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魔獣の壺 - 本編 -  作者: 夢之中
英雄の誓い
33/99

2つ目のメダル

転送の魔法陣へと向かう途中で、パインがジェイルに聞いた。


パイン:「一つ質問していいか?」

ジェイル:「なんだ?」

パイン:「魔獣に組する者なんだが、どこで知ったんだ?」

ジェイル:「あぁ、その事か。

     昔、まだ従僕の剣の事を知る前のことだ。

     魔獣王を倒したいとベルノに話したんだ。

     その時に魔獣に組する者の話を聞いたんだ。

     魔獣王を討伐しようとする者たちが何者かに

     襲われているとね。

     そして、私に言ったんだ、敵は魔獣王だけじゃない。

     人間にも敵がいるってね。

     もし、生半可な気持ちで言っているなら、

     そのような事を口にするなと言われたよ。」

パイン:「そういえば、前にもベルノという名前が出てきたけど

    誰なんだ?」

ジェイルは、少し考えてから、ゆっくりと話し始めた。

ジェイル:「ベルノは、私の兄のような者だな。

     実際は、世話係なんだが、、、。

     私が物心つく前から一緒にいたんだ。

     色々なことを教えてもらったよ。

     もう、3年近く前になるのかな。

     魔獣王討伐隊として出発したんだ。

     しかし、いまだに行方知れずだ。

     生きているのか死んでいるのかも判らない。

     普通なら何らかの情報が得られるはずなのだが。」

パインは聞いたことを後悔していた。

パイン:「すまない。」

ジェイル:「何を謝っているんだ。

     私は、まだベルノは生きていると思っている。

     だから、問題はない。」

パイン:「・・・。」

パインは言葉を見つけることが出来なかった。


5人+1匹は転送の魔法陣に到着すると、躊躇無く飛んだ。

辺りが見えるようになると、そこは部屋の中だった。

部屋は、暗くはなかったが、明るいというほどではなかった。

部屋には何も無く、真ん中に魔法陣があるだけだった。

壁の1辺には扉が1つあった。


アリス:「えっ?、遺跡じゃないの?」

パイン:「みたいだな。」

シロ:「にゃにか、いやにゃかんじがするにゃ。」

サール:「えぇ、空気が淀んでいます。」

シェリル:「・・・。」

ジェイル:「そうだな、警戒して進もう。」

パイン:「あぁ、そうするか。」

パインが慎重に扉を開ける。

そして、その先を確認する。

そこは、通路のようだった。

特に人の気配はない。


パイン:「大丈夫そうだ。」

そう言って、通路に出る。

その通路は、1方向に真っ直ぐに続いていた。


サール:「ここは、一体何なんでしょうね?

    見る限り古代遺跡ではないようですし、、、。」

アリス:「ズールの別荘ってところなのかな?」

パイン:「もう少し調べないとな、、、。

    とりあえず、先に進もう。」

パインを先頭にゆっくりと進んで行く。

途中いくつかの扉があったが、鍵がかかっており入ることは

できなかった。

そして、突き当たりに扉を見つけた。


パインがノブを回す。

鍵はかかっていないようだった。

そして、ゆっくりと扉を開けた。


突然なにかが、パインの目の前を横切った。

パイン:「うぁ!!」

パインが飛び上がって、後ろにいたサールに激突する。

そして、2人して尻餅をついた。

ジェイル:「どうした?」

ジェイルが部屋の中を覗き込むと、1匹のねずみが

ちょろちょろと動き回っていた。

続いてはいったアリスもそれを見る。


アリス:「あっ、ねずみ、かわいい!!」

シェリルはブルブルと震えながらアリスを見ていた。

シェリル:「アリスさんって、怖いものないんですか?」

アリスはピースサインを出しながら、

 「パインと違って、なーーーしっ。」

と答えた。

シェリル:「そうなんですね。」

そういいながら、パインを見つめる。

パイン:「いまのは、突然だったから、驚いただけだ。」

そう言い訳をしながら、立ち上がる。

そして、部屋へ入り先頭へと戻った。


そこは、円形の部屋だった。

部屋の壁には、棚のようなものがぐるっと1周設置されている。

もともとは、図書室かなにかだったのだろうか?

棚の近くには、本や物が辺りに散らばっていた。

まるで泥棒にでも入られた後のようだった。


パイン:「これは、侵入者が何かを探していたのか?

    すごい有様だな。」

サール:「そうですね。

    盗む目的ではなさそうな荒れ方ですね。」


パインは、周りを見回すと部屋の真ん中にある設置物に

近づいた。

それは、ガラスのような透明なケースだった。

ガラスケースの下には魔法陣が描いてあった。

そして、その中にメダルが置いてあった。


パイン:「メダルが、あったぞ!!」

4人がパインの周りに集まる。


ジェイル:「これは、どうやってあけるんだろう?」


パイン:「まかせろ!!」

そう言って、両手で剣を強く握り締めると剣を振り上げる。

そして、力いっぱい振り下ろした。


 「ガン!!」


鈍い音とともに、パインの両手から剣が飛ばされる。

パインは、両手を握り、悶えていた。

どうやら、強く叩きすぎて、手が痺れたのだろう。


サールが近づき、剣が当たった所を確認する。

サール:「傷一つついていませんね。

    魔法がかかっているのでしょう。

    物理的な破壊は困難ですね。」

パインは言った。

パイン:「サール、そう言う可能性があるなら、

    さきにいってくれ、、、。」

アリスがパインを部屋の隅へと移動させる。


ジェイル:「さて、どうやって取ればいいんだろうな?」

サール:「簡単ではなさそうですね。

    侵入者が、これほど大事に保管されている物を

    放置するとも思えません。

    たぶん、あける方法を模索したと思いますよ。

    それで、それが見つからずに放置して帰ったと。」

ジェイル:「きっとそうだろうな。

     他の方法を探そう。」

サール:「えぇ、そうしましょう。」

サールがパインの方を見ると、アリスが、パインの両手に

つんつんしているのが見えた。


ジェイル:「よし、全員で手がかりを探すんだ。」

その一言で、全員が散会して部屋の中を探しだした。

それは、念入りに捜した。

机の下や、本棚の本の間、下に落ちた本や物も調べた。

落ちているものの下も移動して調べた。

しかし、それらしい仕掛けや魔法陣は発見できなかった。


しばらくして、サールは一旦諦め、

ガラスケースのところに戻った。

そして、ガラスケースの中を見た。


サール:「えっ、無くなっています。」

ジェイル:「なんだって?」

その声で全員がガラスケースの前に集まる。

ジェイル:「一体どこへ消えたんだ?」

ジェイルが考え込んでしまった。


そして、最後にやってきたアリスが聞いた。

アリス:「何が消えたの?」

サール:「このガラスケースに入っていた

    メダルが消えたんです。」

アリス:「えっ?」

そう言うと、アリスが肩にかけていたカバンを下ろし、

カバンの中を捜しだした。

 「あった。」

といって、カバンから何かを取り出した。


そして、それをサールに見せる。

それは、紛れも無くガラスケースに入っていたメダルだった。

サール:「えぇーーーっ!!」

サールはビックリした。

全員がアリスに注目する。


サール:「アリスさん、なんでそれを持ってるんですか?」

アリス:「えっ、何でってどういうこと?

    ガラスケースから取り出したんだよ。」

サール:「どうやったんですか?」

アリス:「どうやったって、普通に持ち上げたんだよ。

    こうやって。」

アリスがガラスケースを上に持ち上げた。

ガラスケースは難なく持ち上がった。


サール:「盲点でした。

    仕掛けなんて無かったんですね。

    絶対に何か仕掛けがあるとおもっていたのに、、、。」

ジェイル:「なるほどな、あの魔法陣のせいで、

     魔法によって封印されていると

     錯覚させられていたんだ。

     前の侵入者もそう思って、

     部屋の中を捜したんだろう。

     思い込みは怖いな。」


アリス以外の者は、取り出したときに何故すぐに

教えなかったのかを突っ込みたかったが、

アリスがむくれると困るので、それを心の奥にしまった。


パイン:「アリス、すごいじゃないか。」

アリスは、鼻高々に答えた。

アリス:「でしょーーーっ!!」


そして、2枚目のメダルを入手すると、

ズールの屋敷へと戻った。

屋敷を出ると、外はすでに日が落ち始めていた。


ジェイル:「もう日が暮れる、3つ目のメダルは明日にして

     今日は、屋敷に戻ろう。」

パイン:「そうだな。」

サール:「そうしますかね。」

アリス:「はーい。」

そしてジェイルの屋敷へと戻った。


屋敷の談話室で、5人は席を囲んでいた。

ジェイル:「今回入手できたメダルがこれだ。

     見て判るとおり、ドラゴンの絵が描かれている。

     反対の面は魔法文字だ。

     2個目のメダルと思ってもいいだろうな。

     あと1つのメダルを入手できたとき

     あの扉の先へ行けるということだろうな。」

サール:「そうですね。

    あの先に一体何があるんでしょうか?

    気になって眠れませんよ。」

ジェイル:「私の予想では、そこに従僕の剣があると

     思っている。

     そして、私はドラゴンマスターになれる。」

パイン:「ところで、ドラゴンマスターというのは?」

ジェイル:「いや、これは、私のつけた名前だ。

     精霊魔道士の達人をマスターと呼ぶだろ。

     それで、ドラゴンマスターにしたんだよ。」

パイン:「なるほどな、ジェイルらしいや、、、。」

そういって、パインは笑った。


その後5人は、メダルで開ける部屋の話で盛り上がった。

夜も更け、ジェイルの屋敷に泊まる事となった。


パインは、夢を見ていた。

暗闇の中だった。

何か声のような音が聞こえる。

注意深く音のする方向へと進んで行く。


 「パ・・・、ど・・・の・・・。

 ・・・よ、ここ・・・て、、、。」


パインには、その声を聞き取ることが出来なかった。

その声はかぼそく、そしてあまりにも小さかった。

C:「無事2つ目のメダルを入手できましたね。」

A:「ですね、それにしても、仕掛けが無いというのは、、、。」

C:「まあ、私がそこに行ったら、何かありそうだなと

  思うので、持ち上げてみようとは思わないですね。

  あれは、アリスだからこそ出来たのかもしれない。」

A:「なるほど、天然のアリスだからこそなんですね。

  ところで、パインの夢って、、、。」

C:「あぁ、それは、秘密ですね。」

A:「秘密なんですか、、、。ちょっとだけ教えて、、、。」

C:「Aさんの後ろに"秘密"と書かれたプラカードを持った

  作者が立っていますよ。」

A:「えっ、判りました。

  この話はもうやめましょう。」


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