メダル
2人が顔を赤くして、モジモジしているとき、
アリスとサールは、2人を見ていた。
しかし、パインだけは違うところを見ていた。
パインが見ていたのは、ジェイルの手から滑り落ちた本だった。
その本が落ちたときの音がおかしかったのだ。
まるで、金属と石がぶつかるような音だった。
2人に近づくと、本を拾い上げ、しげしげと眺めた。
すぐに表紙の厚紙よりも裏表紙の厚紙の方が
厚いことに気がついた
裏表紙を丹念に調べてゆく。
そして、裏表紙の中に丸い何かが入っていると確信した。
パイン:「裏表紙に何か入っているぞ!!」
ジェイル:「なんだって!!」
その声に最初に反応したのはジェイルだった。
きっと、気まずい雰囲気を壊したかったのだろう。
パインの持っている本を見ると一緒に調べ始めた。
パイン:「どうやら、壊さないと取り出せないようだな。」
ジェイルの動きは素早かった。
悩む前に行動していた。
パインから本を奪うように受け取ると、携帯していた小さな
ナイフを取り出し、裏表紙を切り裂いた。
そして、その中から何かを取り出す。
それはメダルのようなものだった。
そこには羽を広げた獰猛そうな鳥が描かれていた。
パイン:「鷲か鷹なのかな?」
ジェイル:「そうだな、大鷲のメダルとでもしておくか。」
ジェイルは裏返すと、その文字を見た。
それは、魔法文字のように見えた。
ジェイル:「サール、ちょっと見てくれ。
これって、魔法文字じゃないか?」
サールがそれを見る。
サール:「魔法文字のように見えますが、
この字は、初めて見ますね。」
ジェイル:「アリス、シロに聞いてくれ。
魔法文字か知りたい。」
アリス:「ちょっとまってね。
あれ?
どこへ行ったのかな?」
アリスが辺りを見回すがシロがいない。
パイン:「とりあえず、上へ移動しないか?」
ジェイル:「そうだな、そうするか。」
全員そろって、上へと向かった。
そこで見たのは、シロが飛んでいる蝶を捕まえようと
必死に前足を振り回しているところだった。
アリス:「シロちゃんって、やっぱりネコなのかな?」
パイン:「幻獣というより、ネコだな。」
アリス:((シロちゃーーん。))
シロ:((なんにゃ。いま、いそがしいにゃ。))
アリス:((ちょっと見てもらいたいんだけどなー。))
シロ:((しょうがないにゃ、いまいくにゃ。))
そして、蝶を追うのをやめ、アリスの元へとやってきた。
アリス:「これなんだけど。」
アリスがメダルをシロに見せる。
シロ:「んぎゃ!!」
シロがアリスの後ろへと回り込んで逃げる。
そして、アリスの足に掴まりブルブルと震えている。
アリス:「どうしたの?」
シロ:「鷲にゃ、鷲は天敵にゃ。」
アリス:「へー、そーなんだ。」
アリスの目がキラッと光ったのに気づくものはいなかった。
パイン:「おいおい、ただの絵だろ、こんなものも怖いのかよ。」
シロ:「怖いものは怖いにゃ。」
パイン:「それより、見せる面がちがうぞ。
見てほしいのは、魔法文字だ。」
アリス:「あっ、そうだった。
こっちを見て。」
そう言って、その面を見せる。
シロ:「これは、魔法文字にゃ。」
サール:「やはり、そうでしたか。
もしかしたら、我々の知っている魔法陣は、
基本的なことだけなのかもしれないですね。」
ジェイル:「どういう意味だ?」
サール:「我々が思っているより、奥が深いということですよ。」
ジェイル:「なるほどな。
このメダルが次の場所の手がかりなのかもしれないし、
そろそろ昼だし、一旦もどるか。」
パイン:「あぁ、そうだな。お腹も空いたな。」
サール:「そうですね。」
アリス:「お腹空いたーーーっ。」
そして、5人+1匹は、ジェイルの屋敷へと戻った。
ジェイルの屋敷で、5人は昼食をとっていた。
パインは、食事が喉を通らなかった。
何かを考えながら、黙々と食事を続けるアリスを眺めていた。
アリスがそれに気づくと、パインに聞いた。
アリス:「パイン、なにみてるのよ。」
パイン:「いや、アリスって、どんなものでも
美味しそうに食べるなと思ってな、、、。」
アリス:「当然でしょ。
人は生きるために、他の命を食べてるんだよ。
それが、動物であれ植物であれ、命を食べてるの。
そうしないと、生きられないんだよ。
だから、美味しく食べてあげないといけないんだよ。」
パイン:「なるほどな。
そんなこと考えたことも無かった。
それは、誰かに教えてもらったのか?」
アリス:「んー。どうだったかな。
そう、小さいときに誰かに教えてもらったんだけど、
そういえば、誰に教えてもらったか覚えてないな。」
パイン:「そうか。」
アリス:「食べて無いみたいだけど、
残すなんていうのは、もってのほかだからね。
その命を粗末にする行為だからね。」
パイン:「あぁ、そうだな。」
そう言って、パインも無理やり食事を口へと運んだ。
何故かアリスの言っていた誰かが気になっていた。
食事も終わりに近づいたとき、
ジェイルが少し興奮気味に話し始めた。
ジェイル:「私は、あの本に書かれていた内容から、
従僕の剣が実在すると確信した。
全てを知ったときに手にする事が出来ると
書かれていた。
そして、あのメダルだ。
たぶん、あのメダルは魔法陣の一部だと思う。
きっと、あのメダルは複数あるのだろう。
そして、全てのメダルを集めたとき、
従僕の剣への道が開けるのだと思う。
そこで、ズールと同じように古代遺跡を回れば
何か分かるかもしれない。
まず、遺跡を回ってみようとおもうんだが、
どう思う?」
サール:「そうですね。
何にせよ、今は情報が無さ過ぎる。
他の遺跡も回って情報を集めるしか手がないですね。」
パイン:「そうだな、とりあえず回ってみるか。」
アリス:「もぐもぐ、もぐもぐ。」
アリスは右手を上げて同意の意思を示した。
その後、食事を終えると、ズールの屋敷へと移動し、
次の転送の魔法陣を使った。
周りが見えるようになると、そこは森の中だった。
目の前の開けたところに、遺跡と思われる建物があった。
それは、石を積み上げて作られた三角錐に見えた。
大きさはそれほど巨大というわけではなかったが、
それでも、幅は小さい家2軒分ぐらいの大きさがあった。
1つの面に入り口と思える穴が開いていた。
入り口の両脇には、小さなドラゴンかと思われる石像があった。
5人は、その石像を眺めていた。
パイン:「これがドラゴンなのか?」
ジェイル:「壁画で見たものと同じだし、そうだろう。」
サール:「こんな生物、見たことありませんよ。」
アリス:「ドラゴン、かっこいーーーーっ!!」
シェリル:「・・・。」
しばらくそれを眺めたあと、
パインは意を決してその口へと入っていった。
入り口は、入ってすぐ、階段になっていた。
そして、その階段をゆっくりと降りてゆく。
階段の終わりまで来ると、そこからは直線の通路だった。
片側の壁には、壁画が描かれていた。
最初の壁画は、光の玉のようなものだった。
次の壁画は、2人の人かなにかだろうか?
2人とも羽のようなものが描かれていたが、
左の1人は白く、右の1人は黒く描かれていた。
そして、2人とも輪の中に入っていた。
次の壁画は、3人だった。
2人壁画の真ん中より下側に炎のようなものを纏っている者が
追加されていた。
しかし、輪のようなものには入っていなかった。
次の壁画は、5人だった。
3人壁画の下側、白い人と黒い人の真下で炎を纏った人を境に
対称的な位置に2人追加されていた。
左端の者は、人に見えなくも無かったが何かが違う。
右端の者は、2本足で立っていたが犬のような顔だった。
次の壁画は、6人だった。
左右真ん中の一番したに人が追加されていた。
サール:「これって、シェリルさんが言っていた
神話じゃないですかね?」
ジェイル:「あぁ、今私もそう思ってたところだ。
最初の光の玉みたいなのが、創造主。
白い人が創造神、黒い人が破壊神。
炎を纏ったものが幻獣。
人のようなものが精霊。
犬の顔の人が魔獣。
そして、一番したにあったのが人間。
こんなところだろうな。
まだあるみたいだから、とりあえず、
先まで見てみよう。」
そして、続きを見た。
次の壁画は、4人だった。
人間、精霊、幻獣が大きな魔獣と争っているようにみえた。
そして、幻獣の手とおもわれるところから伸びる線が
魔獣を包み込む丸い輪に繋がっていた。
次の壁画は、4人だった。
人間、精霊、幻獣だったが、幻獣が輪に入っている。
幻獣の輪の外側に、ドラゴンのようなものが書かれていた。
次の壁画は、2人だった。
人間が精霊を攻撃しているように見えた。
そして、精霊が輪の中に入っている。
最後の壁画は、大掛かりなものだった。
一番左端には、魔法陣を描いている人、
上に岩のようなものが描かれている。
洞窟内かもしれないし、落石かもしれない。
その右側に複数の人が描かれていた。
さらにその右には、複数の幻獣とドラゴンが大きな魔獣と
戦っていた。
大きな魔獣の上には、鳥に見える何かが飛んでいる。
鳥には、放射状の線が描かれていた。
光っているのを表現しているのだろうか?
パイン:「どうやら、これが最後みたいだな。」
サール:「えぇ、そうですね。」
ジェイル:「やはり、シェリルの記憶はこれみたいだな。
ズールがこの壁画を見て想像した神話じゃないか?
それをシェリルが聞いたってところだろうな。
ただ、判らないのは、魔獣の上に描かれている
鳥みたいなやつだな。
それに関する情報がどこにも無い。」
パイン:「そうだな、確かにその可能性はありそうだな。
それより、通路はまだ続いてるみたいだ。
この先はどうなってるんだろうな?」
アリス:「行き止まりだったよ。」
パイン:「えっ?」
アリス:「いま、見てきた。
壁に魔法陣が描かれてた。」
サール:「魔法陣ですか。
早速行って見ましょう。」
5人が通路を進むと、すぐに突き当たりだった。
壁には、魔法陣が描かれており、
その魔法陣に3つの丸い窪みがあった。
パイン:「なるほど、
あのメダルは、ここにはめ込むんだろうな。」
ジェイル:「そうみたいだな。
どうやら、あと2つあるみたいだ。」
パイン:「あぁ、あと2つ集めれば、謎が解けそうだな。」
4人は新たなる謎に心躍らせていた。
シェリルだけが、それを黙ってみていた。
A:「大鷲のメダルって、、、。」
C:「それって、どこかで聞いたことあるな。
たしか、なんとかハザードじゃなかったか?」
A:「そうそう、それそれ。
ということは、狼のメダルもでてくるのかな?」
C:「どうだろうね。」




