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魔獣の壺 - 本編 -  作者: 夢之中
新たなる決意
6/99

初めてのクエスト

これまでのあらすじ)

傭兵試験を受ける為にカイン王国へとやってきたパイン。

アリスと共に無事に試験に合格する。

試験中に起きた不可解な出来事。

パインとアリスが行動を共にすることを聞き、

傭兵協会会長のバーバラは、試験中に起きた

出来事を調べる為に試験官サールを2人に同行させる。


連合暦20年3月17日、

3人は、傭兵協会の事務所にいた。

事務所の中は正面にカウンターがあり、

その左右の壁にはボードが吊るされ、

多くのクエストが貼りだされていた。


サール:「えーと、D級のクエストは、、、。」

サールは、ボードを眺める。

サール:「あった。ここがD級のクエストですね。」

アリス:「はーい。」

3人がボードの前に集まる。

そこには、何枚かのクエストが貼りだされていた。


サールがその1枚を剥がした。

サール:「これが一番近そうですね。」

その紙には以下の内容が書かれていた。


-----

★☆☆☆☆(D)

内容:魔獣の壺の回収

場所:D-5地区

報酬:銀貨1枚

-----


パイン:「銀貨1枚か、、、意外と少ないな。」


この世界で、流通している貨幣は5種類存在する。

白金貨:金貨x2枚

金貨 :銀貨x5枚

銀貨 :青銅貨x10枚

青銅貨:銅貨x10枚

銅貨 :外食1食ぐらいが銅貨1-5枚ぐらいの価値


サール:「確かに少ないですが、ライセンスカードの特典を

    使えば、宿泊費用を抑えることができますよ。」

パイン:「どういうこと?」

サール:「クエストを完了するとポイントが付きます。

    このポイントを使うことによって、1日1部屋を

    無料で借りられるのです。

    遠征先での滞在に使えるわけですね。」

パイン:「なるほど。」

アリスが他のボードの前で騒いでいる。

アリス:「ねーねー、こっちのクエストは金貨x3枚もらえるよ。」

サール:「それは、★5つのクエストですね。

    A級でないと受けることができません。」

アリス:「そっか。」


クエストは★でその難易度が設定されていた。

★☆☆☆☆ D級のみ、報酬(銀貨1枚)

★★☆☆☆ D級のみ、報酬(銀貨2枚)+銅の傭兵コイン

★★★☆☆ C級のみ、報酬(金貨1枚)+銀の傭兵コイン

★★★★☆ B級のみ、報酬(金貨2枚)+金の傭兵コイン

★★★★★ A級のみ、報酬(金貨3枚)+白金の傭兵コイン


サール:「我々はD級ですので、★が1-2の物のみです。

    ★2つのクエストならば、本試験の最後の壺ぐらいの

    強さしかありません。」

パイン:「なるほど。」

パイン:(しかし、あんな勝ち方してしまったが、

    本当に大丈夫だったのだろうか?

    なんだか、不安になってきたな、、、。)


パイン:「ところで、傭兵コインというのは?」

サール:「それは、指定枚数集めると級が上がるコインですね。

    C級にあがるのに、銅の傭兵コインを20枚集めないと

    いけません。」

パイン:「うへ、まだまだ先は長いな。」


サール:「さて、このクエストを受けてみませんか?

    私もいることですし、危険は無いはずです。」

パイン:「そうですね。」

アリス:「やろー。やろー。」


3人は、そのクエストを受けるとパーティーを組み、

D-5地区へと向かった。


パイン:((それにしても、パーティー料金が青銅貨3枚もとられる

    なんて、思いもよらなかったよ。))

サール:((一人青銅貨1枚ですからね。パーティーの最大が6人

    ですので、最高で6枚になりますよ。))

パイン:((どんどんクエストをこなして行かないと、

    生活できなくなってしまうな。))

そんな会話をしながら歩いていると、目の前に森が見えた。


サール:((そろそろD-5地区です。警戒していきましょう。))

パイン:((了解。))

アリス:((はーい。))


その森の中がD-5地区だった。

3人は、周りに警戒しながら、進んで行く。

森の中を少し進むと1軒の家があった。


パイン:((こんなところに家がある。

    魔獣の目撃情報が得られるかもしれない。

    ちょっと聞いてみようか?))

サール:((そうですね。))


3人は辺りを警戒しながら、玄関へと向かった。

パインが扉をノックする。

パイン:「すみませーん。」

しばらく待つが返事が無い。

突然、お尻を撫でられた。

アリス:「キャー!!」

その声にパインとサールが驚く。

パイン:「うぁー。」

サール:「うぎゃー。」


???:「騒がしいのー。」

3人は後ろを振り返る。

そこには、ニヤケ顔の小柄な老人が立っていた。


アリス:((お尻触られた、、、。))

パイン:((なんだって。))

パインとアリスは老人を睨み付ける。


老人:「主ら、修行が足りんようじゃの。

   '溺れる者は尻をも掴む'と昔からいうじゃろ。」

アリス:「そんなこといいません!!、

    '溺れる者は藁をも掴む'です。ぷんぷん。」

老人:「そうじゃったかの?

   まあよい、ところで、お主ら何者じゃ?」

老人は話を逸らした。


パイン達は老人にここに来た理由を説明した。

老人:「おお、そうか、そうか。

   傭兵協会に連絡したのはわしじゃよ。

   この先の洞窟に魔獣が現れての。

   難儀しておったのじゃよ。」


老人の話によると、2日前に洞窟の近くで魔獣を見たとの

事だった。


パイン:「分かりました。これから洞窟へ行ってきます。」

老人:「すまんが、よろしく頼む。」

パイン:「はい。」


そして3人は洞窟へと向かった。

アリスは、洞窟までの道のりの間中、機嫌が悪かった。

そして、問題の洞窟が見えた。


パイン:((アリス、機嫌なおしてくれよ。))

アリス:((・・・。))

洞窟の入り口あたりに、何か動くものが見えた。


パイン:((気をつけろ、何かいるぞ。))

アリス:((・・・。))


すると、洞窟から一頭の小熊がのろのろとした足取りで現れた。

アリス:「キャー、かわいい。」

小熊に駆け寄ろうとしたアリスをサールが止めた。

サール:((親熊が近くにいると思います。

     危険ですので注意してください。))

しばらく様子をみたが親熊が現れないため、

3人は、小熊に近づいた。

小熊は生まれたばかりなのか、

まだ目が見えていないようだった。


サール:((親熊は、どうしたのでしょう?))

パイン:「とりあえず、中に入ってみるしかないな。」

アリス:「そうだね。」

アリスが小熊を抱きかかえる。


中を見ると、内部は闇に包まれていた。

サールがなにやら呪文を唱えると、サールの持っていた杖の上部

が輝いた。その光が洞窟内部を照らす。

サール:((これでいいでしょう。))

パインは魔法ってすごいなと感心していた。

そして、3人はゆっくりと洞窟の中へと入っていった。


少し進むと、前方に黒い何かがあるのを見つけた。

それは大きな熊だった。

アリス:((死んでるの?))

パイン:((いや、まだ生きているようだが、

    かなり危険な状態みたいだ。

    アリス、頼む。))

アリス:((分かった。))

アリスは小熊を下に降ろし祈り始めた。


祈りが終わり、しばらくすると、親熊はゆっくりと動き始めた。

そして目の前の小熊を見つけると、両手を伸ばして引き寄せ、

小熊をなめ始めた。

親熊はこちらを見たが、特に威嚇してこなかった。


サール:((大丈夫そうですね。

    では、壺を探しましょう。))

奥を照らすと、すぐ傍に壺らしき物が見えた。

パイン:((あれ、壺じゃないか?))

サール:((そうみたいですね。))

近くに寄ると、やはりそれは魔獣の壺だった。


守護者はそこにはいなかった。

サール:((まずは、すぐに蓋を閉めましょう。))

パインは蓋の横に落ちていた蓋を取ると、しっかりと閉じた。


パイン:((親熊が小熊を守るために、魔獣と戦ったのかな?

    それで、なんとか守護者を倒した。

    そんなところか。))

サール:((そうですね。たぶん、そんなところでしょう。))

後ろを見ると、親熊と小熊とアリスがじゃれあっていた。


パインは、壺を縄でぐるぐる巻きにすると

背中に背負い洞窟を出た。

2人も後に続く。


パイン:((さて、壺も回収したし、もどろうか。))

アリス:((そうだね。))

サール:((ええ。))


アリスは何気なく洞窟の方を振り返った。

そこには、小熊を背中に乗せた親熊がこちらを見つめていた。

アリスは2匹に手を振ると、

 「元気でねー!!」

と叫んだ。

パインとサールも手を振っていた。

名残惜しそうにこちらを見つめる2匹の熊が目に焼きついた。


3人は老人の家へと戻ると家の扉を叩く。

突然、アリスが悲鳴を上げた。

アリス:「キャー!!」

その声にパインとサールが驚く。

パイン:「うぁー。」

サール:「うぎゃー。」


アリス:「んもう、何なのよ、このジジイ!!

    '仏の顔も三度まで'って知らないの?」

老人:「ん?ということは、後一回触れるのー。」

そう言ってアリスに近づく。

アリス:「キャー!!」

アリスは老人から逃げる。

逃げるアリス、追う老人の構図を見ながら、

パインとサールは笑っていた。


この後、3人は傭兵協会へと戻ると壺を渡し、

初めてのクエストが完了した。


とある場所では、2人の男が会話していた。

男B:「どうやら無事クエストをこなしたようです。」

男A:「まずい。

   まずいぞ。

   なんとしても取り返さねばならない。

   なんとしてもな。」


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