新たなる道
連合暦20年4月5日、
パイン達は、カイン国王宮で一夜を過ごした。
そして、朝食を済ませくつろいでいる所にバーバラが現れた。
バーバラ:「おはよう。」
5人:「おはようございます。」
バーバラ:「さて、準備よければ、適正検査を行いたいのだが。」
パイン:「はい、大丈夫です。」
アリス:「はーい。」
サール:「問題ありません。」
ジェイル:「準備できています。」
シェリル:「はい。」
バーバラ:「よし、それでは一緒にきてもらおう。」
5人は会議室のようなところへ連れて行かれた。
部屋に入ると、席に座るように言われたため、それに従う。
教官のような人が現れ、用紙を渡された。
それには、性格判断のような質問が書かれていた。
パインは、問題を眺めていた。
パイン:(こんなので本当に適正がわかるのか?)
1)貴方は命をかけても魔獣王を倒したいですか?
はい 、 いいえ
2)貴方は神を信じますか?
はい 、 いいえ
3)貴方は道端でバナナを拾いました。どうしますか?
ゴミ箱に捨てる、警備兵に届ける、放置する、食べる
4)貴方の前に現れた老婆が質問をした。
母親と子供が魔獣に捕まってしまった。
どちらか一方しか助けることができない。
あなたはどちらを助けますか?
母親、子供、回答しない
パイン:(1番は、当然 はい だな。)
パイン:(2番も、はい だ。)
パイン:(3番はと、、、。
ん?、なんだこの問題。
さすがに、食べるは、ないだろ。
放置もなさそうだな。
ゴミ箱か?。
いや、拾得物だしな。
しかし、バナナだしな。
んー、、、。)
この後、パインは全100問にも及ぶ質問に答えた。
そして、すぐに結果が教えられた。
パインは、戦士55%、神聖魔道士35%、精霊魔道士10%だった。
この結果にパインは満足していた。
35%以上あるものについては、
習得できる可能性があるということだからだ。
しかし、35%未満のものについては今までの経験から
その可能性は著しく低下する。
5人は、昼食をとりながら雑談していた。
パイン:((俺は、戦55,神35,精10だったよ。))
サール:((パインらしいですね。
私は、戦11,神29,精60でした。))
アリス:((私は、戦18,神61,精21だったよ。
シェリルさんはどうだったの?))
シェリル:((私ですか?
私は、戦1,神90,精9でした。))
パイン:((それは、すごい、正に神聖魔道士になれっていう
ことじゃないか、、、。))
シェリル:((そうですか、それでは神聖魔道士を目指します。))
そんな話で盛り上がる中、
ジェイルだけが会話に入ってこなかった。
パインは、ジェイルが気になった。
パイン:((ジェイル、お前はどうだったんだ?))
ジェイル:((俺か?、戦33,神33,精34だった。
やっぱり、どれにもなれんな。
前にやった時ももそうだったんだよ。))
ジェイルはかなり落ち込んでいた。
パイン:((もしかして、35%のこと気にしてるのか?))
ジェイル:((・・・。))
パイン:((35%未満は確かに可能性は低下するって言われてるけど
誰もなれないとは言ってないぞ。
全ての可能性を持ってるんだから、
俺は、逆にすごいと思うんだがな。))
サール:((私もそう思いますよ。
私なんて、精霊魔道士1択ですからね。))
ジェイル:((そうか?、もしかして凄い事なのか?))
パイン:((あぁ、普通の人よりちょっと大変かもしれないが、
3つのどれでも可能性があるんだ。
うらやましいぐらいだよ。))
ジェイル:((そうか、そうなんだよな。
俺って、やっぱりすごいんだ。
よし、なんかやる気が出てきたぞ。))
パインは少しほっとした。
ジェイルのこんな顔は見たくなかったからだった。
この後、彼等はそれぞれの訓練に励んだ。
そして、2ヶ月の歳月が流れていった。
この2ヶ月の間も様々な事が起こったが、魔獣王討伐とは
関係がないため、別の機会に話すこととしよう。
連合暦20年6月2日、
その日は朝から暑かった。
いつものように、5人は食事を取っていた。
パイン:((いやー、それにしてもシェリルがここまで伸びるとは
誰も思っていなかったよな。))
サール:((そうですね。びっくりですよ。))
シェリルは昨日、上級精霊魔法を使えるようになったのだ。
これは、傭兵であればA級になれる実力があるということだ。
シェリル:((いえ、ジェイル様から比べたら、
私なんて大した事ないですよ。))
アリス:((ジェイルも頑張ったよね。))
パイン:((そうだよな。))
ジェイルは、初級精霊魔法、初級神聖魔法が
使えるようになっていた。
さらに、剣術もそこそこ強くなっていた。
ジェイルは器用貧乏と言っていたが、
もし3つとも使いこなせるようになれば、
最強の称号も得られるかもしれない可能性を秘めていた。
パインは初級の神聖魔法を使えるようになり、聖騎士への道が
さらに近づき、喜んでいた。
アリスは、精神力の向上に努めたが、シロッコの戦闘時間を
数秒ほど伸ばすのが限界だった。
そのかわり、中級神聖魔法を覚えることができた。
サールは、炎系のみだが、上級精霊魔法の取得を実現していた。
そこにバーバラが現れた。
バーバラの話によると、昼からカイン王との謁見が
あるとのことだった。
パインは謁見内容をバーバラに質問したが、その内容は
知らされていないようだった。
そして、謁見の時がやってきた。
5人はカイン王の前にいた。
カイン王:「初めて会ったときに、精神力の向上の方法について
話をしたと思うが、その件について情報を入手した。」
パイン:「本当ですか?」
カイン王:「あぁ、これはかなり有力な情報だ。
この情報を提供してくれた者は信用するに値する
人物なのだ。」
パイン:「情報提供者は一体だれなのですか?」
カイン王:「すまないが、それを教えるわけにはいかない。」
パイン:「そうですか。
それでは、その情報とは一体何なのですか?」
カイン王:「ベンヌの指輪というのを知っているか?」
パイン:「ベンヌの指輪?」
シェリル:「霊鳥ベンヌ、、、。」
カイン王:「おぉ、まさか霊鳥ベンヌを知っているとは、、、。」
シェリル:「いえ、その名前が頭に浮かんだだけなんです。」
カイン王:「そうか、名前のみか。」
パイン:「その霊鳥ベンヌとは、一体なんなんですか?」
カイン王:「霊鳥ベンヌは、その名の通り鳥だ。
そして、不死鳥とも呼ばれているそうだ。」
パイン:「不死鳥ですか、、、。まさに神話ですね。」
カイン王:「確かに神話のような生き物だな。
ベンヌは、凶鳥とも呼ばれたようだ。
この世が破滅に向かうときに現れるらしいのだ。
それも1匹のみ目撃されるらしい。
そして、それが同じ鳥ではないかと考えられた。
それが不死鳥の名前の由来らしい。
そして、この世の破滅が解決したときに姿を消す。
なんとも不思議な鳥なのだ。
そのベンヌの心臓で作ったといわれているのが
ベンヌの指輪だ。
これらの情報はハルバールという貴族が持っていた。
どうやら、クライム国に住んでいたようだが、
この貴族がしていた指輪がベンヌの指輪、
またの名を精神の指輪だといわれている。」
パイン:「精神の指輪、、、。」
カイン王:「ハルバールは、一族として何かを守っていたらしい。
そして、22年前の魔獣王城が現れたといわれる
2月の中旬頃に夜盗と思われる賊に屋敷を襲われ、
一家は惨殺された。
当主の遺体は、発見されなかった。
そう、忽然と姿を消したのだ。
連れ去られたか、逃げたのか、それは分からない。
その後の彼を見たものは誰もいないのだ。
しかしこれは、彼が生きている可能性を秘めている。
我々もこの2ヶ月の間、彼の行方を追ってみた。
しかし、残念ながら行方を突き止めることが
出来なかった。」
パイン:「それで、我々にどうしろと?」
カイン王:「ハルバールの行方を追ってもらいたいのだ。
我々の見逃した何かがあるかもしれない。
もし、ハルバールが生きていたならば、彼と会い、
ベンヌの指輪を譲り受けるのだ。
もし、交渉が成立しない場合は、彼を私の元へ連れて
来るだけでもいい。
後は私が交渉しよう。」
パイン:((どうする?))
サール:((やりましょう。))
アリス:((ベンヌの指輪、ほしーーーい。))
ジェイル:((我々の目的は、魔獣王を倒すことだ。
当然、それに繋がることなら、なんでもやるだろ。
シェリルもそれでいいか?))
シェリル:((はい。))
パイン:((よし、やってみるか。))
パイン:「分かりました。
どこまで出来るか分かりませんが、やってみます。」
カイン王:「そうか、やってくれるか。
ならば、まずクライム国のハルバールの屋敷へ
向かうんだ。
クライム国王には既に依頼済みだ。
ハルバールの屋敷を調査させてくれる。
ニコという者が案内してくれるだろう。」
パイン:「分かりました。
早速向かいます。」
こうして、パイン達の新たなる道が開けた。
A:「えー、2ヶ月吹っ飛びましたね。
この間の話はどうなるんですか?」
C:「いくつかの構想があるので、いずれ番外編で書くとの
ことですね。」
A:「なるほど、番外編ですか。
ということは、短編なんですね。」
C:「そうみたいですよ。」
A:「なるほど、わかりました。」




