ベンヌの力
連合暦20年6月18日、
コゴーロ:「そういえば、お前さん達は、国で管理している
ズールの予言書を読んだかのう?」
パイン:「なんですか、それは?」
コゴーロ:「なんと、予言書も読まずに
ここまでたどり着いたのか。」
パイン:「どういう意味ですか?」
コゴーロ:「ズールは、魔獣王復活に備えて、予言書を各国に
送ったと聞いている。
わしも、詳しいことは知らんのじゃが、
その予言書を読み解くと、
ズールのたどった道がわかるように
なっているらしいのじゃ。」
サール:「そんなものがあったんですか。
初耳ですね。」
コゴーロ:「わしも確認したわけではないが、
きっと管理されているはずじゃ。
閲覧してみることを進めるぞ。」
サール:「そうですね。明日にでも確認してみましょう。」
パイン:「あぁ、そうするか。」
コゴーロ:「さて、ズールの話じゃが、続けてよいかの?」
パイン:「おねがいします。」
コゴーロ:「さて、わしの家に残るズール予言じゃが、
わしの家の例の部屋に入ったのじゃろ?」
パイン:「はい、入りました。」
コゴーロ:「ベンヌの本も読んだということじゃな?」
パイン:「はい。」
コゴーロ:「それならば、話は早い。
ズールが残した本の話をしよう。」
サール:「それってベンヌを守る方法が書かれた本の事ですね。」
コゴーロ:「そうじゃ。それじゃ。」
サール:「実はどんな内容か、気になっていたんですよね。」
コゴーロ:「お前さん達が、例の玉を入手するために入った
洞窟があるじゃろ。」
パイン:「あの、ゴーレムのいた洞窟ですね。」
コゴーロ:「そう、あの洞窟じゃが、ある魔法が
かけられているんじゃ。」
サール:「ある魔法ってなんですか?」
コゴーロ:「あの洞窟を進むには、召喚士がいないと
進めないようになっているのじゃ。」
サール:「どういうことですか?」
コゴーロ:「まず、炎の魔法で開く扉があったじゃろ。」
サール:「あぁ、そんなのありましたね。」
コゴーロ:「あれは、炎だけでなく、召喚士も必要じゃ。
さらに、ゴーレムじゃが、幻獣がいないと、
すぐに復活してしまう。
さらに玉の置いてあった台座じゃが、召喚士が
近くにいないと、取ることもできんはずじゃ。」
パイン:「それで、召喚士が我々の中にいると考えたんですね。」
コゴーロ:「そうじゃ、正解じゃ。」
パイン:「もしかして、あの落とし穴も召喚士が近くにいたら
発動しなかったとか?」
コゴーロ:「あれは、召喚士がいないパーチーが侵入したときに
開かない扉だけじゃ、つまらなかろうと作ったみたい
じゃがのう。
まあ、雰囲気作りみたいなものじゃな。」
パイン:「ちょっと待ってくださいよ、
危うく死にかけたんですよ。」
コゴーロ:「わしに言われてものう。
なにせ、先祖が作ったものじゃしのう。」
パイン:「・・・」
無言のパインをよそにコゴーロは、話を続けた。
コゴーロ:「分かったと思うが、あの本には、召喚士かどうかを
見分ける様々な罠を作る方法が書かれていたのじゃ。
先祖は、それらを駆使して、あれを作ったのじゃ。
わしは、魔獣の壺が定期的に置かれる場所を見つけて
近くにこの家を作り、壺が置かれるたびにクエストを
依頼し、召喚士が現れるのを待ったというわけじゃ。」
サール:「そして、我々が現れたということですか。」
コゴーロ:「そうじゃ。
あの時は、本当に像が盗まれてしまったので、
ちょっとあせったがのう。」
アリス:「あのー、ところで、ジーンさんが
行方不明なのをご存知ですか?」
コゴーロ:「ジーン?、あぁ、ロナルド・ビリウスのことか?」
アリス:「はい。そうです。」
コゴーロ:「ロナルドなら、カルラドのわしの家に住んどるぞ。」
アリス:「えっ、そうなんですか?」
コゴーロ:「お前さん達が、ジーンの所を訪ねたじゃろ、
誰かがわしを探して訪ねて来たら、
すぐに逃げろと言っておいたんじゃ。
誰か来ても居留守をつかうように言ってあるので
気が付かなかったんじゃな。」
アリス:「よかった、無事だったんですね。
安心しました。」
パインが何かを思い出したように言った。
パイン:「あっ、そうだった、
夜盗について心当たりはないんですか?」
コゴーロ:「残念ながら、全くわからん。
しかし、ズールの予言の事を考えると、
魔獣王の復活を手助けした者達とも考えられるのう。」
サール:「復活の手助けって、どういう意味ですか?」
コゴーロ:「これは、本にも書かれていないことじゃが、
ズールが言っていたらしい。
魔獣王は、人間の手によって、復活すると。」
このときパインは、ある名前が頭をよぎった。
パイン:(ヴァニッシュ、、、魔獣に組するもの、、、)
そう、ジェイルやカイン王が言っていた者達のことだ。
サール:「何故、人間が魔獣王の復活をするんですか?」
コゴーロ:「さて、こまったのう。
そうじゃの、まずは聞きたいことがある。
お前さん達、人間がいなくなったとしても、
世界の王になりたいと思うか?」
パイン:「どういう意味ですか?」
コゴーロ:「あるかないか、答えるのじゃ。」
パイン:「誰もいない世界に1人って意味ですよね。
それならば、Noですね。」
パイン以外の者もNoと答えた。
コゴーロ:「そうか、なら、教えよう。
魔獣王と契約することができれば、
この世界の半分をもらえると言われている。
そして、魔獣の王になれるとな。
そう、人間のいない世界の王じゃな。
不死の力も得られるとも言われているのじゃ。
この話は、ズールが語った事として伝わっておる。」
サール:「私は、誰もいない世界の王になりたいとは
思いませんが、そう考える人もいるのかも
しれませんね。」
アリス:「私も、いやだなー。」
シェリル:「私もいやです。」
パインは、少し考えて言った。
パイン:「もしかして、ヴァニッシュが求めるものって
それなのか?」
コゴーロ:「ん?、そのヴァニッシュとはなんじゃ?」
パインがヴァニッシュについて説明すると、
コゴーロ:「なるほど、
カイン王はそこまで知っているという事か。」
そうつぶやき、黙ってしまった。
しばらくして、コゴーロが口を開いた。
コゴーロ:「さて、契約の話に移りたいのじゃがのう。
決心はついたか?」
パイン:「契約の話の前に、1つ教えてください。」
コゴーロ:「なんじゃ?」
パイン:「ベンヌは、凶鳥と呼ばれているって、
聞いているのですが。」
コゴーロ:「なるほど、そのことか。
その与太話は、わしも聞いたことがある。
それは、間違った話じゃな。」
パイン:「そうなんですか?」
コゴーロ:「そうじゃな、それを説明するには、
ベンヌの力について話さなければならんようじゃな。
さて、アリスさん。」
アリス:「はい?」
コゴーロ:「召喚したとき、疲れるじゃろ?」
アリス:「はい、突然、寝ちゃったりしますね。」
コゴーロ:「そうじゃろう。そうじゃろう。
召喚をするには、とんでもない精神力を使うのじゃ。
それで疲れてしまい、寝てしまうということじゃな。
ベンヌには、この精神力を肩代わりしてくれる力が
あるのじゃよ。」
アリス:「えっ?、それって、寝なくなるってことですか?」
コゴーロ:「そういう事じゃな。
そもそも、幻獣を召喚するためには、精神力を
使うのじゃが、その力のほとんどは、幻獣界から
幻獣を呼び寄せるためにつかわれるのじゃ。
そして、幻獣が行動するたびに、精神体を幻獣界から
送り込んでいる。
この精神体を送り込む為のポンプ役を行うのが
召喚士じゃな。
ポンプ自体を動かすために精神力を使うわけじゃが、
精神体を送り込むためのポンプに必要な精神力は、
幻獣の精神体の大きさによって変わってくる。
つまり、大きな力を持つ幻獣を召喚するためには、
より多くの精神力が必要なのじゃよ。
力不足の場合は、あっという間に疲れてしまう
というわけじゃな。
魔法陣での召喚の場合は、そのポンプ役は、魔法陣が
受け持っているわけじゃ。」
サール:「なるほど、そういう事だったんですか。
だから、シロッコの攻撃で寝てしまったわけですか。」
アリス:「んー、よくわからないけど、そうだったのね。」
サール:「シロッコの攻撃で、より多くの精神体を
送り込まなければいけなくなり、ポンプがより多く
動かなければいけない状況になったというわけですよ。
動く回数が多ければ、精神力をいっぱい
使うというわけです。
そして、アリスさんの精神力を超えてしまったと
いう事です。」
アリス:「なるほど、そういう事か。
じゃあ、ベンヌに精神力を肩代わりしてもらえれば、
シヴァを呼べるということですか?」
コゴーロ:「んー、残念ながら、それは分からんのう。
しかし、1つだけ言えることはある。
幻獣界と人間界を繋ぐパイプには太さがあるのじゃ。
太いパイプでないと、大きな精神体を召喚できないと
いう事じゃな。」
サール:「それは分かります。
より強い精霊を呼び出すには、より大きな魔法陣を
使わなければいけないんですよ。
魔獣の壺に色々な大きさがあるのは知ってますよね。」
アリス:「うん、バーバラさんが呼び出した壺はクエストの時
よりも大きかったですよね。」
サール:「そうです。魔獣の壺の底には召喚の魔法陣が
描かれています。
つまり、壺の大きさによって、魔法陣の大きさが
変わるということなんですよ。」
アリス:「つまり、大きい壺のほうが、強い魔獣が呼び出される
ということね。」
サール:「そういうことです。
正確には、大きな魔法陣だと強い魔獣が呼び出される
となりますね。
シヴァを召喚した時の魔法陣を思い出してください。」
アリス:「あぁ、この家ぐらいの大きさがあったような、、、。」
サール:「そうです。アリスがあの大きさのパイプを
作れるかということです。
もし、できなければ、いくら肩代わりしてもらっても
シヴァは、呼び出せないといことになります。」
アリス:「そっか、こればっかりは、やってみるしかないと
いう事ね。」
サール:「そうですね。」
コゴーロ:「さて、今までに魔獣王は何回か復活している
のじゃが、その都度、幻獣の力を借りているのじゃ。
そして、幻獣を召喚するために、ベンヌは、
不可欠ということじゃな。
ベンヌは空を飛ぶゆえに、戦いの場に居ない者から
みれば、魔獣王が復活したときに現れる鳥として、
つまり凶鳥と呼ばれるようになったわけじゃな。」
パイン:「という事は、魔獣王を倒すためには、絶対に必要だと
いう事ですか?」
コゴーロ:「そういうことになるじゃろうな。
厳密に言うと、強力な幻獣を召喚するために
不可欠という事じゃな。
魔獣王と戦う時のために、わしらがベンヌを
守っているのじゃ。
まあ、この話は全てズールの受け売りじゃがのう。」
パイン:「納得しました。
ぜひ、ベンヌと契約させてください。」
コゴーロは、ニコニコしながら、言った。
コゴーロ:「そうか、やってくれるか。
死ぬかもしれんぞ、それでもいいのか?」
パイン:「いや、もうそれは、やめてくださいよ。」
A:「それにしても、一体何があったんですか?
この投稿ペース、早すぎですね。」
C:「どうも、書けるときに、書いておくというように
したみたいですね。」
A:「なるほど、そういうわけですか。」
C:「内容ですが、今まで不明だった点が、どんどん
解明されていっていますね。」
A:「そうなんですよ、ちょっとビックリしてます。」
C:「ベンヌに関することは、全てわかるみたいですが、
ここまで謎解きしてしまって、いいのかね。」
A:「ところで、召喚士がポンプの役目ってところですが、
もう少し詳しく説明してほしいんですが、、、。」
C:「例えば、10リットルの入れ物から1秒間に1リットル
づつ水が流れ出したときに、10秒で入れ物は空に
なりますよね。
入れ物の水の量を常に10リットルにするためには、
1秒に1リットル送り込むポンプがいるわけですね。
ポンプが1回動くのに1の精神力を使うとして、
アリスの精神力が10しかなければ、10回動くと
精神力が空になります。
実際には、精神力は時間と共に回復しているのですが、
使う量と回復する量を比べて、使う量が多ければ、
いずれ空になってしまいます。
例えば、シロッコが攻撃を実行したときに5リットル
流れ出るとしたら、それを補うために、1秒で5回
ポンプを動かす必要があるわけですね。
つまり、2回攻撃したら、10を超えてしまうわけです。
そのため、攻撃直後にアリスの精神力が空になったと
わけですね。」
A:「なるほど。ところで、ポンプの動作はいくらでも早く
できるんですかね?」
C:「いいところを突きますね。
設定上では、無限の速度で動くポンプみたいですね。」




