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魔獣の壺 - 本編 -  作者: 夢之中
新たなる決意
5/99

初めての仲間

これまでのあらすじ)

魔獣王討伐隊に参加することを夢見て、

試験会場のあるカイン王国へとやってきたパイン。

そこで出会ったアリスとパティーを組み、試験に挑む。

夢で見た不思議な場所、それはアリスの夢だった。

2人を監視する謎の人物。

本試験で飛ばされた場所は試験とは関係ない場所だった。

突然現れた女性に理由なしに、本試験合格を告げられた。


連合暦20年3月17日、

2人がライセンスカードを受け取り、喜んでいた時、

???:「ちょっといいかな?」

と声をかけられた。


声のする方を向くとそこには1人の女性が立っていた。

その女性は、本試験で合格を告げた女性だった。

アリス:「あっ、あの時はありがとうございました。」

そう言うと、ぺこっと頭を下げた。

横にいたパインも頭を下げる。

バーバラ:「礼はいい、ちょと来てもらえるか?」


2人はバーバラに従うと、会議室のような部屋に連れて行かれた。


部屋に入ると、バーバラは口を開いた。

バーバラ:「自己紹介がまだだったな。

     私はバーバラ。

     傭兵協会の会長をしている。」

アリス:「えっ、もしかして、傭兵王と一緒に魔獣王城に

    侵入したバーバラさんですか?」

バーバラ:「ああ。」

バーバラは頷く。

アリスは、はしゃぎだした。

アリス:「魔獣の壺を持ち帰ったバーバラさんですよね?」

バーバラ:「そうだ。」

アリス:「あの、伝説のバーバラさんなんだ!!」

バーバラ:(伝説だと?、私はまだ生きているぞ。)

アリスは、続けた。

アリス:「歩く破壊神と呼ばれるバーバラさんなんだ!!」

バーバラはその通り名にちょっとあせった。

バーバラ:「ちょっとまて、私はそんな名で呼ばれているのか?」

アリス:「いえ、私の想像です。」

バーバラは、根も葉もない噂の源流を垣間見た気がした。

バーバラ:「アリスだったかな?」

アリス:「はい。」

バーバラ:「その話は他言無用とするように。」

バーバラはその変な通り名が流布しないように念を押した。

アリス:「はーい。」

バーバラはちょっと不安を感じたが、話を続けた。


バーバラ:「本題に入るとしよう。

     今回の本試験での出来事を出来る限り

     詳しく教えてほしい。」

2人は何のことか分からなかったが、本試験のことを話した。

バーバラ:「そうか、最後の壺のエリア以外問題なさそうだな。」

パインは、疑問に思っていたことを質問した。

パイン:「あのー、なぜ試験を中止にしたのですか?

    あと、メダルを入手していないにも関わらず、

    合格になった理由も知りたいです。」

バーバラ:「んー。」

バーバラは、少し考えると口を開いた。

バーバラ:「今から話すことは、

     秘密という事にしてくれないか?」

パイン:「それは、かまわないですが、、、。」

アリス:「はーい。」

バーバラは、ちょとアリスのことが心配だったが、

当事者という事もあり話始めた。

バーバラ:「本試験の最後のエリアは、想定外だったのだ。」

パイン:「えっ?」

アリス:「?」

バーバラ:「実際には、別の場所にもっと弱い魔獣が

     配置されていた。

     原因は現在調査中だが、

     転移の巻物がすり替えられていたようだ。」

パイン:「そんなことが、、、。」

アリス:「・・・。」

バーバラ:「それで、試験を中止とした。

     そして、合格にした理由だが、

     お前達が最後に倒した魔獣がいただろ。

     あの魔獣が最後の守護者と同じぐらいの強さと

     判断したからだ。」

パイン:(あの、アホな魔獣か、、、。)

パイン:「なるほど、そんな理由があったのですね。」


バーバラ:「ところで、君達はこれからどうするんだ?」

パインはあまり深く考えてはいなかったが、

傭兵になったらやることは1つしかないと思っていた。

パイン:「クエストをやろうとは思っているのですが。」

アリス:「私もー。」

バーバラ:「そうか。クエストは、2人でやるのか?

     それとも、別々にやるのか?」

パインとアリスは顔を見合わせた。

2人とも今後の事について話し合っていなかった。

パイン:「この後のことは、話し合っていませんでした。」

バーバラ:「で、どうするんだ?」

パインは、アリスを見て答えた。

パイン:「俺は、アリスさえよかったら、

    一緒にやりたいと思っています。」

アリス:「私も一緒がいいかな。」

バーバラ:「そうか、なら相談がある。」

パイン:「何でしょうか?」

バーバラ:「しばらくの間でかまわないのだが、

     君達のパーティーに加えてほしい者がいるのだが。」

パイン:「えっ」

そう言ってアリスを見つめる。

アリス:「私はかまわないよ。」

パイン:(戦力が増強されるなら問題ないか。)

パイン:「なら、問題ないです。」

バーバラは扉の方を向いて少し大きな声で言った。

バーバラ:「入れ!!」


-----

話しは変わって、その日の明け方、まだ2人が寝入っている頃、

バーバラ、サール、ユーリの3人が会議室で話をしていた。

バーバラ:「今回の件だが、転移の巻物のすり替えが行われたと

     考えてよいだろう。

     しかし、目的が分からない。

サール:「2人を殺害しようとしたのでは?」

バーバラ:「いや、それは無いな。

     こんな手の込んだやり方をするより、

     道中で襲った方が明らかに簡単だ。」

サール:「たしかに。」

バーバラ:「何にせよ、このような事をするだけの価値が

     2人にはあるという事だろう。

     しばらく監視してみるか。」

サール:「でしたら、私目にその役目を、、、。」

バーバラ:「お前がやるというのか?」

サール:「はい、今回の試験は、私の担当です。」

バーバラ:「確かにそうだな。

     よし、ならば、こうするとしよう。

     もし、今後2人が行動を同じにするならば、

     サール、お前が同行しろ。

     別々に行動するなら、

     パインにはサール、

     アリスにはユーリが同行しろ。」

サール、ユーリ:「わかりました。」

-----


バーバラの「入れ!!」と言う声に反応して、2人は扉の方を見た。

扉を開けて入ってきたのは、サールだった。

アリス:「あっ、サールだ。」

サールは、一礼をすると、バーバラの横に立った。

バーバラ:「サールのことは、もう知っているな?」

パイン、アリス:「はい。」

このときパインは、

   (1度見たら絶対忘れられない顔だからな。)

と思っていた。


バーバラ:「サールは精霊魔導士だ。」

パイン:「えっ、精霊魔導士!!」

パイン:(これは大収穫かもしれない。)


精霊魔導士は、魔法語(精霊語)を使い、おもに攻撃魔法を

使う者達の総称である。

精霊語は、精霊を召喚して伝えられたと文献ではなっている。

しかし精霊語は、人間には発音するのが難しく、

それを使える者はごくわずかであった。

パインも実際に精霊魔導士と紹介されたのは初めてだった。

実は、バーバラも精霊魔導士であったが、

パインはそれを知らなかった。


パイン:「そうか精霊魔道士なんですね。

    ところで、サールさんは傭兵学校の審査官ですよね?」

サール:「そうですが。」

パイン:「何故、我々に同行するのですか?」

バーバラ:「至極当然の質問だな。

     魔獣の壺だが、それは魔獣王の魔力に敏感に

     反応する。

     魔獣王の魔力は一定ではなく、わずかだが変動

     している。

     そのため、定期的に魔獣の壺の守護者の強さを

     確認しているのだ。」

これは、本当の事だった。

実際傭兵協会では、定期的に守護者の強さを確認していた。

しかし、それはあくまで傭兵協会の者のみであり、

傭兵と一緒に行動することは無かった。

バーバラ:「それで、今回2人に同行させてもらう事に

     なった訳だ。」

パイン:「なるほど、そう言う訳でしたか。」

バーバラ:「無論、この件は内密にしてもらいたい。

     傭兵学校の審査官が同行するなど、他の傭兵が

     不満を持つからな。」

パイン:「分かりました。」

アリス:「はーい。」

バーバラ:「よし、それでは私は退出するので3人で、

     これからの事を話し合ってくれ。」

そう言うとバーバラは部屋を後にした。


サール:「しばらくの間、よろしくお願いします。」

そう言って、サールは頭を下げた。

2人も「こちらこそ、よろしくお願いします。」と言い、

頭を下げた。


パイン:「ところで、サールさんは、何級なのですか?」

サール:「これからは、サールでいいですよ。

    敬語も不要です。

    いつもの通り話してください。

    同じ仲間なのですから、、、。」

パイン:「では、サールは何級なの?」

サール:「私は、A級です。」

パイン、アリス:「えっ、A級だって!!」

サール:「安心してください、危険にならない限り、

    手を出しませんので、、、。」

パイン:「えっ、一緒に戦ってくれないの?」

サール:「はい。」

パイン:「本当に?」

サール:「はい。」

パイン:(戦力増強の思惑が、脆くも崩れさって行く、、、。)

パインがうなだれると、少しの間静寂が辺りを支配した。


静寂を破ったのはサールだった。

サール:「とりあえず、ライセンスカードも取得したことですし、

    クエストを受けてみませんか?」

その言葉にパインも何かを決断し声を上げた。

パイン:「よし、やるか。」

アリス:「やろう、やろー。」


そして3人は傭兵協会の事務所へと向かった。


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