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リバイバル Iwo-jima  作者: 双鶴


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第46話 「三月下旬──最後の夜、そして未来への誓い」

 昭和二十年三月二十五日。

 上陸から三十五日目。

 硫黄島の空は相変わらず黒煙に覆われていたが、

 地下壕の中には、戦場とは思えないほどの“静けさ”があった。


 それは、晴翔が意図して作り出した静けさだった。


  今日だけは、戦わない。

  今日だけは、兵を休ませる。

  今日だけは、“未来”を考える。


 そう決めていた。



 兵士たちは、疲労の色を濃くしながらも、

 どこか落ち着いた表情をしていた。


 ・湿気は排水溝の増設で減った

 ・乾燥区画が増え、睡眠の質が上がった

 ・医療班の巡回で病気が広がらない

 ・食糧と水は“少ないながらも安定”している

 ・弾薬はまだ半分以上残っている


 参謀が静かに言った。


 「閣下……兵たちの顔つきが変わりました。

  恐怖ではなく、“覚悟”の顔です。」


 晴翔は頷いた。


 「恐怖は、知らないから生まれる。

  だが今の兵たちは、

  “どうすれば生き残れるか”を知っている。」


 参謀が問う。


 「閣下、米軍は今日も前進しています。

  迎撃は……?」


 晴翔は首を振った。


 「今日は撃たない。

  敵は疲れている。

  我々も疲れている。

  ここで撃ち合えば、消耗戦になる。」


 参謀は息を呑んだ。


 「……戦わない、という選択……」


 晴翔は静かに言った。


 「戦いとは、撃つことだけではない。

  撃たないこともまた、戦いだ。

  生き残るためには、休む日が必要だ。」



 夜。

 地下壕の奥では、兵士たちが静かに食事を取っていた。


 乾パンと薄い味噌汁。

 だが、誰も不満を言わない。


 「……今日、久しぶりにぐっすり眠れそうだ」

 「湿気が減っただけで、こんなに違うんだな」

 「医療班が近くにいると安心する」

 「俺たち……まだ戦えるよな」


 晴翔は彼らの声を聞きながら、

 胸の奥で静かに思った。


 ――史実では、三月下旬には兵の心が折れ始めた。

 ――だが今回は違う。

 ――まだ戦える。


 深夜。

 晴翔は一人、地図の前に立っていた。


 米軍の包囲網は形だけ整っている。

 だが、実際には穴だらけだ。


 晴翔は地図に手を置き、静かに呟いた。


 「……諸君を、八月まで生かす。

  必ずだ。」


 その声は、誰に聞かせるでもなく、

 しかし確かな決意に満ちていた。



 夜明け前。

 晴翔は兵士たちを集め、短く言った。


 「諸君。

  今日の休息は、明日の戦いを生む。

  我々はまだ折れていない。

  まだ戦える。

  そして、必ず生き残る。」


 兵士たちは静かに頷いた。

 その目には、恐怖ではなく“光”が宿っていた。



晴翔は夜明けの空を見上げ、

静かに呟いた。


「……明日から、また動く。」


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