備兵にも言ったけど、

    あの男を気絶させたやつの方が気になるな。))

サール:((そうですね。))

パインとサールは、自分達の知らないところで

何かが起こっているのではないかと考えていた。


このあと、3人は借りられる部屋が無いか傭兵協会に相談した。

これはサールが、傭兵協会が傭兵の抱える事案をサポートして

くれるという一言からだった。

傭兵協会が紹介してくれたのは、天馬の尻尾亭という

飲み屋だった。

3人はもらった地図を頼りに店を探した。


サール:「ここみたいですね。」

そこには、天馬の尻尾亭という看板が掲げられていた。

パイン:「すみませーん。」

そう言って、中へ入った。


老人:「なんじゃ? 店は夜からじゃが?」

パイン:「いえ、傭兵協会から紹介されてきたのですが。」

パインは部屋を借りたい旨を伝えた。

その小柄でひげを生やした老人は、ドレアルと名乗った。


ドレアル:「そうか、部屋を借りたいのか。

     それならば、ついて来い。」

そう言って、3階まであがる。

どうやら、2階と3階は、宿屋になっているようだった。


ドレアル:「ここじゃ。」

扉を開ける。

パイン:「えっ、これって、ただの物置じゃないですか。

    それも、狭すぎる。」

2m四方の空間に荷物が置かれていた。

ドレアル:「なにを勘違いしておる。

     さすがに、ここに3人も住めるわけ無かろう?」

ドレアル:「あの梯子の上じゃ。」

ドレアルは荷物の奥の梯子を指差した。

ドレアル:「わしは登れんので、主らだけで見て来い。」

3人は、梯子を上がった。


そこは、縦10m横5mぐらいの広い空間だった。

しかし、天井が斜めに傾いているため、利用できる場所は

限られていた。

3人は、辺りを見回す。

パイン:「これなら、掃除すれば使えそうだな。」

アリスは奥に付けられた大きな窓を見つけ、近づいた。

そこからは、王都が一望できた。

アリス:「うぁー、凄い景色。」

そう言って、窓を開ける。


窓から心地よい風が入ってきた。

パイン:「うぁー。」

サール:「ウッキー。」

アリスは、振り返った。

舞い上がる埃の向こう側で、顔に蜘蛛の巣を貼り付けた2人が、

じたばたしているのが見えた。


アリス:「うふふっ。」


パインは蜘蛛の巣を取るとアリスを見た。

窓の外に見える王都、その前に髪をなびかせて笑顔で佇む少女。

それが、なんともいえない雰囲気を醸し出していた。

この後、部屋の契約を行うと、

その日一日をかけて部屋の掃除を行った。


そして、その日の夜、サールは傭兵協会に報告があると言って、

2人と別行動をとった。

傭兵協会の会議室では、バーバラとサールが会話していた。

バーバラ:「なるほど、そんなことがあったのか。

     しかし、その盗人は関係ないだろう。

     我々の監視の目を潜って巻物を入れ替えるという

     手練が、あっさりと捕まるとは思えん。

     気になるのは、拘束の魔法を使った者と盗人を

     倒した者。

     たぶん、同じやつだろうが、何故そのような事を

     したのかが分からん。

     サール、お前は引き続き監視をしてくれ。」

サール:「はい、分かりました。」


こうして、3人は水の都カルラド王国で、

新たなる一歩を踏み出す事となった。


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