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僕が死ぬまで縛るのをやめない!  作者: + -
第三部 マイペース攻略準備編
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縛り49,フルメンバー出撃禁止

 てっきり上手いこと口で丸め込んで話を納めてくれると思ったのに、なんか実力を実際に見せる方向に話が持ってかれちゃいそうだよ?

 なんでそんな方向に話を持って行こうとしてるのか困惑しつつも目線で問いかけてみるけど、コノカさんの口はゆったりと動き続ける。


「そうですね~、モンスターとの~、戦いを見せるのは~、ユーレイさん達の~、予定の~、邪魔になりますから~、やはり~、直接対決ですかね~?」


 そんなことを言いながら僕にニコニコ笑顔を向けてくるコノカさん。なんか怖い、そしていつも笑顔だから読み取り辛いよ。えっと、めんどくさい? これは、説得するのがめんどくさいってことかな?

 げんなりした表情を向けると、笑顔から放たれる圧力が強くなった。なんか間違って他っぽいね、背中からいやな汗が出てきそうだよ……

 う~ん、説得が面倒なんじゃないとするとなんだろ? めんどくさいっていう意見まではちゃんと読み取れてる気がするんだけど・


「しかし、PvPをシステム的に保護するような使用は聞いていないぞ? 危険ではないのか?」

「そのあたりは~、ユーレイさんが~、方法知ってそうな~、気がします~」

「そうなのか? PvPをするメリット次第だが、安全に行えるのであれば是非その情報も引き取りたいのだが」

「何かありますか~?」


 うぅっ、流れ的にはすごく否定したいよ。でも、残念なことに、安全にPvPというか、NPCを含めた人対人の戦闘をする手段、確かに確保してあるんだよね。安全性の確認はまだしてないけど。教官にいろんなことを尋ねたり自由時間に街をふらついたりしてたのが裏目に出るとは…………

 というか教官に一言断って今朝の訓練の時も使わせてもらえばよかったよ!


「確かにあるにはあるけど、試してみたわけじゃないからぶっつけでガチバトルやるのは止めたほうがいいと思うよ?」

「あるのか! どうやればいいんだ? メニューに俺たちが気づいてない項目があるのか?」

「ううん、それ用のアイテムが有るんだよ。道具屋さんに行けば二軒に一軒くらいは普通に取り扱ってるよ。こんなの」


 すごい勢いで食いついてくるナンダゴンドさんに、アイテム欄から取り出したちょっと綺麗な石って感じのアイテムを取り出して見せる。アイテム名は『決闘水晶』。割とまんまだね。


「おお! それで、これはどうやって使うんだ?」

「いろいろと種類は有るみたいだけど、これは一対一での戦闘にしか対応してないタイプで、任意の二人、まあ対戦する当人だね。が手に持って、生命力、というかHPを注ぎ込むと起動するんだって。設定的なシステムは別に説明しなくてもいいよね? HPを消費して発動する消耗品ってことだけ把握しとけば」

「なるほど、まあ確かにフレイバーテキストをじっくり楽しむシチュエーションではないからな。ともかく、そういうことなら早速!」

「だからダメだって! 安全性の確認してないし、この段階での消耗品としてはちょっと高く500リラもするから、解析して作れるようにするために買っただけで使用目的じゃないし!」


 何より攻略最前線の人と対戦するとか、この場合勝っても負けても展開がめんどくさそうじゃん! ナンダゴンドさんと対戦とか、やりたくないことも無いけどこっちは対戦向けのビルドじゃないから楽しめそうにないし!

 あ、でもよく考えたら僕以外の人が戦ってもいいのか。対戦自体避けたいけどもしどうしようもなくなったら男子陣のどっちかを生贄に差しだそう。老師はなんか危なっかしいしやっぱりクロかな?


「ほう、こういうアイテムは店売りのみでプレイヤーは作れなかったりするパターンも多いと思うが、作れそうなのか?」

「作れそうらしいけど、そこら辺は本人に聞いたほうがいいんじゃないかな?」

「本人? この場にいるのか?」

「本職は防具なんだけどね。どうなのスミスさん?」


 『決闘水晶』を自作できるようになることでそこまでのメリットが見込める訳じゃないから、店売りのものを買い続ければ済むんだけど、それでも解析を頼んでるのは細かいルールの設定とかをしようとするとほぼオーダーメイドになるからだったりする。

 まあこれまでほぼノータッチだった【道具作成】スキル関連だろうし、そんなにすぐに成果は出ると思ってないんだけどね。


「現状で作れる人がいるかは別として、システム的に作れないということは無いよ」

「えっ、もうそこまで分かったの」

「アイテムを作成するためのスキルとは別に魔法関連のステータスかスキルかを伸ばしていないと作れなさそうだね。仕組みとしてはHPを一定ラインより上に保つように使用者に還元する魔法と、戦闘フィールド内での使用者の攻撃の『ものを破壊する力』みたいなものを低減させる魔法、その二つを軸に還元量から勝敗を判定できるような構造に作ってある。実際に使うならこのぐらいは把握しておいてほしいね。あと、作るのはまだ難しいけど解析自体は終わっているからそれは別に消費してしまっても構わないよ」


 立て板に水っていう表現が相応しい具合に一息に語ってくれたスミスさんに、思わず口が半開きになったよ。というかどうやって分析したのかすごく気になるよ?!

 スミスさんを疑う訳じゃないけど、どう弄り回したか分からない現物を使うのは気が引けるし、クロに押し付けるの決定だね。


「随分優秀な生産職を抱え込んでるんだな。パーティーとしてではなくすでにギルド単位での戦力増強を視野に入れた活動を開始しているとは」

「へ?」


 ナンダゴンドさんが唸ってるけど、そういう受け取られ方をされるとは思ってなかったよ? でもまあよそから見たら生産職を入れて固定パーティー組んでるなんて想定できないもんね。


「ギルドって、もう作ってるところあるの? 確か十万リラくらい初期費用かかるんじゃなかった?」

「十万リラはホームの金額だな。だが非常事態だからホームの購入は後回しにして、とりあえず自分たちの集団をギルドと呼称して団結を図る人も少なくはない」

「へえ、そんなことになってるんだ。ナンダゴンドさん達もその口?」

「いや、我々は根回しの段階だ。資金提供を能力を測る目安にして、数パーティー集めることで立ち上げる予定だ」

「なるほど、システム的な補助が受けれない状態で人を集めるリスク

「その通りだ。ユーレイたちも今ギルドを組んでいるというわけではないのならこちらに参加しないか?」


 う~ん、ホームは魅力的だけど、今のところ宿屋で不自由してないし、人間関係煩わしそうだし、そもそも攻略を目的としてるわけでもないしねえ。受ける理由が無いかな。


「だから! こいつらを信用できないっていう話でしょう! なんで誘いをかけてるんですか! リーダーは騙されてます!」


 断ろうと口を開きかけたところで、エックス君が怒鳴ってきた。今の今まで忘れ去ってったよ。まあでもちょうどいいし、このままこの話は流させてもらおっと。


「お互いの信用が無い状態でコミュニティを作るのは避けたいし、遠慮させてもらうね」

「なに、実力を確かめればいいんだろう? ちょうどあるじゃないか、使ってしまっていいというお墨付きの『決闘水晶』が」


 その流れは途切れたと思ったのに! 完全にバトルマニアの顔してるよこの人!


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