謁見
バーバラと共にパイン達が謁見の場へ向かうと、
そこには、白いマントを身に纏ったカイン王が立っていた。
カイン王:「良く来てくれた。待っていたぞ。」
パイン:「初めてお目にかかります。パインと申します。」
パインがそう言ってパインが跪く。
カイン王:「まて、堅苦しい儀礼は無しだ。
もちろん、敬語も不要だ。
ところで、君達のリーダーはだれだ?」
そう言いながら、カイン王はパインを自らの手を差し伸べ
立ち上がらせた。
アリス:「パインかな?」
サール:「そうですね。パインですね。」
ジェイル:「そうだな、今は確かにそうだな。」
パイン:「えっ、おれなの?」
パインは突然の事に困惑していた。
カイン王:「そうか、パイン君がリーダーか。
パイン君の実家は武器屋だったな。
私も庶民の生まれだ。
国王などと言うのは、魔獣王討伐の為の
ただの肩書きにしかすぎない。
それに私が偉いのではない。
王というのはリーダーのようなものだ。
しかし、束ねる人が多い。
そのため、各自の下にまた人を置く。
そうやって、階層的に組織が組みあがってゆくんだ。
王は一番上のリーダーという分けだ。
ただ、それだけの存在だ。
頭を下げるのは、君達が本当に尊敬し、
忠誠を誓う者だけでいいんだ。
まあ、それが分からない愚か者が多いのも
事実だがな。」
5人は感銘した。
決して気取らず、そして偉ぶらない、
そんな人物に初めて出会った。
パインは、カイン王が好かれる理由が分かった気がした。
そういえば、バーバラもそうだった。
傭兵協会の会長という職にありながら、決して偉ぶらない。
現場の一線での仕事もこなしていた。
カイン王に仕えている者は、皆そうなのかもしれないと思った。
カイン王:「さて、アリスさんというのは
どちらのお嬢さんかな?」
アリス:「私がアリスです。」
カイン王:「そうか、君がアリスさんなのか。
とりあえず、シロと呼ばれる幻獣に
会わせてもらえないだろうか?」
アリス:「わかりました。」
アリスが召喚の舞を踊り、シロを呼び出した。
シロ:「よばりぇて、とびにぇて、にゃにゃにゃにゃーーーん。」
カイン王はその様子を真剣に見ていた。
カイン王:「おぉ、これはなつかしい。
子供の頃に読んだ小説の大魔王登場と
同じなのだな、、、。」
それは、ヘクサイ大魔王というお笑い小説で、大魔王が登場
するときに言う掛け声だった。
カイン王:「直接話してもよいのかな?」
アリス:「はい、大丈夫です。
シロちゃん、王様の質問に答えてあげて、、、。」
シロ:「はいにゃ。」
そして、シロはカイン王を見る。
カイン王:「さて、シロに聞きたい。」
シロ:「なんにゃ?」
カイン王:「まず、そなたは本当に幻獣なのか?」
シロ:「そうにゃ。」
カイン王:「幻獣といえば、シヴァ、イフリートなどがいると
言われているが、その一人と考えていいのか?」
シロ:「めっそうもにゃいにゃ。
シロはシヴァしゃまのみぎうでにゃ。」
カイン王:「みぎうでとは?」
シロ:「んにゃ、ちがうにゃ、髪の毛にゃ。」
カイン王:「良く分からんが、髪の毛から作られたとでも
言うのか?」
シロ:「そうにゃ、
シヴァしゃまの身体の一部から作られたにゃ。」
アリス:((えっ、そうだったんだ?))
サール:((これは新事実ですね。))
ジェイル:((へーー。))
パイン:((聞かなかった俺達が悪いんだろうな、、、。))
カイン王:「なるほど、ということは、シロもシヴァと
言うことになるな。」
シロ:「んにゃ、それはちがうにゃ。
生み出されちゃにゃら、別のものにゃ。」
カイン王:「そうか、生み出したら別の者か。」
サール:((ドラゴンもそうやって生み出されたんですかね?))
パイン:((たぶん、そうなんだろうな、、、。))
カイン王:「ということは、シヴァはシロより遥かに強いと
言うことか?」
シロ:「あたりまえにゃ。シヴァしゃまより強いもにょにゃど
いないにゃ。」
カイン王:「魔獣王より強いと?」
シロ:「とうぜんにゃ。」
カイン王は、一瞬笑顔を見せたが、すぐに真顔になると言った。
カイン王:「そうか、よし、それではシヴァを何としてでも
味方につけるのだ。
それが最優先事項だな。」
アリス:「あのーーーっ。」
カイン王:「どうした?」
アリス:「シヴァなら、私の中にいます。」
カイン王:「なんと、すでに味方にしているのか、、、。
ならば、何故シヴァを出さない?」
アリス:「実は、呼び出したくても呼び出せないのです。」
アリスはシヴァについて分かっていることを説明した。
カイン王:「なるほど、シヴァを召喚するためには、
まだ、足りないものがあるというわけか。
そして、それが何かが分からないと、、、。」
カイン王はしばらく考えると、口を開いた。
カイン王:「次に行く宛はあるのか?」
パイン:「実はそれが見つかっていないのです。」
カイン王:「それならば、こうしよう。
私の見たところ、君達は戦力不足だと思う。
それに、パーティーのバランスも悪い。
しばらくこの国に滞在して神聖魔法と
精霊魔法の訓練を積んだらどうだ?
もちろん無料で指導する。」
サール:「それは願っても無いことですよ。
パイン、やりましょう。」
パイン:((皆、どうする?))
アリス:((私はおっけーーーっ。))
サール:((当然私は、賛成です。))
ジェイル:((私は、たぶんダメだろうけど、かまわないぞ。))
パイン:((シェリルはどうだ?))
シェリル:((はい、私も役に立ちたいので、やりたいです。))
パイン:((よし、じゃあやろう。))
パイン:「その話、やらせてください。」
カイン王:「そうか、それはよかった。
では、この話は、バーバラに任せる。」
バーバラ:「はい、わかりました。」
カイン王:「さて、それでは、この話はここまでだな。
それでは、シロ、いや、シロッコの強さを
見せてもらいたいのだが、よいかな?」
アリス:「はい、分かりました。」
バーバラが一歩前に歩み出ると言った。
バーバラ:「それでは、第3訓練場に準備をしてありますので
そちらに移動をお願いします。」
カイン王:「わかった。」
カイン王がきびすを返すと、
真っ白いマントがヒラヒラとなびいた。
それをまじまじと見つめるジェイルがそこにいた。
ジェイル:((うぉーーーっ、かっこいーーーっ。))
パイン:((あぁ、カイン王って、かっこいいな。))
ジェイル:((いや、マントだ、あのマントの力だ。
あのマントのひらひら感、、、たまらん。))
パイン:((そうか?、そうなのか?))
ジェイル:((あぁ、間違いないっ!))
パイン:((その言い方、ふっる。))
そして、バーバラと共に第3訓練場へと向かった。
第3訓練場は、まるでコロッセアムのようだった。
観客席には、多くの弓を持った兵士、精霊魔道士と思われる
ローブを着た者たちが大勢いた。
パインはそれを見て驚いた。
バーバラ:「安心しろ、彼等は万が一のための者達だ。」
パイン:((おいおい、この人数みろよ。
まさか、対戦する魔獣ってとてつもなく強いんじゃ
ないだろうな。))
サール:((えぇ、ちょっと心配になってきましたよ。))
アリス:((きっとなんとかなるよ、、、。))
皆の心配をよそに、アリスだけが楽観視していた。
そして、アリスだけが訓練場へと入った。
残りの者は、観客席からそれを見るかたちだった。
アリスの立つ位置には、マットのようなものが敷かれていた。
倒れたとき用のものなのだろうか?
その上にアリスが立つ。
アリスと反対側の位置には、1つの壺が置かれていた。
バーバラが所定の場所へ移動すると、シロッコを呼び出すように
指示された。
アリスがシロッコを呼び出す、踊りを舞い始めた。
アリスがいきなり、こけた。
観客席のいたるところから、笑い声が上がる。
上から見る限り、マットの上は不安定なのだろう。
アリスがマットの上から移動すると、再び踊りだした。
シロッコが召喚される。
会場が一瞬、誰もいないかと錯覚するほど静まり返る。
そして、驚きの声と共に会場がどよめいた。
アリスがマットの上に再び移動する。
すると、再び会場が静けさを取り戻した。
しばらくすると、壺が淡く光りだした。
そして、壺の蓋が誰も触っていないのにかかわらす、
動くのが見えた。
そして、蓋が下に落ちる。
観客席の兵士達が弓を構えるのが見えた。
壺の中から黒い煙のようなものが湧き出してきた。
そして、その煙が渦を巻きながら一箇所に集まってゆく。
そして、大きな人型に形作られてゆく。
次の瞬間、それは現れた。
観客席から見る限り、2m以上あろうかという魔獣だった。
魔獣が一声吼えると、その近くに5匹の一回り小さい魔獣が
出現し、アリスの方を見た。
そして、アリスに向かって走り出した。
アリスはすぐに反応した。
アリス:「いけーーーっ!!」
アリスの声と共に、シロッコが走った。
5匹の魔獣が散開してシロッコに向かって走り出した。
壺の横の魔獣は何やら呪文の詠唱を始めたようだった。
訓練場の中央よりも壺に近い位置で
シロッコが魔獣に飛び掛った。
シロッコの前足が魔獣を捉える。
その一撃で、1匹の魔獣が吹き飛ばされた。
その1匹は他の魔獣を巻き込んで転がってゆく。
残りの魔獣は、左右からシロッコに向かう。
シロッコは、壺の横の魔獣の方を向いた。
呪文の詠唱に気がついたようだった。
それに向かってシロッコが飛んだ。
実際には跳躍したのだろう。
しかし、上から見る限り、跳躍というよりも
飛んだと言う表現が正しい気がした。
壺の前の魔獣にシロッコが激突する。
実際には、前足かなにかでなぎ払ったのだろう、
激突する直前に魔獣が左によろめいたように見えた。
そして、魔獣の背後に回りこみ2撃目を入れる。
魔獣が倒れこむとその上から伸し掛かった。
その瞬間、シロッコが消滅した。
それは、5-6秒ぐらいの出来事だった。
静まり返った観客席から突然、凄まじい歓声が上がる。
それは、魔獣王を討伐できるかもしれないという希望の声
だったのかもしれない。
パインはすぐにアリスを見た。
アリスは、マットの上に大の字に倒れていた。
魔獣は、突然消えたシロッコに驚いたのかもしれない。
きょろきょろと左右を見る。
そして、アリスを次の標的に選んだように見えた。
一斉にアリスに向かって突進する。
次の瞬間、魔獣は黒い煙となって消えた。
バーバラが集中を解いたのだろう。
アリスの元に複数の神聖魔道士と思われる人々が集まってきた。
そして、アリスを担架のようなものに乗せると、
訓練場から出てゆくのが見えた。
パイン達は、すぐにアリスの元へと移動した。
アリス:「ぐがががががっ、すぴーーーっ。」
担架の上のアリスは、寝ているようだった。
診療室のような場所へ運ぶと、ベットに寝かせる。
パイン達はアリスの周りを取り囲むように立っていた。
そこへ、カイン王とバーバラが現れた。
カイン王:「アリスは、大丈夫なのか?」
パイン:「はい、眠っているだけです。
シロッコを戦わせると精神力をかなり使う為
だと思うのですが、、、。」
カイン王:「なるほどな、精神力か。
よし、それを強化できるものが何かないかを
調べさせることにしよう。」
パイン:「それは助かります。よろしくお願いします。」
カイン王:「礼には及ばない。
これは、魔獣王討伐という大儀に必要なことなのだ。
さて、シロッコの強さだが強いことはわかった。
しかし、長時間戦闘できたとしても、
シロッコでは魔獣王討伐は不可能だ。」
パイン:「えっ、それほどまでに魔獣王は強いのですか?」
カイン王:「今回出した魔獣は、バーバラが出したものだ。
これは、あの魔獣はバーバラより弱いということだ。
バーバラは、私と共に魔獣城に突入し、
そこの魔獣に敗北したのだよ。
当然、魔獣王はさらに強いということだ。」
パイン:「・・・。」
ジェイル:((うへーーーっ。バーバラさんって、
あの魔獣より強いのかよ、、、。
まるで、歩く破壊神って感じだな、、、。))
パイン:((おい、その呼び方、絶対にするなよ。
バーバラさんが、怒るぞ。))
ジェイル:((うひょーーっ、それは、怖そうだ。
気をつけるよ。))
サール:((私も、気をつけます。))
そして次の日からカイン国へ滞在し、
訓練を受けることとなった。
A:「次に行く場所が無くなってしまいましたね。」
C:「そうですね。
それにしても、カイン王ってかっこいいですね。」
A:「えぇ、王というより、将軍って感じですね。」
C:「まあ、元々将軍でしたからね。
それを変えるつもりがないんですね。」
A:「なんか、良く知ってますね。
知り合いかなにかですか?」
C:「いえいえ、そんなことはありませんよ。」




