初めての仲間
これまでのあらすじ)
魔獣王討伐隊に参加することを夢見て、
試験会場のあるカイン王国へとやってきたパイン。
そこで出会ったアリスとパティーを組み、試験に挑む。
夢で見た不思議な場所、それはアリスの夢だった。
2人を監視する謎の人物。
本試験で飛ばされた場所は試験とは関係ない場所だった。
突然現れた女性に理由なしに、本試験合格を告げられた。
連合暦20年3月17日、
2人がライセンスカードを受け取り、喜んでいた時、
???:「ちょっといいかな?」
と声をかけられた。
声のする方を向くとそこには1人の女性が立っていた。
その女性は、本試験で合格を告げた女性だった。
アリス:「あっ、あの時はありがとうございました。」
そう言うと、ぺこっと頭を下げた。
横にいたパインも頭を下げる。
バーバラ:「礼はいい、ちょと来てもらえるか?」
2人はバーバラに従うと、会議室のような部屋に連れて行かれた。
部屋に入ると、バーバラは口を開いた。
バーバラ:「自己紹介がまだだったな。
私はバーバラ。
傭兵協会の会長をしている。」
アリス:「えっ、もしかして、傭兵王と一緒に魔獣王城に
侵入したバーバラさんですか?」
バーバラ:「ああ。」
バーバラは頷く。
アリスは、はしゃぎだした。
アリス:「魔獣の壺を持ち帰ったバーバラさんですよね?」
バーバラ:「そうだ。」
アリス:「あの、伝説のバーバラさんなんだ!!」
バーバラ:(伝説だと?、私はまだ生きているぞ。)
アリスは、続けた。
アリス:「歩く破壊神と呼ばれるバーバラさんなんだ!!」
バーバラはその通り名にちょっとあせった。
バーバラ:「ちょっとまて、私はそんな名で呼ばれているのか?」
アリス:「いえ、私の想像です。」
バーバラは、根も葉もない噂の源流を垣間見た気がした。
バーバラ:「アリスだったかな?」
アリス:「はい。」
バーバラ:「その話は他言無用とするように。」
バーバラはその変な通り名が流布しないように念を押した。
アリス:「はーい。」
バーバラはちょっと不安を感じたが、話を続けた。
バーバラ:「本題に入るとしよう。
今回の本試験での出来事を出来る限り
詳しく教えてほしい。」
2人は何のことか分からなかったが、本試験のことを話した。
バーバラ:「そうか、最後の壺のエリア以外問題なさそうだな。」
パインは、疑問に思っていたことを質問した。
パイン:「あのー、なぜ試験を中止にしたのですか?
あと、メダルを入手していないにも関わらず、
合格になった理由も知りたいです。」
バーバラ:「んー。」
バーバラは、少し考えると口を開いた。
バーバラ:「今から話すことは、
秘密という事にしてくれないか?」
パイン:「それは、かまわないですが、、、。」
アリス:「はーい。」
バーバラは、ちょとアリスのことが心配だったが、
当事者という事もあり話始めた。
バーバラ:「本試験の最後のエリアは、想定外だったのだ。」
パイン:「えっ?」
アリス:「?」
バーバラ:「実際には、別の場所にもっと弱い魔獣が
配置されていた。
原因は現在調査中だが、
転移の巻物がすり替えられていたようだ。」
パイン:「そんなことが、、、。」
アリス:「・・・。」
バーバラ:「それで、試験を中止とした。
そして、合格にした理由だが、
お前達が最後に倒した魔獣がいただろ。
あの魔獣が最後の守護者と同じぐらいの強さと
判断したからだ。」
パイン:(あの、アホな魔獣か、、、。)
パイン:「なるほど、そんな理由があったのですね。」
バーバラ:「ところで、君達はこれからどうするんだ?」
パインはあまり深く考えてはいなかったが、
傭兵になったらやることは1つしかないと思っていた。
パイン:「クエストをやろうとは思っているのですが。」
アリス:「私もー。」
バーバラ:「そうか。クエストは、2人でやるのか?
それとも、別々にやるのか?」
パインとアリスは顔を見合わせた。
2人とも今後の事について話し合っていなかった。
パイン:「この後のことは、話し合っていませんでした。」
バーバラ:「で、どうするんだ?」
パインは、アリスを見て答えた。
パイン:「俺は、アリスさえよかったら、
一緒にやりたいと思っています。」
アリス:「私も一緒がいいかな。」
バーバラ:「そうか、なら相談がある。」
パイン:「何でしょうか?」
バーバラ:「しばらくの間でかまわないのだが、
君達のパーティーに加えてほしい者がいるのだが。」
パイン:「えっ」
そう言ってアリスを見つめる。
アリス:「私はかまわないよ。」
パイン:(戦力が増強されるなら問題ないか。)
パイン:「なら、問題ないです。」
バーバラは扉の方を向いて少し大きな声で言った。
バーバラ:「入れ!!」
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話しは変わって、その日の明け方、まだ2人が寝入っている頃、
バーバラ、サール、ユーリの3人が会議室で話をしていた。
バーバラ:「今回の件だが、転移の巻物のすり替えが行われたと
考えてよいだろう。
しかし、目的が分からない。
サール:「2人を殺害しようとしたのでは?」
バーバラ:「いや、それは無いな。
こんな手の込んだやり方をするより、
道中で襲った方が明らかに簡単だ。」
サール:「たしかに。」
バーバラ:「何にせよ、このような事をするだけの価値が
2人にはあるという事だろう。
しばらく監視してみるか。」
サール:「でしたら、私目にその役目を、、、。」
バーバラ:「お前がやるというのか?」
サール:「はい、今回の試験は、私の担当です。」
バーバラ:「確かにそうだな。
よし、ならば、こうするとしよう。
もし、今後2人が行動を同じにするならば、
サール、お前が同行しろ。
別々に行動するなら、
パインにはサール、
アリスにはユーリが同行しろ。」
サール、ユーリ:「わかりました。」
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バーバラの「入れ!!」と言う声に反応して、2人は扉の方を見た。
扉を開けて入ってきたのは、サールだった。
アリス:「あっ、サールだ。」
サールは、一礼をすると、バーバラの横に立った。
バーバラ:「サールのことは、もう知っているな?」
パイン、アリス:「はい。」
このときパインは、
(1度見たら絶対忘れられない顔だからな。)
と思っていた。
バーバラ:「サールは精霊魔導士だ。」
パイン:「えっ、精霊魔導士!!」
パイン:(これは大収穫かもしれない。)
精霊魔導士は、魔法語(精霊語)を使い、おもに攻撃魔法を
使う者達の総称である。
精霊語は、精霊を召喚して伝えられたと文献ではなっている。
しかし精霊語は、人間には発音するのが難しく、
それを使える者はごくわずかであった。
パインも実際に精霊魔導士と紹介されたのは初めてだった。
実は、バーバラも精霊魔導士であったが、
パインはそれを知らなかった。
パイン:「そうか精霊魔道士なんですね。
ところで、サールさんは傭兵学校の審査官ですよね?」
サール:「そうですが。」
パイン:「何故、我々に同行するのですか?」
バーバラ:「至極当然の質問だな。
魔獣の壺だが、それは魔獣王の魔力に敏感に
反応する。
魔獣王の魔力は一定ではなく、わずかだが変動
している。
そのため、定期的に魔獣の壺の守護者の強さを
確認しているのだ。」
これは、本当の事だった。
実際傭兵協会では、定期的に守護者の強さを確認していた。
しかし、それはあくまで傭兵協会の者のみであり、
傭兵と一緒に行動することは無かった。
バーバラ:「それで、今回2人に同行させてもらう事に
なった訳だ。」
パイン:「なるほど、そう言う訳でしたか。」
バーバラ:「無論、この件は内密にしてもらいたい。
傭兵学校の審査官が同行するなど、他の傭兵が
不満を持つからな。」
パイン:「分かりました。」
アリス:「はーい。」
バーバラ:「よし、それでは私は退出するので3人で、
これからの事を話し合ってくれ。」
そう言うとバーバラは部屋を後にした。
サール:「しばらくの間、よろしくお願いします。」
そう言って、サールは頭を下げた。
2人も「こちらこそ、よろしくお願いします。」と言い、
頭を下げた。
パイン:「ところで、サールさんは、何級なのですか?」
サール:「これからは、サールでいいですよ。
敬語も不要です。
いつもの通り話してください。
同じ仲間なのですから、、、。」
パイン:「では、サールは何級なの?」
サール:「私は、A級です。」
パイン、アリス:「えっ、A級だって!!」
サール:「安心してください、危険にならない限り、
手を出しませんので、、、。」
パイン:「えっ、一緒に戦ってくれないの?」
サール:「はい。」
パイン:「本当に?」
サール:「はい。」
パイン:(戦力増強の思惑が、脆くも崩れさって行く、、、。)
パインがうなだれると、少しの間静寂が辺りを支配した。
静寂を破ったのはサールだった。
サール:「とりあえず、ライセンスカードも取得したことですし、
クエストを受けてみませんか?」
その言葉にパインも何かを決断し声を上げた。
パイン:「よし、やるか。」
アリス:「やろう、やろー。」
そして3人は傭兵協会の事務所へと向かった。




