ズールの予言書
連合暦20年6月18日、
ジェイル達がエッグ王子と謁見していたころ、
パイン達はコゴーロと会話をしていた。
コゴーロ:「さて、肝心な指輪の話をするとしようかの。」
パイン:「はい。」
パイン達は、コゴーロに注目する。
コゴーロ:「先ほど、パインさんに、ベンヌと仮契約したと
言ったじゃろ。」
パイン:「はい。」
コゴーロ:「お前さんとベンヌは、既につながっているのじゃよ。
ただし、ベンヌ自体が遥か遠くの山に籠っている。
そのため、今はわずかなつながりのみなのじゃよ。」
パイン:「ベンヌに近づけば、
より強く感じるということですか?」
コゴーロ:「うむ、そういう事じゃな。」
コゴーロは、一呼吸おいて、話を続けた。
コゴーロ:「お前さんの赤い指輪じゃが、ベンヌの精神体を
青い指輪に送る力があるのじゃ。」
パイン:「えっ、という事は、ベンヌが自分の中に入って、
赤い指輪から青い指輪に移動するということですか?」
アリス:「なるほど、それを私がシヴァの呼び出しに使うという
事ですね。」
コゴーロ:「そうじゃな、そういう事じゃ。」
パイン:「ベンヌの精神体が入ってきても、大丈夫なんですか?」
コゴーロ:「んー、たぶん大丈夫じゃろう。」
パイン:「たぶんって、、、」
コゴーロ:「そうじゃな、お前さんが激流に片足を突っ込んだ
状態で、耐えることができれば何とかなるじゃろ。」
パイン:「えっ?」
コゴーロ:「別の言い方をすると、お前さんの中を精神体が
激流のように流れてゆくのじゃ。
お前さんは、自分の精神体が激流に流されないように
激流を無視するのじゃ。
これができれば、無限の精神体を青の指輪に流す事が
できるのじゃよ。」
パイン:「激流の横にいて、激流を無視しろって
言ってるんですよね?」
コゴーロ:「そうじゃ。」
パイン:「えーっ、それって、難しいですよね?」
コゴーロ:「難しいじゃろうな。」
パイン:「あのー、もし意識しちゃったら、どうなりますか?」
コゴーロ:「お嬢さんの精神力が無くなった時と同じじゃよ。」
パイン:「意識を失うってことですか?」
コゴーロ:「そうじゃな。」
パイン:「あー、よかった。死ぬんじゃないんですね。」
みるみるパインの顔が笑顔になってゆく。
コゴーロ:「ただし、言っておくことがある。
ベンヌのいる山は、断崖絶壁にあるからの。」
パイン:「えっ、という事は、意識が無くなったら、
崖から真っ逆さまってことですか?」
コゴーロ:「まあ、そういう事になるじゃろうな。」
パイン:「・・・」
みるみるパインの顔が険しくなっていゆく。
コゴーロ:「安心するのじゃ、ベンヌにあう前に、ちゃんと
訓練する場所もある。」
パイン:「えっ、一発勝負じゃないんですね。」
コゴーロ:「そういう事じゃ。」
パイン:「よかった。」
みるみるパインの顔が普通の顔に戻ってゆく。
コゴーロ:「それじゃあ、これからベンヌに会いに
行くんじゃが、わしと精神の指輪を持つ者だけじゃ。」
サール:「えっ、我々は、いけないんですか?」
コゴーロ:「残念じゃが、そういう事じゃな。
これから、ズールの屋敷へと向かうんじゃが、」
パイン:「えっ?ズールの屋敷ですって。」
コゴーロ:「ベンヌの山には、ズールの屋敷から飛ぶ魔法陣を
作ると言い残しているんじゃよ。」
サール:「もしかして、あの魔法陣ですかね?」
パイン:「あぁ、あれしかないよな。」
シェリル:「あぁ、私が試してみた魔法陣ですね。」
アリスは、思い出すしぐさをする。
アリス:「んーーーーっ、あぁ、あれね。」
パイン:「そうそう、それ、それ。」
実際には、同じ物を想像しているかは、誰にも分らなかった。
コゴーロ:「お前さん達、もしかして、ズールの屋敷の場所を
知っているのかの?」
パイン:「えぇ、知っていますよ。」
コゴーロ:「それはよかった、実はの、屋敷の場所を教えられて
いたのじゃが、忘れてしまったんじゃ。」
サール:「えっ、もし、我々が知らなかったら?」
コゴーロ:「手分けして、探すしかなかったじゃろうな。」
パイン:「うぁっ、、、。」
こうして、パイン達一行は、ズールの屋敷へと向かうべく、
とりあえず、ジェイルの屋敷へと向かった。
ジェイルの屋敷では、ポールが丁重に迎え入れてくれた。
今朝出発する前に、パイン達が来て何かを依頼された場合、
それを最優先で対処するようにと言われていたらしい。
出発直前に、パインは少し考えると話だした。
パイン:「サールとシェリルは、ズールが残したっていう本の
調査をしてくれないか?」
サール:「なるほど、そうですね。
それがいいかもしれないですね。」
パイン:「それで、それが終わったら、ジェイルの屋敷で
落ち合うでどうだ?」
サール:「えぇ、それでいいですね。」
シェリル:「はい、わかりました。」
この会話の後で、パインとアリスは、例の飛ぶことの
できなかった魔法陣から未知の場所へと旅立った。
残ったサールとシェリルは、ズールの予言書の手がかりを
探す事となった。
サール、シェリル、ポールの3人が談話室で話をしていた。
サール:「さて、王宮に有るか知るのには、
どうすればいいのかな?」
ポール:「それは、本なのですね?」
サール:「はい、そうみたいですが。」
ポール:「それであるならば、王立図書館で探すのが良いかも
しれませんね。」
サール:「なるほど、王立図書館ですか、、、
うん、それが一番よさそうですね。」
ポール:「では、早速、馬車の用意をさせましょう。」
サール:「すみません。よろしくお願いします。」
ポール:「いえいえ、お坊ちゃまの指示ですので、、、。」
斯くして、サールとシェリルは、王立図書館へと向かった。
2人は、王立図書館に入ると、真っ先に受付へと向かった。
サールは、受付で「ズールの予言書」という本が無いかを
聞いてみた
受付嬢:「しばらくお待ちください。」
そういうと受付の人は、奥の書だなから1冊の本らしきものを
持ってきた。
サール:「もしかして、ありました?」
受付嬢:「いえ、これは、目録です。」
サール:「なるほど、そうですか。」
受付嬢が目録をペラペラとめくってゆく。
そして、ある一か所まで進んだところで手を止めた。
受付嬢:「えーとですね。まず、ズールの予言書という本は
ありませんね。」
サール:「えっ、無いんですか?」
受付嬢:「えぇ、しかし、ズールという人が著者の本は
ありますね。」
サール:「それは、なんという本です?」
受付嬢:「旅行記という本ですね。」
サール:「発行者はどうなってますか?」
受付嬢:「カルラド王宮になっています。」
サール:「あぁ、それだ!!、閲覧することはできますか?」
受付嬢:「申し訳ありません。この本は閲覧できません。」
サールは、驚いた。
サール:「何故ですか?」
受付嬢:「20年ほど前に回収命令がでているんです。」
サール:「うっきー、何故です?」
受付嬢:「詳しく説明しますと、およそ100年前に
カルラド王宮から、各王国の王立図書館に贈与されて
います。
ところが、20年ほど前に王宮から回収命令が発令
されて、全て回収・破棄になっています。
指示者は、カルラド王宮の大臣になっていますね。」
サール:「何故だ?」
受付嬢:「申し訳ありません。残念ながらそれを知る方法は、
もうありませんね。
名前を見る限り、今の大臣と同じ名前なので、
本人に直接聞くのが早いと思います。」
サール:「確かにそうですね。
わかりました。ありがとうございました。」
サールは、シェリルの方を向くと、早口でいった。
サール:「ジェイルの屋敷に戻りましょう。
ポールさんに相談すれば、
大臣と話せるかもしれません。」
シェリル:「確かにそうですね。すぐ戻りましょう。」
そして、2人は馬車に乗り込むと、ジェイルの屋敷へと向かった。
馬車の中で、2人は、どうして大臣が回収命令を出したのかを
考え始めた。
シェリル:「なんで、回収命令を出したんでしょうかね?」
サール:「そういえば、バーバラさんに、こんな話を
聞いたことがあります。
カルラドで大臣が行方不明になったという公示が
あったんですよ。
たしか、今から、20年ぐらい前に起こった話だったと
思うのですが。
で、その時、大臣の補佐をやっていた宮廷魔導士が
大臣になったらしいんですが、これが、異例中の
異例の人事で、様々な噂が流れたらしいです。
その中の1つに、宮廷魔導士の大臣暗殺説というのが
あってですね。
それで、バーバラさんは、噂の芽は若いうちに摘めと
私に教えてくれたのです。」
シェリル:「えっ、回収命令とどういう関係が?」
サール:「20年前に大臣が変わっている可能性があるかもと。」
シェリル:「なるほど、その元宮廷魔導士だった大臣が
着任した直後に回収命令が発令されたという事
ですね。」
サール:「私の記憶が確かなら、可能性がありますね。」
シェリル:「戻ったら、早速ポールさんに確認しましょう。」
サール:「えぇ、そうしましょう。」
そんな会話をしながら、馬車はジェイルの屋敷へと戻った。
ジェイルの屋敷に入ると、何やら慌ただしい状態だった。
奥で、ポールが何やら指示を出している。
そして、ポールがこちらに気が付くと、小走りに走ってきた。
ポール:「サール様、シェリル様、大変でございます。
ジェイル坊ちゃまが、、、。」
珍しく、ポールが少し取り乱していた。
シェリルが心配そうな顔で問いかけた。
シェリル:「ジェイル様に何かあったのですか?」
ポール:「とにかく、こちらへ急いでください。」
そう言って連れていかれた場所は、屋敷の医療部屋だった。
ベッドの周りには、何人もの精霊魔導士が集まっていた。
そして、ベッドの上にはジェイルが仰向けに寝ていた。
赤いローブの所々にどす黒く変色した血の跡のようなものが
見えた。
シェリルが精霊魔導士を押しのけてベッドの横に躍り出た。
ジェイルをじっと見つめる。
しばらくそのまま動かなかった。
そして、ジェイルの胸に顔をうずめるように覆いかぶさると、
大きな声をだして泣き出した。
シェリル:「ジェイル様ーーーーーっ」
A:えっ、まさか?
まさかですよね?
そんなことないですよね?
C:さて、何かとんでもないことが、、、
A:いゃーーーーーっ!!
ってことですか?
C:まあ、続きを、楽しみに待っていてください。




