英雄の誓い
連合暦20年6月17日、
パイン達が話を終え、バーバラ達の所へと移動したとき、
2人は、和気あいあいと雑談していた。
バーバラのこんな笑顔を見たことがなかったパインは、
少し驚いた。
パイン:「話は、終わりました。」
バーバラとレミューズが声のする方を振り向くと、
パインと神妙な顔をしたジェイルの2人が立っていた。
残りの者達は、話し合いをした場所に留まっている。
バーバラ:「さて、どんな話し合いをしたのか分からないが、
結果は教えてくれるんだろうな?」
そう言って、2人を交互に見る。
ジェイルが口を開いた。
ジェイル:「実は、大河の水差しの在処に心当たりがある。」
その発言にレミューズが驚いた。
レミューズ:「ほぅ、で、どこにあるんだ?」
そう言って、ジェイルを見つめる。
ジェイル:「この情報を教えるには、交換条件がある。」
レミューズは、少しイラついた顔をしながら言った。
レミューズ:「なんだと、交換条件だと、
まあいい、とりあえず言ってみろ。」
ジェイル:「救出隊のメンバーに加えてほしい。」
レミューズ:「なんだ、そんなことか。
まあ、それについては、私ではなくバーバラが
決めることだ。」
そして、バーバラを見つめる。
バーバラ:「残念ながら即答することは出来ない。
カイン王の許可が必要だ。
すまないが、分かってほしい。
しかし、カイン王に進言することは可能だ。
私が進言すれば、よほどのことが無い限り許可が
おりるだろう。」
ジェイル:「分かった。
2つ目の条件だが。」
レミューズ:「まだあるのか?」
ジェイルは、少しためらいながら、はっきりとした口調で言った。
ジェイル:「レミューズさん、俺をあなたの弟子にしてほしい。」
レミューズは、突然の言葉に驚きを隠せなかった。
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少し前、パイン達が車座に座ったとき、
ジェイルが皆を一度見まわして話を始めた。
ジェイル:((実は、確信は無いんだが、
大河の水差しの在り処を知っているかもしれない。))
ジェイル以外の者は、その発言に皆驚いた。
ジェイル:((皆は、俺が貴族だということは知っていると思う。
実は、子供の頃にカルラドの王子と何回か
交友があったんだ。
その時に聞いた話なんだが、王子が生まれる少し前、
そう、今から20年ほど前だ。
丁度、魔獣の話が出てきた頃、カルラドの川が
汚染される事態が起こったらしい。
カルラドの川は、魔獣王城がある山に続いている。
その水を浄化するために、魔法の品を
使ったというんだ。
そして、その場所もある程度までは、聞いている。))
サール:((その魔法の品が大河の水差しということですか?))
ジェイル:((いや、大河の水差しとは断言できない。
しかし、その可能性は十分にある。))
サール:((それはすごい情報ですね。))
パイン:((なるほど、それで、相談したいこととは?))
ジェイル:((俺は、ベルノを助けたい。
それで、救助隊に志願したいと思う。))
パイン:((それは、いい考えだ。
もちろん、我々も参加するよ。))
パインは皆を見回し、同意を求めた。
全員がそれに賛成し、うなづいていた。
ジェイルは、少し険しい顔をしてから言った。
ジェイル:((だけど、今のままだと、ダメなんだ。))
皆は、ジェイルが何を言いたいのか分からなかった。
ジェイル:((今のままだと、俺はお荷物でしかない。))
パイン:((突然何を言い出すんだ。
そんなことは無いぞ。))
サール:((何を言っているんですか?))
ジェイル:((いや、今のままだとダメなんだよ。
それで、レミューズの弟子にしてもらおうと
考えているんだ。))
パイン:((それって、パーティーを離れるってことか?))
ジェイル:((結果的には、そういうことになるが、
ずっとじゃない。一時的な離脱だ。
救助隊の出発までに一人前になって戻ってくる。
だから、わがままを許してほしい。))
そう言って、ジェイルは皆に頭を下げる。
この後、パイン達の必死の説得にも関わらず、
ジェイルは、自分の考えを変えなかった。
シェリルは、最後まで、同行することを望んだが、
ジェイルは、パーティに神聖魔導士がいないことを理由に、
残ることを説得した。
そして、しぶしぶ同意した。
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バーバラは、レミューズをじっと見つめていた。
レミューズが困惑する顔を初めて見たこともあったが、
どのように答えるかに興味があった。
しばらくの沈黙があり、そして、レミューズがジェイルを見た。
レミューズは、一回溜息をつくと、静かに口を開いた。
レミューズ:「これは、まいった。
ところで、条件はこれだけなのか?」
ジェイル:「あぁ、そうだ。」
レミューズ:「んー、弟子は取らない主義なんだがな。」
ジェイル:「俺がいると所在だけでなく、設置されている場所
まで、行くことができるぞ。」
レミューズ:「設置だと!!
なるほどな。大体想像がついたよ。
カルラド城の地下だな。」
ジェイル:「えっ、なんでわかった?」
ジェイルは、とっさにそう答えてしまった。
そして、しまったという顔をした。
まさか、その言葉で場所を特定できる者がいるとは
考えてもいなかったのだ。
レミューズ:「やはりな。
何故、いままでそれを思い出さなかったのが、
不思議なぐらいだ。
そう、魔獣王城が初めて目視された頃に
カルラドの川が汚染される騒ぎが起こった。
その時、魔導士の募集があったんだよ。
私は、それに参加することはなかったがな。
そして、しばらくしてそれが収まった。
たしか、ザイムが襲われた後ぐらいだ。
時期的にも、一致する。
カルラドの川は、魔獣王城のある山から流れ、
カルラド城の地下を通過していることは、
周知の事実だ。
これらを総合すると、まず間違いないだろう。」
パインは、レミューズの言葉を聞いて関心していた。
バーバラほどの人物が天才と呼んだ理由がよくわかった。
20年も前の、それも自分が参加したことがない事を
覚えているなど到底自分にはまねできない。
この人の前では、隠し事など不可能だと痛感していた。
その時、ジェイルは、どうするかを考えていた。
交渉材料が無くなってしまったのだ。
自分の失態とはいえ、どう食い下がればいいのか考えていた。
しかし、まったく思いつかなかった。
無言のジェイルを見つめ、バーバラが救いの手を差し伸べた。
バーバラ:「レミューズ、あまりいじめるな。
困っているじゃないか。
もう、決めているんだろ?」
その言葉にレミューズは軽くうなずき、ジェイルを見た。
レミューズ:「ジェイルと言ったな。
まず、目上の者と話すときは敬語を使え。
そして、私のことは師匠と呼ぶように。」
ジェイル:「えっ、それじゃあ、弟子にしてくれるんですか?」
レミューズ:「私の本意では無いがな。
情報としては、十分に価値のあるものだった。
私は、厳しいぞ。覚悟しておけ。」
ジェイルは、今まで見せたこともない笑顔をすると、
突然大声をあげて叫んだ。
ジェイル:「ベルノーー、待ってろよーーー、
絶対に助けてやるからなーーーー。」
その声は、ザイムの町中に響き渡った。
その後、幻獣の剣と渦雷の剣の捜索が行われた。
幻獣の剣と思われる折れた剣が発見されたが、
レミューズ曰く、「これは、偽物だ。」という一言で
偽物と判定された。
バーバラは、それに関しては、全く反論しなかった。
パインは、それだけレミューズを信頼していることの
現れだと思った。
渦雷の剣については、現物は存在しなかった。
しかし、その剣がズールに売られていることが売買記録から
判明した。
バーバラは、撤退の準備をするためせわしく動いていた。
レミューズは、それを手伝う。
パイン達は、撤退開始までの間、一か所に集まり雑談していた。
ジェイルは、レミューズの計らいにより、最後の時間を
パイン達と共に過ごすことを許された。
パイン:「またしても、ズールか。」
ジェイル、渦雷の剣は、ズールの屋敷に
無かったんだよな?」
ジェイル:「あぁ、もちろん無かったよ。
もし、あったら既にお前が手にしてるよ。」
パイン:「そうか、それにしても、このズールという人物、
一体どこまで関わっているんだ?」
サール:「そうですね。
もしかしたら、ズールのたどった道をたどるだけで、
全てが解明されるかもしれないですね。」
シェリル:「ごめんなさい、私の記憶が戻らないばっかりに。」
パイン:「いや、そういう意味じゃなくて、、、。」
アリス:「あぁーーーっ、パインがシェリルを虐めたーーーっ。」
アリスがパインをつんつんと突っつく。
そんな、姿を見たジェイルは、少し寂しそうな顔をしていた。
ザイムの町に夕日が差し込み始めた頃、ついに別れの時が来た。
レミューズとジェイルは、カルラドへと直行する事を決めた。
パイン達は、今後の事を話し合うため、
カイン王と謁見することとなった。
全員が一か所に集まり、そして次に会うときは、
魔獣王城に突入する時だと決め、それぞれのやるべき事を
成し遂げるため激励しあった。
そして、2つのパーティーは、転移の魔法を使い、
それぞれの地へと旅立っていった。
A:「えっ、もしかして第2章完ということですか?」
C:「どうやら、そういう事みたいですね。
第3章は、ベンヌの話みたいですが、、、。」
A:「なんか、無理やり終わらせてませんか?」
C:「ストーリー的には、問題ないみたいですが、
ちょっとだけ、省いたらしいです。
その辺りは、番外編送りみたいです。」




